特集 2024年3月9日

懐かしのキッズコンピュータ・ピコで遊ぶ

セガがいまからおよそ30年前に販売していたキッズコンピュータ・ピコ。おぼろげな記憶だが、かつてうちにもあった。メルカリで買ってプレイしてみた。

1992年三重生まれ、会社員。ゆるくまじめに過ごしています。ものすごく暇なときにへんな曲とへんなゲームを作ります。

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> 個人サイト ほりげー

我が家にはピコがあった

ずいぶん昔の記憶だが、我が家にはピコがあった。黄色い本体、青いシート、絵本型のカセット。ああ懐かしい。懐かしすぎる。自分の走馬灯の冒頭3秒ぐらいは、きっとピコが流れるだろう。

タッチペンで操作する子供用のテレビゲーム、それがピコだ。

絵本をタッチペンで押して操作する。タブレットでのタッチペン操作もできる。絵本のページをめくると画面が切り替わり、物語が進む。今思うとけっこうハイテクだな……。

妹とよくピコで遊んだ覚えがある。それをもう一度したい。しかし、実家では断捨離がすすんでいてピコなんてとうに捨てられている。頼みの綱はメルカリだ。

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たくさん出品されている!

Wikipediaによればピコの出荷台数は340万台だそうだ。当時多くの家庭にピコがあった。それが時を経てこうしてメルカリに出品されている。

ここに出品されているピコで遊んだキッズたちは現在、アラサーだろう。自分と同世代だ。

定年を迎えた親たちが「家の片付けでもするか」と思い押入れの奥にピコを見つけ、孫を連れて帰省してきた娘に手伝ってもらいながらメルカリに出品する――そんな光景が目に浮かぶ。出品のひとつひとつに家庭があり、子の成長がある。ああ泣けてくる。検索しただけなのに。

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生きてるピコを見つける

メルカリに並ぶピコを一つ一つ見ると、いずれも「動作確認出来ないのでジャンク品です」といった記載があることに気づいた。それもそのはず、ピコをテレビにつなげるにはRCAの差込口が必要なのだが、近ごろのテレビには搭載されていない。「動作確認したくてもできない」が実情だろう。

赤白黄色の3色からなるRCAケーブル。すっかり見なくなったなぁ。

そのうえ、運よくRCAの差込口があったとしても、カセットの端子が酸化していると動作しない。もちろん中には本当に故障したピコもあるだろう。メルカリには生きてるピコと死んでるピコが混じっている。玉石混合。そこからどうやって生きてるピコを選ぶか。

……雰囲気から嗅ぎ分けるしかない。

買いました。

結局、箱入りで保存状態が良さそうなピコを選んだ。温かい家庭で大切に扱われたであろうピコ。たのむ、動いてくれ。

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妹を呼ぶ

ピコの本体とカセットがそろった。妹を呼び、当時を思い出しながらピコで遊ぶことにした。

左:筆者。好きなカセットは「ドラえもん のびたのまちなかドキドキたんけん!」
右:妹。好きなカセットは「クッキングピコ」

妹:めっちゃ楽しみ~!

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動いてくれ

ピコを動かすための準備は万全だ。まず、自宅のテレビにはRCA差込口がないので、変換器を買った。

赤白黄色の3色をHDMIに変換してくれる。
でもピコはモノラル音源なので2色しか使わない。赤は無視してOKだ。

これでひとまずピコとテレビがつながった。頼む、電源ON!

緊張の瞬間。
どうだ?

ぜんぜんつかないが、一瞬画面が暗くなるのが期待を持たせてくれる。正直ここまでは想定済みだ。カセットの端子が酸化していると接続不良になるのだ。その場合は接点復活剤を吹きかけるといいらしい。

接点復活王!なんて頼もしい名前なんだ……。

ま、そもそも本体が壊れていた場合はどうしようもないのですが。

王による施し(ほどこし)。

さきほど「準備は万全」と言ったが、これでダメなら策は無いです。頼む!動いてくれ!!

おおおおおおおおお!
プーさんのいちにち!!!!

画面に映ったのはガビガビのプーさん。当時ブラウン管のテレビでは全く気にならなかったが、こんなにもガビガビだとは。でもそんなことよりも、圧倒的に懐かしさが勝つ。

妹:……すごくない?
筆者:泣きそう

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プーさんのピコであそぶ

最初にあそぶのはプーさんのカセット。プーさんがはちみつを求めて仲間を訪ね回るという物語だ。

絵本に書かれた物をタッチペンで押すと、ミニゲームが始まる。 

筆者:鏡をペンで押して
妹:なんでちゃんと覚えてるの?笑 

これは鏡と現実の差分(怪異)を指摘するというミニゲーム。

妹: はははははは

当たり判定がやたら厳しくて手こずったが、何とかクリア。

クリアするとプーさんが全力で喜んでくれる。

妹:うれしい~!
筆者:これ覚えてる?
妹:正直全然覚えてない!

筆者と妹は3歳離れている。ピコのプーさんは筆者がギリ思い出せるレベルの記憶なので、妹が覚えているはずがない。でも僕はめちゃくちゃ懐かしい。

丸太を渡るゲーム。

妹:あ、死んだんやけど
筆者:普通に難しいよね

ピコのアクションゲームは子供向けとは思えないほど難しい。大人になったいまでも普通に失敗する。 

ギリ耐えたシーン。

妹:あぶない!
筆者:なんとか耐えたね

プー氏の残機を減らしながらも無事クリア。

二人モードだとティガーも飛び跳ねてよろこんでくれる!こんなにも全力で祝ってもらえるのはピコ以降の人生で無かった。成功体験を積ませてくれてありがとう、ピコ。
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クリアすると「3をひらいてね」と出た。絵本のページをめくる指示だ。

妹:伝え方が独特~!

その後も数々のミニゲームをクリアし、いよいよ最後のページへ。

これは「ピコあるある」なのだが、絵本の最後はお絵描きになっていることが多い。子供の創造力を育むのがねらいであろう。

お絵描きのページを見ると、右下には「プーいろ」とある。こういうこじゃれた表現も好きだったな。

妹:やった~!お絵描き!最後のお絵描きだけは覚えてる。

お絵描きを楽しむ27歳OL。

妹:たのし……
妹:あ、操作まちがえた。戻したい

筆者:Ctrl+Z無いのよ
妹:全部消すしかないのか……笑

完成~!兄妹ともに、画力は20年前から一向に成長していない。

なんだかんだで夢中になり、プーさんだけで40分も遊んでいた。

筆者:いや~、楽しいゲーム。すばらしい
妹:名作……!(パチパチ)

⏩ 当時の技術がすごい

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