久慈市に行く
三陸鉄道は、南北に伸びる2路線があり、北側の沿岸部、久慈市から宮古市までをむすぶのが「北リアス線」、南側の沿岸部、釜石市から大船渡市までをむすぶのが「南リアス線」だ。



2017年度の運行は、12月16日から開始となり、その運行開始イベントが久慈市で行われるという。
そんなわけで、東京から新幹線とJRを乗り継ぎ7時間。久慈市にやってきた。





何を隠そう、というか別に隠してはないけれど『あまちゃん』は、2013年の放送当時、すべての回を録画して視聴し、今でも保存しているほどドはまりしたドラマだ。
NHKの朝ドラは、1ヶ月ぐらい見続けてやっと「おもしろくなってきた」と感じる作品が多いけれど「あまちゃん」は第一話からいきなり面白かった。
それほど思い入れがある作品なので、しばらく聖地巡礼することを許して欲しい。
こたつ列車の情報をすぐ読みたい方は2ページ目へどうぞ。

これがあの……



このビルは、劇中で登場する架空の「北三陸市」の観光協会が入っているビルとしてドラマに登場する。






数年前から「取り壊される予定」という話は聞いているけれど、まだ取り壊しは実施されてないようだ。
この手の昭和のビルは、老朽化という理由ですぐに壊され、ガラス張り(内装は木)のツルっとした安普請のビルに置き換わっちゃう事が多く、なかなか昔の姿のまま残ることがない。
もし、ちゃんと手入れされて、中に入れるようになれば聖地巡礼の目玉になるのだけど、いちど来ただけの観光客がそんなこといっても仕方がない。

コスプレできる駅






この駅は、劇中でもかなり重要な場所で、なんども登場しただけあり、あまちゃんトリビュート濃度が異常に濃い。



安藤さん「西村さん、この衣装はなんですか?」
--潮騒のメモリーズですよ! 赤いほうがアキで青いほうがユイ(橋本愛)。アキとユイの二人でご当地アイドルユニットを結成するんです。その時の衣装ですよ。
安藤さん「そうですか……」
--こっちのかすりはんてんは、アキが海女やってたときの衣装ですよ。ユイもいろいろあって、海女やるんですけどね。
安藤さん「海女の衣装なんだろうなーというのはうすうす感づいてました」





瓶くん箱さんが出発式に参加
そうではない。こたつにあたりながら絶景をながめていると鬼が出てくる列車について書かなければいけない。
冒頭でも触れたとおり、こたつ列車は毎年運行しているが、特に今年はそのこたつが、養命酒仕様になっているということで、出発式と一番列車に、あのビンくんとハコさんも参加することになった。











出発式は、久慈市長や三陸鉄道社長などが参加し、滞りなく終わったが、各キャラの足元のおぼつかなさを会場全体でサポートする感じなどは実にアットホームな雰囲気の出発式だった。



養命酒こたつ列車
今シーズンのこたつ列車は養命酒がサポートしているので、こたつ列車内は養命酒一色だ。
養命酒といえば体を温める、冬に体を温めるといえば「こたつ」、こたつといえば三陸鉄道の「こたつ列車」。という養命酒製造の宣伝担当の思い付きというか熱い思いから、今回のこたつ列車コラボが実現したのだという。



はっきり言って、座るだけでちょっと楽しい。











個人的にいちばんテンションがあがったのは、運転台の横に設置してある子供用運転台だ。



もちろん、列車の動作には連動していないが、実際に走る時に運転のまねごとができるというのはヤバい。
しかも、古い車両に取り付けてあった本物の運転台を移植して設置してあるので、本物感は半端ない。






豪華すぎる弁当





久慈駅発のこたつ列車は、事前にうに弁当、あわび弁当、ほたて弁当などを予約することができる。
一番列車の乗客は全員お弁当を注文していたが、中には、おばあちゃんの誕生日のお祝いで、大漁舟唄御膳といういちばんグレードの高いやつを注文しているグループもあった。





絶景ポイントで絶景鑑賞











トンネルが多いかわりに、橋が高い位置を通っているので、必然的に海を高い場所から見下ろすことになる場所が多く、絶景ポイントがいくつもあるのだ。
この絶景ポイントは、大沢橋梁と呼ばれる橋で、駅ではないが眺めがよいためしばらく停車するサービスを、普通列車でも行っている。

未だに『あまちゃん』効果がすごい






久慈市、三陸鉄道にとって、それほど、あまちゃん効果はすごかったのだ。
いまから9年ぐらい前に、ぼくの家の近所の月島が舞台になった「瞳」という朝の連続テレビ小説があったけれど、いま月島でこのドラマのことを覚えている人は皆無だ。
それに比べると、5年ぐらいたったいまでも、それを目的に観光に訪れるひとがいるようなドラマの舞台になったのは、ずいぶん幸せな話だと思う。

PTSDに配慮する鬼





といっても、事前に「トンネル内で、なもみ(鬼)が登場致します」と告知されていたので、お客さんは完全に撮影モードである。






車内で一通りパフォーマンスを終えたなもみは、なんと、お面を脱いでスピーチしたあと、各こたつにご挨拶に来てくれる。完全にディナーショーだこれ。





--「なもみ」って、ここ(イベント列車内)だけでやってるわけじゃないんですよね?
木村さん「そうです、もともと野田村の小正月の行事だから、毎年1月になるとやってます」
--子供がいたりすると、やっぱり気合入りますか?
木村さん「いやー、最近はね、子供脅かして怖がりすぎちゃうとダメだから、ほどほどに、適当に泣かせて終わりにするね」
--PTSDに配慮する鬼だ、今っぽいですねー。



木村さん「藁だと、散らかっちゃうから、落ちた藁は本来は縁起物なんだけど列車だと掃除が大変だからねえ」
こういった鬼が落として行く藁は縁起物だというのは、昨年山形のアマハゲを見に行ったときにも聞いた。なもみがイベント列車用にカスタマイズされているさまは、それはそれでおもしろい。



木村さん「冬場、寒いからといって火に当たりすぎると、皮膚に斑点がでることがあるんです、それをこの辺の方言でナモミというんですが、怠け者は、日にあたりすぎて足にナモミができているから、この包丁でナモミを剥ぎ取って、この袋にいれて集めるぞと、そういう意味なんですよ」
--様子を想像すると、ずいぶん猟奇的ですけど、名前の由来は、吉浜のスネカや遊佐町のアマハゲと同じですね。(両方とも火にあたりすぎてできる斑点が由来の説がある)
木村さん「秋田のなまはげがいちばん有名ですけど、そういった各地の行事とは兄弟みたいなものですから」



こたつのイメージ強度がすごい






列車の車内という、あるいみパブリックな空間なのに、実家の安心感を演出できるこのこたつのイメージ強度は相当なものがある。



移動をしてるのに、家。という特別感はなかなかたのしい。


2017年12月16日~2018年3月31日の土日祝日
および2017年12月30日~2018年1月8日の毎日
養命酒こたつ列車は
2017年12月16日~2018年1月14日までの土日祝日





あたたまる、こたつ

そんなプライベートな空間が、本来パブリックであるべき場所にある違和感である。この違和感がたのしいのだ。
そのうち、自宅のようなベッドが備え付けられた、寝られる列車ができないだろうか? とおもったが、そういう列車はすでにあったことを思い出した。




