小出し記事 2020年8月27日

企画会議を想像する その4

作ってたら楽しくていいな、と思って想像して作った資料。

スーパーやコンビニで商品を見ていると、たまに「どんな話し合いを経てこうなったんだろう」と思うことがある。

その話し合いを想像するのが楽しい。想像してみよう。今日はカネテツデリカフーズの『ほぼカニ』である。

編集部よりあらすじ:
どんな会議でこう決まったんだ? と思わされる商品を毎回1品取り上げて会議の様子を想像するシリーズ。前回の『キューピーのつぶしてつくろう たまごサラダ』に続き今回はカニ!?

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

前の記事:企画会議を想像する その3


 

※小出し記事は書けたところから即、小出しに公開する連載企画です!

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ほぼカニ

革命が起きたのだな、と分かる商品名である。

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ほぼカニ

まず見た目がカニだ。完全にカニ。人々のカニを食べたい欲望がついにここまで来てしまったかと畏怖の念すら感じる。

SFでは、人に限りなく近いロボットを作った博士は結局あまり幸せにならない印象があるが、カニはどうなんだろう。カニの心を持たないカニカマは果たしてカニなんだろうか。そんなことを考えてしまうくらいカニの見た目をしている。カニカマであることを知らないカニがほぼカニに恋をしてしまうところから始まる恋愛映画を撮ろう。

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映画のことはさておき、付属のカニ酢で食べる。

一口目はカニ酢のおかげでかなりカニ。そしてそのあとでカニカマとは思えない身のほぐれ感がある。ホロッ、あ、カニ、と思う。噛んでいくとかまぼこの味と食感がどうしてもカニカマを思わせるが、カニ酢と身のホロホロ感の衝撃はずっとある。

思えばカニカマにカニ酢をつけてしまうなり振り構わなさも、ほぼカニ、と思わせる迫力に一役買っている。そんなに言うならほぼカニだよ、俺の負けだよ、と思う。一流芸能人だと認められたかったらとにかく高い車を買え、みたいな迫力がある。

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会議を想像してみる

まず思うのは「ほぼカニ、とまで言っちゃっていいのか」ということである。会社の偉い人なんかは特に気にしそうだ。大きく出て失敗しちゃうとマイナスの効果が大きそうだからだ。

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会議にはカニと、発売予定のほぼカニが並べられ、偉い人が食べ比べる。「ほぼカニ」とみんなが認めるまでこの会議は繰り返された(想像)。
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そして「ほぼ」の辞書的な意味をスライドに映してみんなで眺めたかもしれない。
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時には誰かが弱気になり「概ねカニぐらいでいいんじゃない?」となったかもしれない。

一度引き返すことを考え始めるとどんどんダメになるもので、ほぼカニ、までいけなかった時のための商品名が続々と候補に挙がった(想像)。

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これ作るの楽しかったです。

こうやって逃げるための方策を議論しだすと事態はどんどん悪くなるもので、現状の試作品はこの数直線のどこにあるのか、ほぼカニまでは行かないまでも一番マシな商品名は何か、ということを会議の参加者は考えだした(想像)。ほぼカニを実現するには、という前向きな議論は「概ねカニ」によって覆い隠されてしまったのだ(想像)。

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そんな時である

開発チームが「カニっぽい食べ方をしたらカニに近づくのでは」と提案をし、カニ酢につけて試作品を食べてみたところ、これがもうほぼカニだったのだ(想像)。

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カニカマをカニ酢で食べるとかなりカニっぽくなる、という平和な発見。

「なんかズルくない?」と思った参加者もいたが、ほぼカニを実現させた喜びに水を差したくなくて黙っていた。

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こうしてカニ酢が添付され、無事にほぼカニとして発売された(想像)。
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業界全体ですごいっぽい

インターネットで検索してみると、カニカマをカニに近づける工夫はカニカマの誕生当時から絶えず行われているようで、この『ほぼカニ』以外にもカニへの情熱がすごい商品はたくさんある。売り場を見るとどれもカニそっくりで、大きな筆でビャッと書いた商品名が踊っている。カニカマの、この無闇に前向きな姿勢は見習っていきたい。

 

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