特集 2020年6月9日

このばかを見よ ~ばかばかしい記事全100本からの推薦

もはや遠い記憶となった今年のゴールデンウィーク。

われわれデイリーポータルZは「ばかばかしい記事100連発」と称してばかばかしい記事を100本掲載しました(タイトルの通りで説明する必要なかったですな)。

連休中5日間、1日25本。連投しすぎのやべえやつみたいなことになっておりました。

この読み切れなさ100%の記事群から、このばかは観ておいたほうが良いというものを関係者から推薦しましたのでここでお知らせいたします。(ご案内:編集部 古賀)

「ばかばかしい記事100連発」の企画概要や記事一覧はこちら!

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

前の記事:「知っている」ことのうれしさ≠「知る」行為のたのしさ~三土さんインタビュー

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推薦人は当サイトライターと編集部のメンバー。

・なぜ推すのか
・ツッコミポイント

このふたつを聞いた。

文明が後退する

ばかばかしさには文明を後退させる力がある。 知力の低さからひねり出された記事は多く推薦された。

窓から車に乗る(安藤昌教)

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むかない安藤的な文明を後退させるよさがあった。私たちの生活の可動域を感じさせてくれた。
つっこみポイントは特にない。強いて言うなら乗り込む場所がなんかリアルだ。(大北栄人)
「ばかばかしい記事」という全体の企画、この記事のタイトル、そしてトップ画像がこれ以上ない相性で調和しています。美しいです。
最後に靴を気にしていて「靴が気になるんだな」と思いました。(トルー)
なぜ推すのか
・書き出しがうまいです。「車に乗るときにはドアを開けて乗る人が多いが」。
ツッコミポイント
・「ドアの存在を知らないあなたは、開いている穴から入ろうとするだろう。」そんなことはないです。(三土たつお)
なぜ推すのか
・出オチともとれるアイキャッチの時点で吹きました。企画の意図そのままで大好きです。
ツッコミポイント
・私も美しいと思いますし、芸術的ですらあります。(山本千尋 )

 読んでない本にふせんを貼って読んだことにする(藤原浩一)

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なぜ推すのか
・読んでない本に一矢報いるという、あまりにも自分にはない発想
つっこみポイント
・よく考えるとぜんぜん一矢報いてないところ(パリッコ)

朝起きてすぐ一句詠む(トルー)

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なぜ推すのか
・一瞬、寝起きで意味のわからない句に思うが、よくよく見ると深い気がする。何度も見ては句を噛みしめています。
つっこみポイント
・最後の句、だいたいの食べ物に言えるなと思いました。(江ノ島茂道)
なぜ推すのか
・500字程度の記事というレギュレーションを大きく上回ってる情熱があります。
つっこみポイント
・短歌のレギュレーションに収まってる作品がありません。(藤原浩一)

ハッピーターンを粉にする(米田梅子)

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なぜ推すのか
・本文が始まった途端、もう麺棒でグシャッとやっていてIQが低くていいなと思いました。
つっこみポイント
・つっこみポイントも同じで、本文が始まった途端、麺棒でグシャッとやっているところです。(トルー)

「フォースの導き」と言えばなんでも許される

バーンとしたことを言って許され気分になる記事も良いばかさだ。

ミレニアム・ファルコンをナンで作る(伊藤健史)

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なぜ推すのか
・大変そうなのにあっという間に生地をこねてナンが焼けるところ
つっこみポイント
・「フォースの導き」と言えばなんでも許されるところ
(井上 マサキ)
なぜ推すのか
・タイトル見ただけで「あー、確かにー」と思いました
つっこみポイント
・あそこんとこをそのまま「あそこんとこ」と書いていて「あー、あそこんとこねー」と思いました
(安藤昌教)
・伊藤さんってアキラのバイクを四国で作ったり、メタリカロゴをカマキリで作ったり、工作の題材の組み合わせがいつも二物衝突
・「発進!ギュイーン」で満足さが伝わる
(林雄司)

森でオカリナを吹く(江ノ島茂道)

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なぜ推すのか
・トップ画像のキャプションが「森は生きている」。そんな大きなところから入る必要あるか
つっこみポイント
・「森の住人の格好をしよう」と書いてあるあとの写真が完全に公園の住人
(安藤昌教)

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銀色の服で宇宙人気分を味わう(べつやくれい)

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・この記事のために買ったのは銀色の上着だけ
・銀のスカートやかばんは普段遣いしているので近所の人はマジ宇宙人だと思っているのではないか
・このまえ同じマンションの人に「ご主人も派手ねー」と言われたから
(林雄司)

