いい茶屋があると聞けば行くしかないのだ
私は山の上や滝のそばにある“茶屋”が好きだ。ここでいう茶屋とは、見晴らしがいい場所にある休憩処のような、売店のような、飲み物を軽食を買って一息ついたりできるようなお店のことである。私は大阪に住んでいるのだが、兵庫県の六甲山系の山々にはそういう茶屋がたくさんあるのでよく行くし、京都・嵐山にある川沿いの茶屋なんかも大好きである。
私が茶屋好きであることを知った友人が、「暗峠にある茶屋、おすすめですよ!」と教えてくれた。「ちょっと登るのが大変ですが」という。暗峠……、何度か耳にしたことはあったけど、どういう場所だかよくわかっていなかった。「くらがり」である。名前からして怖いではないか。
だが、改めて調べてみると、東大阪市にある枚岡駅という駅で降りると割とすぐに暗峠を登っていくことができ、45分ほどで友人の言う茶屋まで行けるようなのだ。そしてその茶屋は、大阪府東大阪市と奈良県生駒市の境目付近にあるのだとか。れっきとした国道でありながら勾配のきつい急カーブが連続するために“酷道”として広く知られているらしい暗峠。楽に登れるということはないだろうけど、まあ、行ってみるしかないな。
そんなわけで、天気いい日の午前中に枚岡(ひらおか)駅へやってきた。
案内板に従って歩くとすぐに「枚岡神社」という大きな神社がある。その境内からつながるようにして、暗峠へ向かえるようだ。
予想を遥かに超えた急な坂
さて、例の、“酷道”とも言われる国道308号線に出た。あとはひたすらここを歩いていけば、県境まで行けるはずである。
登り始めてすぐの場所に「初音」という休憩所があり、もうここで休みたいが、まだ旅は始まったばかりなので今回は我慢する。すごくよさそうなお店だった。
それにしても、坂の勾配がすごい。すぐに息が上がり、心臓がバクバク状態に。まだまだ序盤も序盤なんだろうから、これがずっと続くと思うと厳しいな……。
道端に運動量を示す案内板があり、そこに「歌って歩けるペースが大事!」と書いてある。
『ドラえもんの唄』や『川の流れのように』を歌うことが推奨されているようだったが、私はとうてい歌って歩ける状態ではなかった。
20分ほど歩いてきたところでちょっとくじけそうになる。いや、登るけど、それにしてもこの坂は酷過ぎる。
車の邪魔にならなそうな場所に座って一休みすることにした。スマホを地面に置いて自撮りしてみたのだが、見て欲しい。
これ、私が斜めなんじゃなくて坂が急なんですよ!うっかり荷物を地面に落としたらゴロゴロ転がっていってしまいそうで不安なほど。