ライター:トルー
第一回:明治 さいておいしいモッツァレラ
第二回:デイリーヤマザキのロースとんかつおにぎり
第三回:キューピー つぶしてつくろう たまごサラダ
第四回:カネテツデリカフーズ ほぼカニ
第五回:日本ハム 袋のままできるチキンオムライス
※小出し記事は書けたところから即、小出しに公開する連載企画です!
カツが長い
「これで? 完成?」という抽象画みたいなおにぎりである。ラックに「はみ出す具材」みたいなコピーがあったので、敢えてカツを飛び出させていることが分かる。
隣に天むすもあってエビ天が飛び出ていたが、こちらはよくある天むすだな、という印象だった。
会議でも言われたんじゃないだろうか
商品開発の担当者がデイリーヤマザキの偉い人の前に試作品を出す。偉い人がゆっくりとおにぎりをつかんで言うのだ。
ポジティブに捉えれば見た目に特徴があっていいね、ということになるし、ネガティブに捉えれば食べにくいね、となる。どっちにしろこの形には意味があるのだ、という説明ができた方がいいだろう。
素人の想像だけど、競合が強いおにぎりの世界で生き抜くには他にはないインパクトが必要だろう。そこに普通の「とんかつおにぎり」を持ってきても埋もれてしまう。そこでおにぎりから大きく飛び出たカツなのだ。
しかし、飛び出過ぎてもお店で扱いづらいし何より食べづらい。そこで見た目のインパクトと食べやすさのバランスは事前に検証しておく必要がある。
こんな感じで説明すれば納得いただけるだろうか。突然「おにぎり」という単位を使ったけど、どう考えてもこの単位があった方が説明しやすいので採用した。
とんかつ端っこ問題
この商品を売り場で見て気が付いたことがあった。端っこのとんかつしかないのだ。
確かに衣が多い端っこのとんかつの方がおにぎりには合いそうだ。そんなことを考えて家に帰ったのだけど、何日かして突然「全部端っこってこと、ある?」と尋常ではない違和感を覚えて近所のデイリーヤマザキを全て回った。探偵が何かを閃いて殺害現場にダッシュで戻る、あれである。
3店舗周り、見つけたロースとんかつおにぎりは3個。全部端っこだった。
「とんかつの真ん中は? とんかつの真ん中はどこに行ったの?」
頭を抱えた。
そんな混沌の渦に巻き込まれたことを妻に話すと「カツサンドじゃない?」とノータイムで打ち返してきた。ああ、カツサンドかもしれない。とんかつまんなか弁当よりも遥かに説得力がある。
つまりデイリーヤマザキでは揚げたとんかつをザクザクと切って、端っこをとんかつおにぎりに、真ん中をカツサンドに使っているのだ。
みんなもいいって言っているのだったらしょうがないな、となりロースとんかつおにぎりの販売が決まった。
そんな想像をした。
実際どうなんだろう。もしこういう会議に出たことのある方がいたら教えてほしい。教えてくれないととんかつまんなか弁当とか言い出しちゃうので。
ライター:トルー
第一回:明治 さいておいしいモッツァレラ
第二回:デイリーヤマザキのロースとんかつおにぎり
第三回:キューピー つぶしてつくろう たまごサラダ
第四回:カネテツデリカフーズ ほぼカニ
第五回:日本ハム 袋のままできるチキンオムライス
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