テレビのリモコンを鬼滅の刃っぽくする(ヨシダプロ) 

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なぜ推すのか
・あふれる実家感がたまらないです。
つっこみポイント
・お父さんに叱られるシーンがなんだか温かいです。(山本千尋) 

このままだと国がほろぶ

あまりにもばかばかしいと、国の滅亡が心配になってくる。 

めちゃくちゃきれいにしてから靴をなめる(大北栄人)

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・「それでも生きよ」と言われている気がした。
・おもしろいけどこんな記事ばかりになったら国が滅ぶ、悩ましい。
(伊藤 健史)

ののしりを朗読する(山本千尋)

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なぜ推すのか
・朗々とののしりながら、たまににやっとされるところ
つっこみポイント
・「麦芽シロップのように甘い」というののしりのピンとこなさ
(拙攻)
なぜ推すのか
・これがカルチャーセンターとかでワークショップになるゆるやかなディストピアを想像した。めちゃめちゃ長いののしり笑った。
つっこみポイント
・ふせん多いな、そんなにののしってるのか。
(伊藤 健史)

幸せそのもの

「もう食べられないよ~」という人はどこかばかっぽい。幸せなばかが到来する記事も評価が高まった。

4連のお菓子をつなげて40連にする(爲房新太朗)

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なぜ推すのか
・ベランダからぶら下げている写真が幸せそのもの。
つっこみポイント
・40連を販売できるスーパーの天井高を想定しているところ。(高瀬雄一郎)
なぜ推すのか
・お菓子の救命ロープだ!と言ってみたり、最後の写真でのれんにしてみたりして具体的な例えが良い
つっこみポイント
・そして4連のお菓子をテープでつなげるだけの手軽さが最高
(橋田玲子)

洗剤の泡で3Dラテアートを作る(ぬっきぃ)

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ぬっきぃさんがこのネタを出してくれた時、「洗剤でラテアートをすれば飲む義務が発生しないから楽しいはず」と言っていて、その飲む部分を義務だと感じてるの世界中でぬっきぃさんだけでは…と思いました。
できたネコが普通にかわいいのももちろんみどころです。(石川大樹)

アボカドを完全体にする(拙攻)

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もうタイトルに尽きるのですが、この「完全」観!
いままでアボカドに種が入っているのを不完全だと思ったことは一度もありませんでしたが、こういわれてみるともう不完全としか思えなくなってしまいました。(石川大樹)

つけまつげをたくさんつける(米田梅子)

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こういうおもしろ×ガーリーな記事が欲しかった
メイク記事ってふざけてるけどかわいくなってんじゃん!みたいなやつがあるけど、そうなってないのがいい
ハロウィンのドクロとか言ってメイクかわいいじゃん!サンタなのに薄着じゃんかよ!とか僕は自粛警察みたいなところがあります(林雄司)

刺身を焼肉用の肉とうっかり間違えて焼いて食べる(パリッコ)

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なぜ推すのか
・すっとあらわれたパリッコさんがさっと好き勝手やってくタイプのネタなんですが、こういう記事が結果的めちゃめちゃページビューが良くて憎い。この記事も5月の上位でした。
つっこみポイント
・「仕事場に作ってあるポータブル飲みスペース」って断りもなく仕事場に飲みスペースがあるのがさすが酒を仕事とする者。(古賀及子)

床ザメを住まわせる(北向ハナウタ)

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ハナウタさんはゴールデンウイークのかなり前に4本も記事を入稿していました
ゴールデンウイーク始まってから追加で記事書けないか打診したところ無理との返事。何やってるのかなと思ってたら、ゲーム攻略本記事をやってました。
で、この記事は「床ザメ」というはじめて聞く単語なのに、見た目が想像できて納得できるのがすごい(林雄司)
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人が良いので情報に振る

ばかばかしさには情報は不要なのだが、人が良いので読んでもらったからには何か持ち帰ってもらわねばと思うのだ。

しかしもともとがばかばかなので天井の写真をスマホの背景にするというわからなさになる。 

天井を見る(スズキナオ)

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・インターネット界でいまや情緒の代名詞になりつつあるスズキナオが天井を見ました。
・ナオさんはサービス精神がおおせいな優しい人なので、情緒に甘んじず「天井の画像はゴチャゴチャしてなくてのぺーっとしているのが特徴なので、スマホ画面の背景にしてもいいかもしれない」とさいごまさかの情報に振ろうとしてます。(古賀及子)

アイロンでトーストを焼く(玉置標本)

