小出し記事 2021年6月16日

自転車はどこに停めても大丈夫 ベルリンのふつうのくらし・いどう編

ドイツはベルリン在住11年目のライターほりべのぞみさんに、「ふつうのくらし」を聞いてみたい!  

今回は「いどう」のおはなし。電車、バス、車、自転車……交通手段について聞きました。

なんと、自転車の駐車禁止がないんだそうですよ!

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登場人物

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ほりべのぞみ
ドイツ・ベルリン在住11年のイラストレーター、ライター、日英翻訳者。
ベルリンの語学学校でドイツ語を学び、大学に通ったあと仕事をはじめ現在にいたる。
だんなさんがドイツ人。
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古賀及子
デイリーポータルZ編集部員。
15年前に旅行でミュンヘンに行って以来ドイツは憧れの土地。海外経験はとても少ない。

たくさん荷物が乗せられる自転車が大人気

古賀:
ベルリンで暮らすほりべさんに、生活のあれやこれやを聞く企画、最終回がやってきてしまいました。
さいごは「いどう編」です! 自転車、くるま、バイクに公共交通機関など移動の手段についていろいろ聞きたいと思います~~っ。よろしくおねがいします!

ほりべ:
よろしくおねがいします!

古賀:
前回の「休みの日編」の最後に少し自転車旅行の話が出ましたね。自転車はやっぱり人気ですか。

ほりべ:
人気ですね。最近は電動自転車も結構見かけるようになりました。

それから、前や後ろに大きなボックスがついた自転車がよく走ってます。カーゴバイクって言うのかな。特にオランダとかデンマークでは自転車文化が盛んなんですが、そのあたりから来てるんだと思うんですが。荷物のほかに、子どもや犬を乗せている人もいます。

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先週末の自転車デモでは、いろんな種類のカーゴバイクが走っていました。(今回も写真とキャプションはほりべさんより!)

古賀:
うわっ、かっけええ。

ほりべ:
ベルリンは平たい町で坂があまりないので、こういう自転車で電動じゃなくてもそれほど苦じゃないんですよ。

古賀:
なるほど……。ん? そういえば日本でも昔から三輪の後ろに荷台がついてる自転車ってありますね……。あれをおしゃれだと思ったことあまりなかったですが……そうか!

古賀:
ところでベルリンにも、ママチャリって走ってますか? あの、フレームの上の部分の棒(※「トップチューブ」という部分)がないタイプの自転車で、前にかごがついているような。

ほりべ:
そのタイプ、ドイツでも「Damenrad(女性用自転車)」と言われてます!

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Google画像検索「Damenrad」の結果画面より

古賀:
あっ! これだ。

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ドイツで言う典型的な「Herrenrad (男性用自転車)」は、ハンドルとサドルの間のトップチューブがまっすぐなのが特徴です。

古賀:
前に棒があるやつ、あれスカートだと乗れないんですよね。女性用というのはそういうところなのかな。

ほりべ:
今までママチャリの基準について考えたことがなかったのですが、 なるほど! もともとはスカートから来ている説、納得です。

自転車駐輪禁止という概念のなさ

ほりべ:
東京って自転車停めるの大変じゃないですか。駐輪場の場所が限られていたり、有料だったり……。ドイツでは道端でも、大体どこでも自転車を停めていいので、初めて来たときはびっくりしました。

古賀:
えっ! 駐輪禁止がない!?

ほりべ:
基本的にありません。

古賀:
えっ、えっ、そしたら西友ベルリン店の店頭、自転車だらけになっちゃいませんか。西友ベルリン店が無いか。でもスーパーの前が。

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夏はピクニックスポットと化す歩行者専用の橋の近くには自転車が沢山停まっています。

ほりべ:
そうですね。場所によって夜通し自転車を外に停めておくと盗まれることがあるので、夜は家の中庭に停める人が多いですが、日中はスーパーの前とかは結構停まってますね!

古賀:
わ、じゃあ本当にどこに停めてもいいんだ。

ほりべ:
はい、どこでも大丈夫です。木とか電柱にくくりつけてもOKです。

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郵便ポストにくくりつけられた自転車たち。

古賀:
おおおおおお……わたし、人生の少なくない時間を駐輪場を探すことに費やしてますよ……。

ほりべ:
ですよね! そのことをドイツの人に説明するのが大変で。

夫のお兄さんが東京へ3ヶ月ほど研修に行くことがあったんですが、期間が長いから自転車が欲しいと話していて。でも自転車買っても停めるところないから大変だよって教えても、なかなか伝わらなくて困りました

夫の実家がブレーメンなんですが、平たくコンパクトな街なので自転車通勤がほぼ当たり前で。なので日本でも自転車で通勤したかったようですが、東京に行ってから駐輪場事情がやっと理解できたみたいです。

古賀:
これまで駐輪禁止経験がなかったんですもんね……。

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義兄は、自分の結婚式にも自転車で行くほどの大の自転車好きです。

古賀:
良い写真すぎる……。それに、缶を引っ張るやつ本当にやるんだ……!

