特集 2020年4月22日

国立国会図書館のデジタルコレクションの本をみんなで見る会

日本で出版されたほぼ全ての本が収蔵されるという、国立国会図書館。
現在、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため休館しているが、ネットを介したデジタルコレクションの閲覧は、これまで通りにできる。
この機会に、国会図書館のデジタルコレクションの本をいろいろ漁って、おもしろそうな本をみつけたい。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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無料で誰でも自由にいつでも昔の本が読み放題

国会図書館では、収蔵されている資料のうち、著作権保護期間が終わり、パブリックドメインとなった書籍や資料などをデジタル化し、公開している。

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国立国会図書館デジタルコレクション

このデジタルコレクションでは、図書だけでなく、雑誌、論文、官報、各種資料、そして、あげくのはてには昔のレコード音源や映像まで視聴できる。
図書だけに限っても、デジタルコレクションで公開されている数は35万7千件近くある。この例え方にどれほどに意味があるかわからないけれど、1日10冊ほどチェックしていったとしても、97年かかる。
それほどの大量の資料を、誰もが自由にいつでも閲覧できるなんて、ほんとうに夢のような話だし、ぼくの払っている税金はすべてこれに使われているとおもうと、税金を納めるモチベーションもあがろうというものだ。

みんなでおもしろい本をさがして見せ合おう

毎日せっせとみたとしても、100年近くかかる国会図書館のデジタルコレクションだけれど、何人かで手分けして、いろいろ探せば、おもしろそうな本が効率よく見つけられるのではないか。
そこで、デイリーポータルZ編集部の林さん、古賀さん、そして作家でエッセイストの宮田珠己さん、それとぼくで国会図書館のデジタルコレクションを検索し、それぞれが探しだしたおもしろそうな本をみんなで見せ合う会を開催した。

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鑑賞では、イラストレーターのべつやくさんも入ってもらった

事前に探しておいたいくつかの本を、オンラインで順番に発表していく。今回、古賀、林、宮田、西村(筆者)の4名が発表を行い、その様子は、べつやくさんにも見てもらった。

いろんな姿の桃太郎がちょっとおもしろい。

西村:まず最初は私からなんですが……むかしの絵本、とくに桃太郎の絵本を見比べると、おもしろかったので、いろいろ探してみました。

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古屋白羊(1952)『はなしの絵本』ます美書房

西村:戦後すぐくらいの桃太郎の絵本ですが、桃太郎の下にヤギの絵がある。なんなのかなと思ったら、上下が別の話なんですね。

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上下二段で話が進行

古賀:わー、気が散る!

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どっち読めばいいか悩む

西村:1冊で2つ分の話が読めるのがおとくですね。気が散りますけど。

林:これってもしかして、最終的にひとつの話につながってくるとかですか?

西村:つながらないです。つながらないんですが、最後の懲らしめシーンはリンクするようになってました。

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懲らしめられるシーンはリンクしている

べつやく:懲らしめシーン……。

昔の絵本は容赦がない。鬼はまだしも、オオカミに関しては、腹の中に石を詰められたうえ、川に落ちる。「かわにおちちゃった」と軽く書いてあるけれど、確実に死んでいる。

西村:続いて見てほしいのが、この桃太郎です。

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榎本松之助(1927)『桃太郎』榎本法令舘東京支店

西村:表紙の桃太郎ちょっとよく見ておいてほしいんですが。本文がこちらです。

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いでたちが……

西村:桃太郎の雰囲気が表紙とまったくちがう。

べつやく:髪型も古代人みたいになっちゃってる。

宮田:桃太郎神社(愛知県)の人形によく似てますよ、これ。

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桃太郎神社の桃太郎(店長の思い出を壁に記録する……自由すぎる店!より)

 西村:で、気になる懲らしめシーンなんですけど。

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懲らしめシーン
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無表情だなあ

