満足して、今もう食べたい
ひとつのものを一度に食べすぎると嫌いになってしまうという説があるけれど(過去にしいたけとほうれん草のバター炒めを食べすぎて、しいたけが一時期受け付けなくなった)タルタルソースに関しては全くの杞憂だった。
お腹いっぱいにこそなったが、半日経った今、もう食べたい。次に飲み会でタルタルソースがココット皿に入って出てきたらどうかな、まわりのひとに譲れるだろうか。わからない。愛が加速していく。
エビフライにアジフライ、鮭のムニエルにチキン南蛮。タルタルソースを迎えるにふさわしいメンバーが集った。
タルタルソースの器が大きすぎるせいで、おかずたちがミニチュアに見える。それぞれのお皿が夕飯のメインディッシュを張れる大きさなんです。信じて。
タルタルソースと揚げものの相性の良さ、この一口で完全に理解してしまったね。
とろっとしたタルタルソースのヴェールの中からカリカリの衣、さらにその中からプリプリのえび!嬉しい三拍子。
咀嚼するうちに玉ねぎやピクルスが口の中をさっぱり爽やかにしてくれる。リズムに乗って、次に次にと箸が進む。
今日調べて知ったんだけど、チキン南蛮って唐揚げと違って、お肉に小麦粉をまぶしたあとに溶き卵にくぐらせて揚げるのだそうだ。
溶き卵が揚げ油に浸った瞬間ふわふわって膨らんで、そのふわふわが甘酢をじゅって吸い込んで、それをタルタルソースが全身で抱きしめてる。何重にもくるまれた毛布の中から、肉汁がお待たせって顔を出す。手間、ありがとう……
普段だったらグリルで焼いた塩鮭にゆで卵をマヨネーズで和えた玉子サラダをのっけて「ギリギリのムニエル」と呼んでいたのだった。
今日は本気のムニエル。少し焦げたバターをまとった鮭とタルタルソース、めっちゃ合う。鮭とたまごの相性も最高だけどオリーブ・ケッパーがさ、大人っぽい雰囲気出してていいね。
揚げ物ばかりで胃がもたれるかと思ったけれど、タルタルソースの爽やかな酸味と辛味のおかげでへっちゃらだ。アジフライとエビフライがあと一口ずつに、タルタルソースをワンスクープ、口に運んでしまえばフィニッシュだ。
と、ここで、頭の中に声が響いた。
「もっと、タルタルソースをかけたい」
自分で自分に驚いた。卵6個分食べたんだぞ。
この期に及んで、まだタルタルソースをたっぷりかけて味わいたいって気持ちがあるのかよ。
最後のひとすくいをたっぷりエビフライにかけてかぶりつく。
ひとつのものを一度に食べすぎると嫌いになってしまうという説があるけれど(過去にしいたけとほうれん草のバター炒めを食べすぎて、しいたけが一時期受け付けなくなった)タルタルソースに関しては全くの杞憂だった。
お腹いっぱいにこそなったが、半日経った今、もう食べたい。次に飲み会でタルタルソースがココット皿に入って出てきたらどうかな、まわりのひとに譲れるだろうか。わからない。愛が加速していく。
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