電車には人間用のきっぷの他に自転車用のきっぷもある

ほりべ:
ドイツでは自転車は電車にも乗せられることにも、来た当初は驚きました。人間用のチケットのほかに自転車用のチケットを追加で買うと、電車に自転車を乗せて移動できます

古賀:
自転車、裸のままでですか? 日本だと確か折りたたんで輪行袋というやつに入れられるやつなら乗せられるんだっけな……。

ほりべ:
むきだしで大丈夫です! 例えば、週末に郊外でサイクリングをしたいと思えば、そのまま自転車を電車に乗せることもできます。ですが自転車を持ち込む人が一度に沢山乗ってくると車内はカオスです……!

古賀:
えっ、電車、自転車でぱんぱんになりがち……?

ほりべ:
混む時間帯はなりがちですね! 混みすぎて降りれなくなっちゃったことも実際あります。

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電車には通常自転車専用車両があるのですが、いっぺんに自転車が乗って混んでくると、降りるチャンスを見計らうのが難しいので最寄駅が近づくとともにドキドキします!

ほりべ:
特に天気の良い週末に、郊外に遊びに出た人がベルリンに帰宅する時間帯は要注意ですね!

古賀:
電車の中で自転車ががっちゃがちゃするんだ。想像できない! ベルリンは地下鉄ありますよね。地下鉄にも持ち込める……?

ほりべ:
はい、大丈夫です。

古賀:
自転車文化すごい! 丸ノ内線にママチャリ乗ってたら笑うなあ。

ピザ屋のバイクよりもピザ屋の自転車が優勢

古賀:
自転車が大活躍の一方、バイクってどうですか?

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最近はレンタル自転車以外にも、レンタルバイクやレンタル電動キックボードをよく見るようになりました。

ほりべ:
自転車と比べると数は少ないと思いますが、最近はレンタルバイクをよく目にするようになりました。
趣味で乗っている人もいると思いますが、道路を走っているのは自転車かクルマが多いですね。ピザ屋のバイクも見ますが、自転車に乗った配達員の方が多いかも。

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ブランデンブルクで見た、1953年のBMWのクラシックバイク。

古賀:
うわ、サイドカーだ。憧れる~~。
Uber eatsも自転車のドライバーさんが多いですかね。ベルリンでもUber eats走ってますか?

ほりべ:
はい、Uber eats はつい最近目にするようになりました!最もよく見かけるのはWoltかな?

古賀:
あ、フィンランドの会社のやつだ。東京はUber eatsが多いんですが、Woltも見るようになりました。

ほりべ:
あとは Lieferando や Gorillas など……いくつか会社があるようです。基本的にはみんな自転車で、あとたまにレンタルの電動キックボードに乗ってる人もいますね

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Woltの人、レンタルキックボードの料金は高いんじゃないのか……と心配になります。

古賀:
おお、電動キックボード、東京でも最近見るんですよね。

ほりべ:
こちらではちょっと事故が多いみたいで問題にもなってます……。実際にどのくらい移動手段として利用されているのかは不明ですが、公園でティーンエイジャーくらいの子たちが乗り回してます。

古賀:
レンタサイクルもありますか?

ほりべ:
ありますね! 昔は自転車屋さんやホステルなどでレンタサイクルを借りるのが主流でしたが、最近はアプリで鍵をあけて乗り捨てできるタイプのものが普及しています。

古賀:
おわ、ポートに返さなくていいのか!

ほりべ:
ポートに返すタイプもありますが、ものによっては乗り捨てても大丈夫です。便利は便利なんですけど、みんな適当な場所に乗り捨ててしまうので町中自転車だらけです……。

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誰かがいたずら(?)してキックボードをすごい場所に移していました。

車は欲しい派と不要派で二分

ほりべ:
ベルリン市内だと、車は絶対欲しい派と絶対いらない派で分かれますね
日本でも若者の車離れの話を耳にすることがありますが、ベルリンも同じような傾向にあると思います。

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「車の時代は終わった」というメッセージを掲げる家族。

ほりべ:
私の憶測ですが、むかしながらのベルリンっ子は車好きな人が結構いると思います。
反対に外からベルリンへ移り住んだ人は、車が必要な場合はカーシェアリングを利用するなど、車は買わずに自転車中心の生活を選びがちな人が多いような気がします。

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ベルリンっ子の友人も普段は自転車に乗っていますが、長い休みは改造した古い救急車で家族旅行に出かけています。

古賀:
改造した古い救急車で家族旅行って……それもう映画始まってますね……。
そもそもはドイツは車大国ですよね、ベンツ、フォルクスワーゲン、BMW……。

ほりべ:
そうなんですよね。アウディもポルシェもドイツ車ですしね。やっぱりドイツの自動車業界は強いです。

ドイツの高速道路「アウトバーン」では制限速度がない区間があることで有名ですよね。それが最近、制限速度を導入する話が出たんですが、自動車業界からは「車社会の自由が奪われる! 」と大きな反対の声があがっているそうです。