西村:無表情なんですよね。

べつやく:鬼はやられた〜みたいな表情してるのにね。

古賀:猿がシティーハンターみたいなトンカチもってますね。

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シティーハンターだったら「100t」ってかいてあるやつ

西村:キジに至っては、飛ぶことをやめて槍で攻撃です。自らのアドパンテージを捨ててまで。で、凱旋のときがこれですね。

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凱旋のシーン

西村:桃太郎、感情を失ってるんですよ。

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感情がないのかな

林:サイコパスの顔ですねこれ。

西村:次なんですけど、英語に翻訳された桃太郎がおもしろいんですよ。ダビッドタムソンというひとが明治時代に英語に翻訳した『Momotaro』です。

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ダビッドタムソン(1885)『Momotaro』弘文社

西村:英語の本文のところをちょっと読んで見ると……。

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川上から、大きな桃が……のシーン

西村:「tumbling and splashing down the stream」いかにも、桃が「どんぶらこ」と流れてくる感じが、しませんか? よくわかんないけど。ダンブリング アンド スプラッシング。

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お腰につけたきび団子、ひとつわたしにくださいな。

西村:ドッグがでてきて言うわけです「What have you there hanging at your belt?」ユアベルトになにをぶらさげてるんだ? と。

西村:桃太郎が答えて「I have some of the very best Japanese millet dumplings.」ベリーベストなジャパニーズミレット(雑穀)ダンプリング(だんご)。

べつやく:きびだんご、ベリーベストときたね。

西村:ドッグが答えて「Give me one and I will go with you,」ですよ。ひとつくれたら一緒に行くと。

林:「I will go with you」ってかっこいいですねー。

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衝撃の事実が判明

西村:懲らしめシーンもちょっと読んでみます。「the chief of the devils, called Akandoji.」鬼のチーフに名前があったんですね、アカンドウジという。

古賀:へー。

西村:調べたら、酒呑童子の間違いじゃないかという説もありますけど、いずれにせよ、鬼のチーフに名前があった。で、そのアカンドウジが「Akandoji made at Momotaro with an iron club」アイアンクラブを持ち出して、桃太郎を襲撃した、と。

古賀:アイアンクラブ!

べつやく:金棒ね。

林:アイアンクラブってそれヤクザのカチコミですね。

西村:最後のページなんですけど。

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イヌサルキジがかわいい

 古賀:あー、これはかわいい!

西村:「congratulated indeed!!」インディード、「とっても」みたいな意味ですかね。

べつやく:あー、めでたしめでたしだ。

西村:桃太郎は、セリフが頭に入ってるから、英語がちょっとしか読めなくてもなんとなく意味がつかめるのがいいですね。

かわいいどうぶつの絵本

古賀:次、私ですね。わたしも絵本なんですが「かわいいどうぶつ」という絵本のどうぶつがかわいいので見てください。

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加藤まさを(1951)『かわいい動物』ゆりかご社

古賀:昭和26年の絵本なんですけど、馬が異常にデカイんです。

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うまがでかい

西村:デカい!

べつやく:ほんとだ! 北朝鮮の銅像みたいだね。

古賀:あと、昭和6年の絵本なんですけど、これもいい。

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岩崎良信(1931)『かわいいどうぶつ』鶴書房

古賀:ブタがめちゃくちゃかわいいんですよ。ブタめっちゃかわいくないですか?

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ブタがかわいい

宮田:わー、笑ってる! 顔が人になってますね。

西村:すごい笑顔、人面ブタだ。これ、左とん平に似てません?

林:ほんとだ!

古賀:あと、昭和30年の『かわいいどうぶつ』という絵本は……。

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『かわいいどうぶつ』(1955)大日本雄弁会講談社

 古賀:これの見どころは……このページすごくよくないですか?

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いきものがかり

べつやく:いいね、ねらってんのかなこれ。

西村:スリーピースバンドのジャケ写感ありますね。

古賀:あと、やっぱりブタがかわいい。

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やっぱりブタがいる

べつやく:「かわいいどうぶつ」には、絶対ブタがいるんだ。

古賀:なぜか必ずブタがいる「かわいいどうぶつ」の絵がかわいい。絵本はいいですよね。

昭和天皇即位の大礼写真集

林:昭和4年の昭和天皇の即位大礼の記念で、金沢で行われたお祝いの行事を記録した写真集です。最初の方は、即位の大礼の様子を、絵と文章で紹介しているんですよ。

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『写真交名大鑑 : 御大典奉祝記念』(1929)共道社

西村:令和のやつはこないだやってたやつですね。

林:そうそう、天皇が京都に行幸して東京に戻ってきたときの写真とかがあって、お祝いのパレードがあるんですね。花電車を走らせたりして、提灯行列とか。

べつやく:市民がパレードに参加できたんだ。

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市民参加の行列があった

 林:でも、そのパレードがだんだんおかしくなってくるんです。これよく見てください。

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なぜ、自動車を曳く……。

林:「昭和の時代なればこそ、自動車を綱で曳く珍趣向」珍趣向?

