字が下手な人はそもそも字を分かってない
まずは私の熊を見てください。間違った翻訳か隠語みたいな文章ですが合ってます。私の熊を見て。
いかがでしょうか。こんな風体のクマはウサギにだって舐められてしまう!と書くたびに思うのです。ええ、大いに、主観の問題です。
それぞれのパーツは悪くないのに、ひとつの字として見たときに統一感がありません。
フォントの横に並べるとおかしさが際立ちますね。
手書きのほうは熊という字の正解がいまいち分かってないまま適当に書いている感じがします。
根本的な捉え方に問題があるような?……そう!そうなんですよ!天啓を得ました!
もしかして、字が下手な人って脳内イメージの段階で既につまずいているんじゃないですか?!
そらでスラスラと「熊」を書けるのは、字のイメージが頭の中にあるからです。記憶している書体や正確性は人それぞれでしょうし、上図右のような覚え方もあるでしょう。
いずれにせよ私たちが文字を書くときには、無意識にこの脳内イメージを元にして手を動かしているわけです。
したがって、字を綺麗に書くためには脳内イメージを矯正すればいいのです。
ノートにあやふやな形の字を何個も書くよりも、頭の中の字を綺麗にするトレーニングのほうが有意義だと思います。
極端な話、脳に電極を差し込んでヒラギノ明朝を流し込んでしまえば字の練習はしなくていいのですよ。ビビビビビ!
だからスチレンボードで熊という字を作った
現在の科学技術では人間にフォントをインストールできないので、代替品を用意しました。
熊という字を一画ずつバラして自由に動かせるパズルを作りました。
これで理想的な形の字を組みながら脳にインストールすれば、鉛筆もノートも使わずに手書き文字が上達すると思うのです。
練習方法はさまざまで、手本を見ながら並べてみたり、何も見ずに作り上げたものを手本と比べてズレを実感してみたり、いろいろできます。
これがめちゃくちゃ楽しい。筆づかいの得手不得手に関わらずイメージをそのまま字に落とし込める点がいいです。
適切な並べ替えさえできれば誰でも美しい字が作れますからね。
手書きで練習するときに一画だけ修正したい場合は、消しゴムを使うか字をまるごと書き直さなければなりません。
この方法なら直したい部分をどれだけでも簡単に修正できます。そのリアルタイムに字が100点に近づいていくのが面白いです。
他の人にも試してもらう
熊パズルを他の人にも試してもらうことにしました。手書き文字の美しさとパズルの完成度の相関を観察するためです。
できることならパズルが上手い=字も上手いという結果がほしい。
「こんなの誰がやっても同じだろ」と思いますか?
刮目して見てください。
Aさん
月の横線と点々(烈火)部分のパーツを取り違えてバランスが悪くなっていますね。
しかし続けざまに文字を書いてもらったところ、普通に上手でパズルの完成度と著しい差がありました。
「パズルが上手(苦手)=字も上手(苦手)」という論理は早くも破綻です。
Bさん
こちら、手書き文字が間違っている(=イメージがあやふや)のにパズルのバランスは取れています。
Cさん
上の字を作った方は「熊ってどんな字でしたっけ?分かる字でやりたかったです」などと言いながら作業していました。
Dさん
こちらは書道有段者の文字です。
どちらもバランスが良くてすごい。空間の使い方に差異はあれど、おおむね同じところを目指している気がしますね。
「パズルが上手い=字も上手い」ということにしたいので最後の結果だけ学会に提出したいと思います。他のは見なかったことにしてください。