アウトバーンは観光目的でもあるそうで、「250キロだしてドライブするのが夢!」という人が海外からドイツに来るそうです。

無賃乗車は「コントロール」が黙ってない

古賀:
電車はどんなかんじですか。

ほりべ:
地下鉄のUバーンと、中距離電車のSバーン、トラム(路面電車)とバスが走ってます。

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Uバーンは地下鉄ですが、地上に出ることもあります。これは地下鉄2号線「U2」。

ほりべ:
トラムは、むかしは西ベルリン、東ベルリン両方走っていたらしいんですが、冷戦の頃に西ベルリンのトラムがなくなってしまいました。

なので今トラムがあるのは旧東ベルリン側だけなんですが、地下鉄より建設費がかからないので、これからは西の方にもトラムが再建設される予定だそうです。ゆっくり走って景色がよく見えるので私は大好きです。

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トラムにも自転車を持ち込むこともできます。

古賀:
いいないいな。

ほりべ:
地上を走るSバーンには、リングバーンと言って環状線になっている山手線みたいなものもあります。

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路線図を探していたら路線図のメガネ拭きが見つかりました。長方形の環状線がリングバーンです。

古賀:
通勤ラッシュってありますか?

ほりべ:
私が体験したのは自転車の通勤ラッシュでした。以前自転車で30分くらいのところに勤めていたんですが、通勤の時間は自転車がパレードみたいに連なって、ゆっくり前の人についていくだけでした。自分のペースで漕げないので、急いでる時は結構焦りました!

古賀:
自転車レースのスタート地点みたいな様相に。

ほりべ:
電車も通勤時間帯は東京並みに混むこともあります。
ただベルリンで便利なのは、運賃が一律なことです。鉄道とかバスの会社が違っても料金は同じで、市内ゾーンであれば片道3ユーロ(約400円)です。1か月の定期は89ユーロ(約12,000円)と安くはありませんが、街中すべての電車やバスが乗り放題なので、電車に乗って、バスに乗り換えて、それからトラムに乗ってみたいなことが気軽にできます。

古賀:
おおっ、良いシステム。

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Sバーンは中距離電車で、ベルリン市内と郊外を結ぶ電車です。赤と黄色の車両が目印です。

ほりべ:
あと特徴としては、ベルリンの鉄道は改札口がないんです

古賀:
えっ。チェックしない?

ほりべ:
そうなんです。乗るときにはチケットはチェックされません。

古賀:
運賃の支払いは性善説……?

ほりべ:
というわけでもなく、たまに私服の「チケットコントロール」員が抜き打ちでチェックしに来るんです。

古賀:
私服!

ほりべ:
乗客のふりをしてこそっと入ってきて、ドアが閉まった瞬間にチケット拝見します! って不意打ちされるわけです。

その瞬間「うわ~、来た~」ってなります(笑)。悪いことしてないのにドキドキするんですよね。
私服なので電車に乗るまで分からないことがほとんどですが、乗車券をチェックするための機械を入れたバッグをたすき掛けにしているので電車に乗る前に「この人かな」と気づくことがあります(ハズレることもありますが)!

2人のコントロール員が別々のドアから入ってきて、逃げられないように挟み撃ちされることもよくあります。

古賀:
なかなか緊迫するなあ~。

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コントロール員の目撃情報を共有するフェイスブックページも多数あります。

ほりべ:
ドイツ語初心者の頃、チケットコントロールに当たったことがあったんですが、コントロールだと知らなかったので無視したことがありました。チケットは持ってたんですが、さすがに怒られました(笑)。

ベルリンのコントロール員はきびしい態度で有名で、チケット持ってないのが見つかると次の駅で降ろされて、住所とか散々聞かれて怒られて、60ユーロ(約8000円)の罰金を取られるので最悪です。

古賀:
怒られ……! 指導が入るんだ!

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地下鉄「Uバーン」の中の様子。テレビにはニュースや路線情報が映し出されます。

ほりべ:
コペンハーゲンの電車も改札口がなく、途中でコントロールの人が乗ってくるシステムですが、ベルリンと違って制服も着てるし親切で、国によってこんなにも違うんだな〜と思いました。

古賀:
意外なベルリンの一面を見ました……。私は無銭乗車はしないので大丈夫! 胸をはっていつかお伺いしてみたいです!

ほりべ:
ぜひ来てください~!

古賀:
そんなわけで全5回、まだまだ聞きたいことたくさんあって名残惜しいです……一旦、まずはありがとうございました! ああ、楽しかった……。

ほりべ:
来れるようになったらいつでも待ってます!

登場人物

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ほりべのぞみ
ドイツ・ベルリン在住11年のイラストレーター、ライター、日英翻訳者。
ベルリンの語学学校でドイツ語を学び、大学に通ったあと仕事をはじめ現在にいたる。
だんなさんがドイツ人。
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古賀及子
デイリーポータルZ編集部員。
15年前に旅行でミュンヘンに行って以来ドイツは憧れの土地。海外経験はとても少ない。
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