古賀:サイコーだな!

林:「やんやの喝采を受けるも道理。車上のさんご樹は輝く」と、自動車を山車みたいに曳いちゃうんですね。当時、車がイケてたんでしょうね。

べつやく:まだ珍しかったんだね。

西村:運転しなよ。

林:で、凧は揚るって書いてあるんですけど、凧が人なんですよ。

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凧の仮装

宮田:ホントだ。「昭和太郎の凧揚がる」……。

西村:凧は揚がるから、景気がいいということかなー。

林:凧人間のうしろ、だるまの仮装をしているひとが居ますけど、これ、ちょっと覚えといてください。

林:だんだん即位の大礼からズレてきはじめて、道化仮装をふざけて始めちゃうんですね。

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道化仮装をしはじめる

古賀:やりたい放題だ。

西村:口実にしてふざけたいだけなんでしょうね、今と一緒だなー。

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百姓行列まではじまる

林:「大名行列があれば、百姓行列もなければならぬ」といって百姓行列をはじめる、いよいよおかしくなってきて、ついにこれですね最後。

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だるま行列と蛸踊り

林:だるま行列と蛸踊り。

古賀:さっきのやつだー。

西村:いい写真ですねー。達磨、胸に「奉祝」って書いてありますね。

林:「達磨行列の可笑しさに見る人は腹を抱へて転げんばかり」って書いてありますね。いちばん面白かったのが下の蛸踊り。「これは足の八本もある蛸さんのしなやかな踊り。近江町だけに少しモダンがかかってゐる」

べつやく:何を言っているのか(笑)

西村:しなやかだったんでしょうねー、いいなあこれ。

宮田:よく見つけましたねこういうの、どうやって検索したんですか。

林:これは写真を見たくて「風俗」「写真」「東京」みたいなキーワードを組み合わせて、当時の街の様子を見たいとおもって探したら出てきましたね。

べつやく:とんでもないのが出てきた。

宮田:いいの見つけましたねー。

べつやく:次の即位があったらタコ踊りしたいよね。

林:日本の伝統にのっとってタコ踊りしたいですね。

いったん広告です

日本を見ずに描いた日本

宮田:私から紹介するのは『モンタヌス日本誌』です。これ、実は前にまとめて本を出したことがあるんですが、国会図書館にも資料があるかなと思って探したらあったので、紹介します。

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『モンタヌス日本誌』

宮田:これは17世紀、まだヨーロッパに日本の情報がほとんどないころに、オランダ人のモンタヌスという人が、不確かな情報を元に絵をかいて本にしたんですね。

古賀:もうおもしろいな。

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大名行列?

宮田:これ、日本の大名行列っていうんですけど……大名行列に馬車ってあるのかな。というのがまずありますね。

べつやく:車輪も不安ですもんね。

西村:刀の鍔みたいな車輪だな。

宮田:手前には楽隊なんかも居るんですよ。ラッパ吹いたりしてる。でも、よく見ると、武士らしいかっこうをしてる人もいる。でも、やっぱり服は変な感じ。

林:服が全部柔らかそうですもんね。

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着てる服が柔らかそう

西村:まず質感から違うという。……ところで、どこに大名が乗ってるんだろう。

べつやく:馬車から覗いてるヤツじゃない?

西村:大名、顔出しちゃってる。

宮田:それからこれ、千手観音だって言うんですけど。

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千手観音?

宮田:手の生えてる位置。

林:すごいなー。

宮田:あと、ふつう十一面観音って頭の上に顔が11個乗ってるはずなんですけど、これはなぜか、顔が全部胸に付いちゃってる。

西村:顔つける位置間違えちゃった。

べつやく:バンドTシャツじゃないんだから……。

林:ボヘミアンラプソディみたいになってるな。

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顔の位置を間違えちゃった

宮田:手前にいる人の着てる服もやっぱり質感が柔らかそう。さらに右奥の方の山、燃えてますよね。

古賀:あ、本当だ。

宮田:これ、比叡山の焼き討ちだそうです。

西村:いまここでそれをかく必要ある?

