特集 2024年2月10日

謎を解かないと買えない服屋さん

謎解きをしないと服が買えない服屋がある。謎解き好きとしては行くしかない。

1992年三重生まれ、会社員。ゆるくまじめに過ごしています。ものすごく暇なときにへんな曲とへんなゲームを作ります。

前の記事:シーチキン目線の世界はこうなっていた!

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謎解きをしないと買えない

まずはこの服を見てほしい。

なんか暗号っぽい。

実はこれは謎解きになっていて、その答えはアルファベット4文字の言葉になる。今回訪れる「トキキル」というアパレルブランドの服だ。

このように、トキキルでは服のデザインが謎解きになっており、その謎を解いた者だけがその服を買うことができる当サイトで数々の謎解き記事を書いてきた筆者としてはぜひとも挑戦したい。

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トキキルに来た

トキキルは毎日やっているわけではなく、定期的に開催されるイベントだ。この日は南青山で開催される。

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閑静な住宅街の中で輝きを放つあやしい部屋。ここがトキキルの会場だ。
入ってすぐ地下に案内された。どきどき…。
おお~、人だ。(オモコロの人たちも来ていた)

 地下にはいっぱい人がいた。壁にかかっている服はぜんぶ謎解きの服だ。

服の数だけ謎解きがある。謎解きの量が多い。

解かないと着られないので、みんな謎解きを頑張っている。服屋なのにみんな真剣な表情で考え込んでいて、なんだか異様な光景だ。

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解いて着る

実際どんな服なのだろう。謎を解いてみよう。

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最初に挑戦するのはこちら。難易度Sの服。

 難易度Sと聞くとめちゃくちゃ難しそうに感じるが、実際はその逆。トキキルでは、難易度がS、M、L、… のように服のサイズの形式で表される。つまり難易度Sとは初級だ。

地球だ。ミカンではない。

これが謎解きになっているという。わかる?私はわかった。ポイントは地球が5つに分けられているということだ。

実は、それぞれに1つの文字が当てはまる。つまり、地球を5文字に変換する必要がある。

 

(シンキングタイムスタート)

 

 

 

 

 

 

((?))
 

 

 

 

(シンキングタイム終わり)

 

記事執筆にあたりネタバレ許可をもらったので、特別に大ヒントを出すと、地球 = earthである。

ここまで来たらいかがでしょうか。

しかし、earthが答えではない。earthをさらに読み替える必要がある。飛行機に注目し、通った順番に文字を拾うと…

heart になる。 答えはheartだ。パチパチ。そしてこのシャツ、もうひとつすごいのが……

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イラストの場所に注目してほしい。

心臓(=heart) の位置に描かれているのである。オシャレ……。さすがに出来過ぎである。この謎が完成したとき、現場は大いに盛り上がったことだろう。

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なお、スマホの専用アプリで正解判定ができる。この服の買う権利をGET!

 

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続いても難易度Sの服に挑戦する。

なんかグラフみたいな服。

シンプルだ。パワポで書けそうなデザイン。

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パワポで書き起こした。(画像をクリックするとヒントが表示されます。)

あ~わかったかも。言葉を当てはめればいいのか。こうして、こうして、こうだ。

やった~!
買った!!

今後会う友人に「ねー、この服謎解きになってるんだけど、解いてみて」などと会話することができる。天気の話より遥かに盛り上がるだろう。

ちなみに答えは WEEKEND でした。

続いて、難易度M(中級)の服。

またしてもシンプルだ。本当に謎なのか?
矢印と点線があやしい。

とっかかりが見つからず、スタッフにヒントを聞いた。まずは英語をひらがな3文字に変換してみましょうとのこと。ということは、「ちしき」だ。この並び……。あっ。そういうことか~!すっきり!

(皆さんも考えてみてください。解けないとモヤっとしますよね。そういえば昔IQサプリという番組で伊東四朗が「モヤっとボール」を浴びる恒例のくだりがありましたよね。あれ好きだったな……。) 

 

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恐山さんの服がすごい

店の奥には、オモコロのダ・ヴィンチ・恐山さんの制作した服がディスプレイされていた。

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案内しているスタッフのけーおんさん。地上波で放送された謎解き日本一決定戦Χ2022の優勝者だ。この店には謎解き界のスターがふつうにいる。

一見、2種類のTシャツが飾られているように見えるが、実は同じTシャツの前面と背面を展示しているのだ。

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服の両面の謎を解く必要がある。これは大変だ……。

まずは前面の謎を解いてみる。描かれたフォルダの数を数えると26個ある。26といえば、アルファベットだ。

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こういうことか。

あとは、模様の書かれたフォルダに対応する文字を拾うと……、IとPとZ。う~ん、IPZ、IZP、PIZ、 …PIZZA?ピッツァ?

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もうピザのことしか考えられない。

これは謎解きあるあるなのだが、一度間違った答えにたどり着いてしまうと、もうそのことしか考えられなくなる。

スタッフに助けを求めたところ、「紐が左から出てる順に読む」とのこと。ということは…

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お、これだ~。

ZIP。なるほど、フォルダが圧縮されてZIPになっていたのか。

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とりあえず答えを入力する。
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なんかメッセージが出た。まだ正解ではないようだ。

red and black。赤と黒。それが何を指すのかわからない。スタッフによれば、ここからは背面の謎も使うらしい。

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改めて見てみる。

前面には26個のフォルダが書かれていた。背面には大きな1つのフォルダが描かれているのだが、これがもし、黒いフォルダが26個あるのだとしたら……?

