特集 2023年6月15日

苦手な漢字を書かずに練習してみる

皆さんは書くのが苦手な漢字ってありますか?バランスがうまく取れなかったりして、書くたびにモヤモヤする字のことです。

私は「熊」が特に苦手で、いつもふぬけた様子の字になってしまいます。

上手に書きたいとは思っているのですが、今更子どもっぽい書き取りやなぞり字をしたくないというのが本音。

そういうわけで、書かずに字が練習できる方法を考えました。

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

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字が下手な人はそもそも字を分かってない

まずは私の熊を見てください。間違った翻訳か隠語みたいな文章ですが合ってます。私の熊を見て。

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記事中の手書き文字はすべて毛筆で書きます

いかがでしょうか。こんな風体のクマはウサギにだって舐められてしまう!と書くたびに思うのです。ええ、大いに、主観の問題です。

それぞれのパーツは悪くないのに、ひとつの字として見たときに統一感がありません。 

パーツ同士が不自然に離れていてだらしない印象

フォントの横に並べるとおかしさが際立ちますね。

手書きのほうは熊という字の正解がいまいち分かってないまま適当に書いている感じがします。

根本的な捉え方に問題があるような?……そう!そうなんですよ!天啓を得ました!

もしかして、字が下手な人って脳内イメージの段階で既につまずいているんじゃないですか?!

私たちは三者三様に熊を思い浮かべる

そらでスラスラと「熊」を書けるのは、字のイメージが頭の中にあるからです。記憶している書体や正確性は人それぞれでしょうし、上図右のような覚え方もあるでしょう。

いずれにせよ私たちが文字を書くときには、無意識にこの脳内イメージを元にして手を動かしているわけです。

これが字の練習の本質だ!

したがって、字を綺麗に書くためには脳内イメージを矯正すればいいのです。

ノートにあやふやな形の字を何個も書くよりも、頭の中の字を綺麗にするトレーニングのほうが有意義だと思います。

極端な話、脳に電極を差し込んでヒラギノ明朝を流し込んでしまえば字の練習はしなくていいのですよ。ビビビビビ! 

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だからスチレンボードで熊という字を作った

現在の科学技術では人間にフォントをインストールできないので、代替品を用意しました。

そういうわけで「熊」を作った。元の字はかきかたプリントメーカーで作成
もちろんバラバラにできる

熊という字を一画ずつバラして自由に動かせるパズルを作りました。

これで理想的な形の字を組みながら脳にインストールすれば、鉛筆もノートも使わずに手書き文字が上達すると思うのです。

福笑いみたいな要領で漢字を作る……
うわ、思ってた以上に楽しいぞ!!

練習方法はさまざまで、手本を見ながら並べてみたり、何も見ずに作り上げたものを手本と比べてズレを実感してみたり、いろいろできます。

これがめちゃくちゃ楽しい。筆づかいの得手不得手に関わらずイメージをそのまま字に落とし込める点がいいです。

適切な並べ替えさえできれば誰でも美しい字が作れますからね。

どこがおかしいのかが一目瞭然

手書きで練習するときに一画だけ修正したい場合は、消しゴムを使うか字をまるごと書き直さなければなりません。

この方法なら直したい部分をどれだけでも簡単に修正できます。そのリアルタイムに字が100点に近づいていくのが面白いです。

ちょっとズレてますが理想に近い形。見て、触り、動かし、脳に叩き込む
なぞり書き的に、手本の上に並べたりもできる
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他の人にも試してもらう

熊パズルを他の人にも試してもらうことにしました。手書き文字の美しさとパズルの完成度の相関を観察するためです。

できることならパズルが上手い=字も上手いという結果がほしい。

「これは熊という字をバラバラにしたものです。早く、正確に組み上げなさい」…デスゲームかなにかか?
職場の人にやってもらう

「こんなの誰がやっても同じだろ」と思いますか?

刮目して見てください。

Aさん

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パズルの結果)私のあしながくまさん

 月の横線と点々(烈火)部分のパーツを取り違えてバランスが悪くなっていますね。

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でも字はとても綺麗

しかし続けざまに文字を書いてもらったところ、普通に上手でパズルの完成度と著しい差がありました。

「パズルが上手(苦手)=字も上手(苦手)」という論理は早くも破綻です。

Bさん

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Bさんには先に手書きしてもらった

こちら、手書き文字が間違っている(=イメージがあやふや)のにパズルのバランスは取れています。

Cさん

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手書きが達者と無秩序のはざま

上の字を作った方は「熊ってどんな字でしたっけ?分かる字でやりたかったです」などと言いながら作業していました。

Dさん 

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上司のパズル。予習なしでこれは上手すぎる!

こちらは書道有段者の文字です。

どちらもバランスが良くてすごい。空間の使い方に差異はあれど、おおむね同じところを目指している気がしますね。

「パズルが上手い=字も上手い」ということにしたいので最後の結果だけ学会に提出したいと思います。他のは見なかったことにしてください。 

⏩ さらに目隠しで練習

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