特集 2022年4月23日

イラストができるまで【興味ゼロなキャンプの本の場合】

本とかのイラストって、どうやって描かれるものなのか、気になるよね! 気にしてほしいので今回は、イラストレーターのお仕事を紹介したいと思いますッ!

(…とはいうものの、なんと今回は【キャンプの本】という、キャンプ度ゼロなインドア人間にとってはあまりにハードな案件だったため、そこで「実際にキャンパーになることで」なんとかしてみたので、一体どんなことになったのか、衝撃の一部始終も公開したいと思いますッ!)

多摩在住のイラストライター。諸メディアにおいて、フマジメなイラストや文章を描くことを専門としながらも、昼は某出版社でマジメな雑誌の編集長をしたりするなど、波乱の人生を送った後に、新たなるありのままの世界へ。そんなデイリーポータルZでのありのままの業務内容はコチラを!(動画インタビュー)

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ってことで突然コーナーが始まったが、イラストってどうやってできていくのか早速みていこう。ちなみに令和な現代では、イラストってデジタルのみで描く人も多いが、僕は昭和。

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いわゆる昭和の漫画家的な、無骨かつアナログな手描きで行っているので、そんな無骨なやり方を紹介していくでッ!

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と行きたいが、まずは依頼をいただかないと始まらない。ちなみにそういうイラスト仕事って、メールなどで連絡をいただく。今回の例は、気心の知れた編集者さんからなので、

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気心の知れた端的な連絡を交わすことになるが、スケジュールで引き受けられるか、検討することとなる。が、今回の当時、多忙であまりに時間が無かったので、僕からのセキララな返事としても、

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ほぼ無理と。気心知れてるとはいえ、私的すぎる。相当、私的な現状まで。そして一方、気になったのが、今回のご依頼、キャンプの本のイラストを描く、ということで。って、キャ、キャンプ!?

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我ながらキャンプ度ゼロ。家から出すらしない。そんなんでイケるのか…、と葛藤したが、これを機にキャンパーになって(謎)なんとか力になれたら!と思い、調整して引き受けることにしたのであった。

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ではまず必要なのが、紙! だが、普通の紙ではなく、この

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漫画原稿用紙ってやつを使用。絵はペンで刻み込んでいくゆえ紙にある程度の厚みが必要となり、当紙その辺の塩梅が絶妙なのである。その一方、パッケージの女子の

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虚無的な目が気になるが、僕的にはこれが定番なのであった。

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さらによく見るとこの紙、デフォルトで、薄青色で目盛りが記されているのである。これのおかげで、漫画を描く際のコマの罫線がチョー引きやすいってわけ。いつもありがとう。

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そして必要になるのがインク。まぁ黒けりゃ何でもいいが、

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ペンとの相性で、僕的にオススメなのが、この「製図用」ってやつ。まぁ黒けりゃ何でもいい。

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続いてペンだが、実はペンって、ペン軸とペン先が合体して成り立っている!もので、まずはその前者から。

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ペン軸、どん。何の感想も出てこないフォルムだが、

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全丸ペン専用って。実はペンにはいろんな種類があり、丸ペンとかGペンとか……あとはよく知らないので各自ググってほしいが、そんなペン(先)に応じた形になっているのであった。

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そのペン先。王道はたぶんGペンなのだが、なぜか僕は本来細い線専用の丸ペンのみで、全てを描きあげている。力でッ! 圧でッ! 全ての強弱を具現化しているので、ぜひ漢を感じてほしい。それが

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僕のまんが道や!ってことで今回もこの相棒で描いていこう。…ん? そう、今回新たに買ったのは、別に使わないのであった。ごめん。

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では作業開始。まずは依頼内容、つまりは、どんなイラストを描くのかを、確認。この際に編集者さんから、

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詳しい説明があると、イメージのブレもなくなり助かる。最低限マッチ棒人間くらいでも、ビジュアル化までしてくれるとより助かる。

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その詳細をもとに、まずは構図を大まかに意識して、大ラフ(ラフなど呼称はいろいろあり)を描く。今回は点数が多いが、一気に

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書きなぐる。雑すぎる。あらためて自分で見てもよくわからない、が、例えば、このイラストについて。

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どの? って感じだが、とあるソロキャンプをしてる様子、のイラストで、キャンプだしきっとテントなども書くことになるのであろう。

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そんな心許ない大ラフを基に、さっきの原稿用紙にちゃんとしたラフ(下書きなど呼称はいろいろあり)を描いていく、

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のだが、描いて早々、壁にぶち当たった。テントが…テントの絵が描けない…! キャンプ度ゼロゆえ、テントようわからん。ヤバイ! これは今回の仕事では致命的であるが、でもなんとかせねば…!