つまり、この服には赤いフォルダ26個と黒いフォルダ26個、合わせて52個のフォルダが描かれていることになる。赤と黒、合わせて52個のものといえば……?

ここからはぜひ自分で解いて確かめてみてほしい。謎を解くための情報はすべてそろっている。しかし、謎を解いていくと、ここからさらに3段階ぐらい展開があるのだ。

いったいどうやって作っているんだ。たった2枚のイラストと「red and black」という文言だけでこんなにもストーリーがあるなんて、すごい。私は衝撃を受けた。

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ホラー謎解き

最後にもうひとつ紹介したい。あきらかにあやしい展示を見つけたのだ。

怪談作家の梨さんの作品。しかし、服がない。

「この服は都合により上の階に移動しました。」

普通の服屋さんだったら気にも留めないだろう。しかし、ここは謎解きの店だ。こんなの絶対にあやしい。

とりあえず上の階に来た。 そこにあったのは……

人形がTシャツを着ている。これは……死んでいる!あまりにも物騒。謎解きというより、ホラーだ。

おそるおそる近づいてみる。いまにも動き出しそうでこわい。 

「この人に触れても構いません。」とある。絶対にさわりたくない。

絶対にさわりたくないけど、さわらないと解けないのかもしれない。初めてオモチャにさわる犬のように、警戒心MAXで触れてみた。なにも起きなかった。

そしてこれはしっかりと謎解きであった。血で書かれた謎解き。

 よく見ると、指紋のような物にパターンがあることに気が付く。同じ指紋には同じ文字が入るのだろう。血が怖くて脳が受け付けないので、シンプルにしてみた。

これなら解けそうな気がする。同じ数字には同じ文字が入る。

しかし、ここでしばらく詰まってしまった。

またしてもスタッフに助けを求めたところ、それぞれの言葉はローマ字で表現されるとのこと。つまり、当てはまる文字はアルファベットで、完成する言葉は日本語だ。

2つの言葉がイコールでつながっているのだが、その上にもう1つイコールがあるのも気になる。上のイコールの先にあるのは…

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これじゃん。こわっ。

この状況をローマ字で4文字と6文字の言葉にすればよいのか。ということは…

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画像をクリックすると答えが表示されます。

ふつう、謎が解けるとスッキリするはずなのに、これは解いても爽快感がない。重苦しい。こんな謎解きは初めてだ。

トキキル終了後、制作者の梨さんがXで「着たら死ぬ服」と表現していた。 

確かにそうだ。ぞくぞくする……。

トキキルの店長に聞く

いや~、面白かった。服のデザインとして自然に馴染むような、シンプルで洗練された謎が多かった。それにしても「謎解きの服屋」だなんて、どうやったら思いつくのだろう。24時間365日謎解きのことを考えているにちがいない。

縁あってトキキル店長のみーぬさんに話を聞くことができた。

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インタビュースタート!

――どのような経緯でトキキルが生まれたのでしょうか?  

みーぬ暗号みたいなデザインの服を着ている人ってたまにいますよね。あれが実際に解けたら面白いと思い、そのような服を作って「解けないと着られない服屋」として売ることにしました。それがトキキルのはじまりです。

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確かに、世の中には暗号みたいだが解けない服がある。

―― "earth" の服が完成したとき、現場は盛り上がりましたか?

みーぬとてつもなく盛り上がりました。じつはトキキルの中でも最初に作った服です。普通の服に擬態したデザインになっており、「このコンセプトは行ける!」と確信しました。

この服、とてつもなく盛り上がっていたようだ。

――やっぱり盛り上がったのですね。素人ながらにも完成度高いと思っていました。

――トキキルの運営でたいへんな点はありますか?

みーぬ:トキキルは服屋のセオリーから逆張りしている部分が多いため、お客さんにとって負担が大きい服屋になっています。

まず、店内の混雑を避けるためチケット制にしているのですが、そのチケットは3分で完売することもあり、そもそもトキキルに来店すること自体が難しいです。 

そのうえ、来店できて好きなデザインの服が見つかったとしても、解けない場合は買えません。そこで、ヒントを希望の方にはスタッフが手厚くお助けすることにしています。

――私もヒントをたくさんもらって何とか解けました。逆に、トキキルの運営で喜びを感じられる点はありますか?

みーぬお客さんがひらめく瞬間に立ち会えることです。そして、そのお客さんが再び来店の際にトキキルの服を着て遊びに来てくれることです。

また、トキキルの服を着て友人に出題する方もいるみたいです。服を買う前は解答者だったのが、購入後は出題者側に回れるというのもトキキルの醍醐味ですね。

――私も買った服を友人に出題したいです!

――最後にメッセージはありますか?

みーぬ: トキキルを知ると、日常ですれ違う服にも謎が仕掛けられているように感じて、世の中がいつもよりちょっと面白く見えるようになるかもしれません。気づいていないだけであなたの周りにも解ける服は存在するかもしれません。

 

謎解き×〇〇〇

謎解きが流行っているなかで、世の謎解きクリエイターたちは謎解きに何かを掛け合わせることで新たな価値を出している。その成功例が今回の 謎解き×服屋 だと思う。次は何と掛け合わせるのだろう。

謎解き×レストラン?
謎解き×旅行?
謎解き×スポーツ?

……調べてみたら、どれもすでにあった。うげ~。みんな考えているな。

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筆者が作成した「全俳句データベース」が少し前に X(旧Twitter) で話題になりました。「あああああ あああああああ あああああ」から「んんんんん んんんんんんん んんんんん」までの約6溝(こう)通りの全パターンの俳句を収録したジョークサイトです。
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