林:宮田さん、これ千手観音の手がいっぱいあるけど、袖はひとつなんですね。

宮田:二の腕から先だけなのかな? 柔らかいからのびるんですねたぶん。

古賀:そんなことってある?

宮田:次のが、京都の方広寺というところにあった大仏の絵なんですけど。

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大仏? おっぱいあるけど。

宮田:よくみると、手前に獅子が両側にあってこれたぶん狛犬ですよね、で、ちょっと奥に怪物みたいなのがふたつあって、これたぶん仁王像のことなんじゃないかと。で、観音様をイメージしたのか、胸が……おっぱいがあるんですけど。なんでしょうね、これ。建物はレンガ造りというね。

べつやく:奥に聖人みたいなのがいっぱい並んでますね。

宮田:三十三間堂みたいになってますよね。

西村:方広寺って三十三間堂の近くだから、一緒にしちゃったんじゃないですか?

宮田:つぎの図が切腹の図。

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切腹の図?

べつやく:なんか出てるな〜。

古賀:出てる出てる。

宮田:刀持ってる人が、頭に鳥の羽のせちゃってますね。

べつやく:ここでこういう優雅さはいらないですよね。

西村:なんで鳥の羽のせちゃったんだろう。これたぶん介錯するひとですよね。

宮田:なんか雑談してますよね、知ったこっちゃねえみたいに。

西村:まじめに介錯してあげてほしい!

宮田:まだあります、次は織田信長の像だそうです。

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織田信長像

西村:絶対違うでしょ! どのへんがどう信長なんですか?

べつやく:どれをとって信長というのか?

宮田:わからないんですよね。信長が等身大の自分の像を作って拝ませたという話があって、それに基づいた絵だと思いますけど、これどう見ても女ですよね。

べつやく:ドレス着てますもんね。

宮田:最後にひとつだけ、皆さんに聞きたいんですけど、これ戸塚にあった猿の寺の絵らしいんですけど、昔、戸塚にそんな寺あったんですかね?

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戸塚の猿の寺

西村:五百羅漢寺みたいな雰囲気はあるんですけど……。

べつやく:でもこれ、生きてますよね猿。どういう寺なんだろう?

古賀:めっちゃ拝んでますよね。右下の人とか。

西村:しかも戸塚っていうのがね、戸塚……日光ではなく。

一同:……。

林:猿軍団でしょそれは。

宮田:まあ、こんな感じなんですけれども。

林:いいもん見ました。

いい感じの社会科画集

古賀:つぎ私なんですが、サクッとひとつだけ『社会科画集』というのがあって、西村さん好きそうなやつなんですけど。

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『社会科画集』(1950)育英出版

西村:いいですね! 大好きです。

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たかさくらべなど

宮田:『くらべる図鑑』みたいですね。

古賀:そうなんです、で、私がすごくおすすめの場所があって。生き物の資料ページの中に「いえにいるどうぶつ」とか「たべられるとり」とかあって、その中に「からだのなかにいるむし」というのがあるんですよ。ヤバくないですか。

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びょうきをうつすむし

西村:疫病ですよねー。

林:虫で寄生虫出してくるのすごいですよね。

宮田:チフスに罹ったら服までボロボロになっちゃうのすごいね……。

古賀:あと、きっぷのいろいろとかあって。

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きっぷのいろいろ

林:これはいい……横の長生き比べ、カラス100年生きるって本当?

西村:じっくり読みたい!

古賀:あとでじっくり読んでください! 

勝手に創作したチャップリンの小説

林:昭和7年の『チャップリン大会』です。

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緑川榮山(1918)『チャップリン大会』三盟社書店

林:当時、チャップリンが当時人気だったとおもうんですけど、チャップリンが日本に来たという体で、勝手に創作して書いている小説なんですよ。

西村:嘘なんだ。

林:小説の中で、チャップリンのことをチャップリン君って呼んでるんですけど。

古賀:そんな「がんばれタブチくん」みたいな呼び方でいいの。

林:チャップリン君、日本にやってくるんですけど、旅行中もこの格好なんですね。

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あのかっこうのままのチャップリン

林:さらにチャップリン君は日本語も覚えているんですよ。

古賀:都合がいい!