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それならキャンプ感を高めるためにも! よりリアルを求めて、いっそキャンパーになるべく、テントを買ってこようッ!!(マジかよ)

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 ってことでやって来たよ、ホームセンター。

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何でも売ってるわねぇ。うふふ。

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楽しそうだねぇ。うふふ。このマネキン達を見ても、楽しさが伝わってくる。そうかキャンプってこんな楽しいモノなのか。で、ホントに

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テントGET。急に。何この買い物。そしてこれ、だいぶ小さいけど

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イージーにセットできるテント!とのことで、じゃあ買ってしまったので、キャンパーになるためにも設置してみよう、部屋に。…え、部屋に? 当然部屋で設置するものではないが、

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気にせず、四方にバッサーと開放。

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つまりはバカデカい折り畳み傘のスンポーで、まあスゴイ。そうしてあっさりと、

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テント完成!! すこぶる簡単に! なんて時代や!! と、初めてのキャンプ気分に感極まるが、

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ふと冷静になり、客観的に見てみると、

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!!室内にあると違和感MAX。テントのここじゃない感がエグイ。だが、それは誰も責められないだろう。

ではキャンパーイラストレーターになるためにも、

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この中で、作業してみよう!

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宮崎駿だって、作品にリアリティーを与えるために、そうしろと言ってくるはず! (言ってこられてはいない)。って、そもそも、やや薄暗いので

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ランタン風なもので灯りをともす。あらキャンプっぽい。そして机は暫定的に

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アイロン台的な机にて。高さは丁度いい。ではココで、キャンプイラスト執筆スタート!

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なんでこんなところで、という思いは奥底に沈める。が、閉鎖的空間ゆえか、ココ思いのほか全集中できる! なんだこれ、コレが噂のソロキャンプか!! チョー室内ゆえ、厳密には違う。

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と、ノリノリで作業に打ち込んでいると、ふと、隣りから、

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・      「何してるの?」

!! 愛犬ももが。気になって見に来たらしい。

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ちょっと待って、いま作業中だから!

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犬的にはかまわない模様。ちなみに、テント窓の外から見ても、

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なんだか仲良さそうな画が。などなど、キャンプならではの醍醐味を味わえたことで(たぶん違う)、キャンプのリアルを体験できたと言えるであろう!!

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・                 「散歩は?」

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って、そういやテントを描くのが目的だったので、ガチテント体験をもとに下書きを描き上げ、さっきのペンにさっきのインクをつけて、

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テントを執筆! おぉ、さすがのリアリティー!(主観)これもガチテントのおかげであろうッ! ってことで、この調子で

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来る日も来る日も、

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テレワーク後に毎晩テントの中で

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どんどん描きまくるッ! そして

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どんどん介入してくる犬ッ! …って、何これ。ももがテントを

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チョー気に入っちゃってるんですけど!想定外!本筋とは関係なし!

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さらに、とある日には

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テントの中でおすわりしている、のだけども、!?

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・             「?」

チョーON! ちょっとあんた、チョー原稿座ってるんですけど!  どいてよ!! と、こうしてテントでワイワイ暮らすおかげで、

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いつになくリアルな(主観)テントが

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次々と描けていったのであった! ありがとう、テント!!

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そしてさらに、他のイラストにおいて、今度は、

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キャンプでの寝袋を描く必要があるシーンが。寝袋、噂には聞くが、入ったことない。コレはまたリアリティーが必要! ってことで、

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どん。また買ってきた。寝袋。シュラフってらしいがたぶん寝袋。

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寝袋、初めての経験だが、一体どんなものなのか

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リアルを求めて

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実際に堪能してみたところ、

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変態、キターーーーーッ!! …って何これ。でもあったかい。

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とりあえず犬は興味津々であった。いずれにせよ、こうしてガチ寝袋を体感できたことで、よりリアルな

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寝袋を描きあげることができたのであった! ありがとう、寝袋!!

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そんなこんなで、ガチテントや、ガチ寝袋や、

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ガチ犬によって、キャンパーイラストレーターとなり、作品にリアルを吹き込めたおかげで、

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キャンプイラストを描きあげることができたのであった! ありがとう、みんな! ちなみにそんなこんなで完成したのが、この本でして

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こんな奇妙なドラマを経て描かれたイラストも

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たくさん載っていますので 

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書店で売られていたら、売られてるなぁと思って頂けたら幸いです。

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ってことで、何の話だったかわからなくなったけど、イラストはこんなような感じで描かれるものなのでした(普遍性ゼロ)。ではまた。


 

はい、以上いかがでしたでしょうか、今週の「キャンプはもうコリゴリ」。これからもリアルを求めていきましょう。

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常にテントに入りたがっている犬。

 

 

運と上司に恵まれなくてもキャンプに行けば大丈夫
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NPO法人 Nature Service(監修), 晴香 葉子(監修), 杉山 崇(監修), 田中 一徳(監修)
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