特集 2025年6月24日

おじいちゃんが後世に残したい竹細工TOP3

記事のネタに困って祖父に助けを求めたところ、昔の竹細工を作ってもらえることになった。

はじめは書類をまとめる状差しの作り方を教わる予定だったが、みるみるうちに他の道具もできあがっていく。なんと孫想いのおじいちゃんだろうか。せっかくなので全部紹介しよう。

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

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困ったときのグランパ&バンブー頼り

祖父に記事の相談をするとドンドコドンドコ案を出してくれるので助かる。ネタ案としては珍しい植物だの、ご先祖さまが庄屋をしていた頃の公共事業の記録だの、神影流の棒術の極意だの。

そんな中から今回は竹細工である。竹といえば、これまでにも竹を容器にして鶏肉を蒸すかっぽ鶏や、弾が飛び出る竹ボウキなどを紹介したことがある。

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竹のエキスが具材に染みる「かっぽ鶏」(記事)
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竹のしなりを活かして弾を飛ばせる暗器なホウキ(記事)

このほかにも、熱した竹を石に叩きつけて爆発させる祭りの紹介をしたり(記事)、竹ボウキに穴を開けて音がなる横笛に改造したりした(記事)

どうも、竹に強いライターです。竹産業の皆様、いっしょに業界を盛り上げていきましょう。打倒!鉄筋コンクリート!!

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少し前に旅サラダに出た祖父(83歳)

そんな竹に祖父の知恵と経験が加われば無敵だ。無敵を確認したところで本題に入りましょう。

「かぽかぽ」は鳥追いから運動会の応援まで

はじめに紹介する道具は「かぽかぽ」である。正式名称は不明とのことだが、そげ呼んじょった気がするの、との祖父の弁により「かぽかぽ」とする。

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太い竹を使うようだ
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くり抜くように加工していく

製作工程を詳しく紹介したいのだが何の説明もなくトントン拍子で進んでいくから無理だ。わたしも何がなんだか分かっていない。完成を静かに見守ろう。

写真を撮りたいからナタを握るフリだけでもさせてくださいと言いかけて、飲み込んだ。外孫なので気を使うところがある。

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手持ち無沙汰〜〜〜〜〜

ぼけっと作業を眺めているうちに「かぽかぽ」ができあがった。早速だがその働きを動画で見ていただこう。

切れ目が入っている竹の道具で、振ると大きな音を鳴らすことができるのだ。

かぽかぽは畑に撒いた麻の実や芽をついばみにやってきた鳥を追い払うために使う道具である。追い払うのは高齢者の役割だったとか。道具としては単純なのにシチュエーションが限定的なうえに古(いにしえ)過ぎて興奮する。

地域の運動会なんかがあるとき、若かりし頃の祖父はかぽかぽを大量生産して参加者に配ったという。応援を盛り上げる鳴り物として使ったのだ。

冗談の気風があってすばらしいじゃないか。歴史書は真面目さばかりを語るが冗談は厳としてそこにあった。

竹の「状差し」は機能性が抜群

次は竹の状差しを作ってくれるそうだ。状差しとは書類や伝票を差し込んで保管するための道具である。

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神社の境内に簡易的な工房がある
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電動工具も使う
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ガンガン汚れていく袴

仕事終わりの祖父を捕まえたので、神職衣装のまま工作をしてもらっている。白袴がガンガンに汚れていく。

祖父が「着物こげ汚して子どもなら怒られちょるけんどん、年寄りじゃきいいっちゃい」と冗談を飛ばす。冗談だといいけど。いい歳の取り方だと思う。

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祖父がいい歳の取り方をしている一方でやることがない俺は盛れる角度を追求していた

自撮りをしていたら状差しができあがった。かなり細かい作りのようだ。

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これが竹の状差しだ!

使い方は実例をあげて説明するとして、上部に穴が空いているので壁に引っ掛けて使えるのがポイントのひとつだ。

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こういうことですね

昔はどこの家の居間にも竹の状差しが備えてあったそうだ。竹の身近さがうかがえる。そりゃ槍にも食器にもするよな。

竹の状差しの実際の使い方はこうだ。

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竹の尖った部分を使って書類に穴を開ける
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こんな感じですね。すでに穴がある書類ならそのまま差し込めるのもグッド
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あとは棒の下までスライドさせていく
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見たことない道具なのに馴染みすぎてやばい
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いっぱい挿せるよ
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どうだ、いいだろう。状差しをいくつか作れば勘定科目ごとに分けてレシートを保管できるし確定申告が楽しくなりそうだ。これが俗にいう青竹申告である。

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青竹申告/科目ごとに経費をまとめて竹林をつくろう

状差しを見て凄がっている僕を見て「おみくじをかける道具にすればいいっちゃないと。かぐや姫みくじ掛け」と祖父が言った。どんだけアイデアが湧いてくるんだこのお爺さん。

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みくじ掛けがすぐいっぱいになるので
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竹の状差しがあれば
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取り付けるのも取り外すのも簡単だ。なにより神社の雰囲気にも合う

⏩ 名称不明だがどこの台所にもあった道具

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