林:「チャップリン君は、日本の風光を観るために、単独旅行を思いたった。此の時はモウ日本の言葉も片言交じりに覚えて来たのでそれがまた面白くて堪らんのである」と。

古賀:どうしてだよ。

林:さっきの絵で蕎麦屋にチャップリン君が居たと思うんですけど、チャップリン君は川崎で蕎麦屋に入るんですね。蕎麦屋のお姉さんの呼び込みに「チャップリン君は仲々の好男子でそして女が大の好きと来ているから、女の声を聞くとどうしてもそこを素通りすることが出来ぬという」つまり、映画の雰囲気そのままで日本を旅してる。

林:蕎麦屋に入ったチャップリン君は「モシ姉さん、蕎麦を出して下さい……」というわけです。

西村:カタコトだ。

林:なんにしますかってきかれて、チャップリン君は「カケ、下さい……」と。

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チャップリン君、カケを注文

林:このあと、チャップリン君は、薬味箱に気づいて、薬味をいっぱいかけちゃうんですよ、唐辛子を。蕎麦屋に注意されるんですけど、やせ我慢して「日本の唐辛子は辛味が薄くてうまくないから、私たくさんかけたのです」と、カタコトで言い訳するという。蕎麦屋の失敗談が書いてある。

べつやく:嘘だろうね。

林:チャップリン君は、金持ちだから金時計を持ってるんだけど、おかしな格好をしてるから、ドロボーと間違えられて警官に捕まってしまう話とか。でも、自分が載ってる雑誌を見せて「独りでニコニコしながら得意のチャップリン歩き」で立ち去ってしまう。

古賀:あれだ!

べつやく:あれ得意なんだ!

林:その次の話が「四 水風呂で仕返しの巻」

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水風呂で仕返しの巻

べつやく:巻!

林:この本、すごく面白いんですよ。文章で読んでもあのチャップリンの動きが頭の中で影像になるから、面白いんですよね。

西村:これは知らなかった。あとで読んでみたい。

宮田:こういうの勝手に作っても良かったんですね。

林:チャップリンが映画ではやってるから、日本に来たときの話を勝手に書いたれっていうことで書いちゃったんだと思うんですけど。花魁と絡んだりしてますよ。

林:以上、大正七年の『チャップリン大会』でした。

古賀:大会ってなんだろうね。大会がわかんないですね。

林:今、こういうの書きたくてしょうがない『マッドマックス大会』とか。

不思議な生き物がかいてある本

宮田:私のやつは、本当に一発ギャグだけなんですけど。1800年に蘭方医の広川獬(ひろかわかい)が、長崎に行って見てきたものをかいた本なんですけど。

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広川獬『長崎見聞録抜書』

宮田:その中で、なんだこれ! って思ったやつひとつなんですけど。これです。

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Tみたいなやつはなんだ?
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なんだこれ?

古賀:うわ、かわいい。なんだろうこれ。めちゃめちゃかわいい。

べつやく:かわいい。

西村:これ、シュモクザメじゃないですか?

宮田:そう、シュモクザメなんですけど、ヒレもないし、目の位置も違うし。

西村:これも想像してかいてるんじゃないですか?

宮田:どうだろう、一応見てかいてるとは思うんですけど。

林:もう、打ち上げられて時間が経ってて、ちょっと腐ってたとか?

西村:それにしてもいい絵ですねー。

古賀:これのグッズがほしい!

西村:Tシャツ作りたいですね。

宮田:私が言いたかったのはこれだけなので、以上です。


時間が足りない

そんなわけで、国会図書館のデジタルコレクションにある面白そうな本を、みんなでみせあった。
明治、大正、昭和初期あたりの書籍は、忘れられた、知られざる書籍がどっさり眠っているといえる。

検索キーワードを工夫して、自分の興味がある分野の本を探っていくと、思いがけない掘り出しものが見つかることもある。

そうか、これが「沼」というものなのかと、ひとりごちた。

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