スマホがいいと思います
僕たちみたいに好きなカメラを持ち込んで撮影自体を楽しむもよし、スマホで撮って友だちにシェアするのもよし(たぶんこっちが正解)、なにしろどう撮ってもかわいく撮れてしまうので2時間くらいあっという間だと思います。時間のあるときにぜひどうぞ。
デイリーポータルZの運営元であるイッツ・コミュニケーションズ(イッツコム)が、「iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ」に期間限定で写真撮影ブースを作った。しかもプロのクリエイターが各ブースの制作を手掛けるという熱の入れようである。
誰でも来て撮影に使っていいというイベント、その名も「#こどもしゃしんかん(Say Cheese!)」。
公開に合わせてカメラ好きのおとな二人が自慢のカメラを持って行ってきました。
※この記事は「#こどもしゃしんかん」の広告記事です。
デイリーポータルZの運営元であるイッツコムがソニー・ミュージックと組んで、期間限定で一般の人向けに写真撮影ブースを設置した。
わが社ながらなかなか気の利いたことをしてくれると思う。デイリーきっての写真好きとしてはカメラ持参で行ってみるしかないだろう。
しかし一人では照れるし、なにより被写体がいないので、同じく写真好き仲間であるテクノ手芸部よしださんに声をかけた。
スタジオに乗り込む前に、まずはお互い持ち寄ったカメラを自慢しあった。この時間が一番たのしかった。こういうのをプライスレスというのだろう。
ちなみに上の写真はいかにもどちらかの家みたいだが、実はイッツコムの受付の隣にあるショールームである。
AGAT18Kというロシア製ハーフカメラである。いきなりアクの強いやつをチョイスしてきた。
かつてLOMOとかスメハチとか、ロシア製のトイカメラが流行りに流行った時期があったのだ。中でもこのAGATは特殊で、ハーフカメラといって使うフィルムの幅が半分なため、通常の倍の枚数の写真が撮れる。つまり36枚撮りのフィルムで72枚も撮れる。
デジタルカメラや大容量のスマホが主流になってからというもの、みんな枚数とか気にせずに連射するようになったが、かつては泣いても笑っても36枚しか撮れなかったのだ。高級な一眼レフで連射なんかした日には5秒もかからずにフィルム1本撮り切ったものである。フィルム時代にはとにかく僕らは残りの枚数を気にしていた。ハーフカメラはそんな悩みを半分にしてくれた。
そもそも今の人たちはフィルムカメラというものを使ったことがないのではないか。実際今日のためにフィルムを買いに行ったらどこにも売っていなくて探したほどだ(カメラ屋さんにありました)。10年くらい前まではどこのコンビニにも置いてあったし、一時は100円ショップにだって売られていたというのに。
カメラの話を始めると長くなるので心を鬼にして先を急ぎたいと思う。次は僕の持ってきたカメラである。sx70というポラロイドカメラだ。
sx70はポラロイドの一眼レフカメラで、使わない時には折りたたむことができる。この仕組みが面白いしかっこいいのだ。さらに僕のやつはソナーといって魚探みたいに超音波で距離を測ってオートフォーカスできる優れもの。何年か前にフィルムが生産中止になり、それ以来オブジェと化していたが、最近になってフィルムが再販されたのでまた使えるようになった。
ポラロイドのいいところは撮ってすぐに見られるところである。今回の企画にはもってこいではないか(二人の間にデジタルカメラという選択肢はない)。
続いてはこちら。1930年代に作られた古いライカである。
小さいカメラだけどずっしりと重く、金属の塊であることが感じられてうれしい。カメラは古いがレンズは現代のものがついているので今でもきれいな写真が撮れる。実際に僕はまだこれを現役で使っている。
このカメラの特徴としてまずあげられるのは、フィルムの入れにくさだろう。
次はHORIZONというロシアのパノラマカメラ。シャッターを切った瞬間にレンズが左右に回転して広い範囲を撮影することができる。もし会場が広くてもこれさえあれば不安はない。
このカメラの特徴としてまずあげられるのは、フィルムの入れにくさだろう。
他にも二眼レフとか、フィルムの入れにくいカメラばかりを持ち寄っているのだけれど、きりがないのでいったんこのくらいにして、実際にスタジオに行って撮影させてもらうことにした。
撮った写真はハッシュタグ「#こどもしゃしんかん」で共有!
「#こどもしゃしんかん」会場にやってきた。
会場には各月ごとのイメージで写真を撮れるブースが12か所準備されていた。全部撮影してカレンダーを作ってもいいし、自分の誕生日月のブースに直行して撮るのもいいだろう。
どのブースもカラフルで立体的で、どう撮っても映えるようにできている。さすがそれぞれプロのクリエイターが監修して作っただけのことはある。
ブースにはフォトプロップスと呼ばれる小道具が用意されているところもあって、これは自由に使っていいのだという。どこまで至れり尽くせりなのか。デイリーの撮影小道具も作ってくれないだろうか。
がまんできないので撮影させていただきます。
こういう場所では予想どおり、撮ってすぐに見られるポラロイドが威力を発揮した。いま撮った写真がどのくらい映えていたのか、興奮もそのままに確認できるのだ。
僕らのような大人の男が撮ってもこの映え方である。自分の子どもなんて撮った日にはたいへんなことになるんじゃないのか。
夢中で撮った。たぶん12か月分を2周はしたと思う。楽しかったけどポップの毒にやられたのか、撮り終えた時には二人ともぐったりしていた。
撮ったフィルムは現像に出す。近くにフィルム現像してくれるお店があるのも偶然ではないだろう。デジタルカメラと違ってすぐに見られないもどかしさもまた愛おしい。
スタジオ内にもデジタルプリントや撮った写真でカレンダーを作ってくれるラボが設置されていて、デジカメならばその日のうちに映えた写真を出力して持って帰ることができる。夢だ。おれたちは夢を見せられているのかもしれない。
言い出しにくかったのでここまで引っ張ってしまったが、このイベント有料である。大人1500円、子ども500円、学生1200円(税込)。
安い。
たとえばお父さんとお母さんが一人むすめを連れて行った場合、3500円する。昔だったらCDのアルバムが買えた金額である。でも考えてみてほしい、その買ったCD、今でも聞いていますか、ということだ。ここで撮った写真はきっと一生見る。ずっと見返す。それこそすりきれるまで見るだろう。なんなら一人むすめの結婚式のスライドショーに使うかもしれない。
そう考えると安い。僕たちなんてこの日のためにフィルムと現像代で地味に5000円くらい使ったし、僕にいたってはカメラ熱が再燃してしまい、翌日新しいレンズを買ったほどである。今しか撮れない写真は今撮っておくべきなのだ。
というわけで僕たちがそれぞれのカメラで撮った今しか撮れない写真がこちらである。
この記事を読んで、またフィルムで撮りたくなった人も多いのではないだろうか。「子どもをかわいく撮りたいから」という理由はマジックワードで、これでみなさん好きなカメラを買い放題だと思うので、ぜひ変なカメラを買って会場に遊びに来てください。僕もたまに行くので変なカメラ持ってる人を見かけたら声をかけると思います。
僕たちみたいに好きなカメラを持ち込んで撮影自体を楽しむもよし、スマホで撮って友だちにシェアするのもよし(たぶんこっちが正解)、なにしろどう撮ってもかわいく撮れてしまうので2時間くらいあっという間だと思います。時間のあるときにぜひどうぞ。
#こどもしゃしんかん
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