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・いちどでいいからやってみたかった! とロマンを胸に取り組んでいて、人間にはそういう小さな希望がたくさんあるものだなと思わされる。
・はちゃめちゃに薄くなってるのに笑った。トムとジェリーか。でも結果的に美味しく着地させてるところが玉置クオリティなんですな。(古賀及子)

玉ねぎをぜんぶ剥く(ネッシーあやこ)

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・冒頭「猿に玉ねぎを与えるとなくなるまでずっと剥き続けるという話を聞いたことがある」を読んで感心したが、「実際は違うらしい」と続いて驚いた
・最終的に「玉ねぎは包丁なくても調理できる」という結果で終わって良かった(橋田玲子)

断りもなくやる

ばかばかしさは個々の心のなかにあるものなので一人でやろうとすると本当になにがなんだか分からない。説明せよと思うが断りもなく唐突なのが良さでもある。 

80デニールのタイツを3枚履く(橋田玲子)

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・100本の中でももっとも高純度で「なぜ」と思わせる記事タイトル。他の記事は「なぜ」に冗談を感じるが、冗談で言ってるんじゃない、目が笑ってない感じがして迫力がある。
・その「なぜ」は読むと解消される。圧着スパッツが高かったから普通のタイツの重ね履きで代替えしようという動機で、不明と思われた行動の裏にものすごい生活感がある。あと、満足してすぐ脱いでるのがいい。(古賀及子)

ヨーグルトに飲むヨーグルトを入れる(地主恵亮)

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・地主くんはヨーグルトが好きでよく食べているけど冷蔵庫を持っていない。どうやって保存しているのか。毎回食べきるのか。などと考えながら読んでいたところ、現れた地主くんがコルセット。これについての説明は皆無
・最後砂糖入れてるのタイトルとまったく関係ない
地主くん、この直前に首を痛めて(ストレートネック)しばらく寝たきりだったらしいんですが、聞いたら「もう書けます!」っていうので書いてもらいました。そのへんの説明が一切ないので、シンプルな背景と相まって入院食みたいになってますが、自宅です。(安藤昌教)

食パンを刻んでパズルにする(ヨシダプロ)

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ジグソーパズルっぽいものを作るのかと思いきや、いきなりサイコロ状に切りはじめ、ガチのノーヒント鬼畜パズルが完成していたのに意表を突かれました。最後フレンチトーストにしてますが、この形状だと作りやすそうだなという発見も。(石川大樹)

学校の先生より

ライターが次々ばかばかしいネタを上げてくるので調整する編集たちが学校の先生のような対応をした裏側もあった。

「蝦」と突然送ったら「暇」と見間違えて返事が来るか検証する(ジーン)

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22歳のジーンくん、谷頭くんがスパスパとテンポよく寄稿してくれる
いらんことをすること、それを文章にする楽しさを感じました。
年の差があるので先生みたいなコメントになってしまった
(林雄司)

アルコールを嗅ぎながらウーロン茶を飲んでウーロンハイ気分になる(谷頭和希)

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「有名な俳句を絵文字だけで表現する」という案が最初ありました。
「分けいっても分けいっても青い山」 を で表現するとか、打ち合わせのチャットでは盛り上がりましたが、やっぱ無理ということで別の企画になりました
できるかも!世界変えちゃうかも!と盛り上がってるときが人生で一番楽しい時間だと思います
(林雄司)

蚊取り線香をまっすぐにする(こーだい)

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「えっ、そんなことどうやってやるんですか!?」「なんとかやってみます」的なやり取りがあった気がするのですが、結果的に1/3くらい蚊取り線香じゃないものができてて笑いました。なぜか悲壮すぎる締めも変です。「伸ばしてやろうとして、本来もっていた力を潰してしまった。私は教育者にはなれそうもない。」(石川大樹)

子どもにとってのランドセルの重さは大人にとってどれぐらいなのか(スズキナオ)

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なぜ推すのか
・「普段はもっと重い」とお子さんが日々の苦労を主張しているところ。
「給食の用意や体操服」と挙げている物は軽そうな印象ですが、
両手に持つ荷物は安定しなくて運びづらかったり、持ち手が腕にくい込んだりして
背負ったランドセルより重たく感じることもあったのを思い出しました。
つっこみポイント
・大人なのに勉強や仕事の道具ではなく漫画や攻略本で重さを再現しているところ。
ランドセルに詰められた漫画の画像、先生に見つかったらと思うとドキドキします。(米田梅子)

生きてるうちに見られてよかった

さきほども書いたがばかばかしさというものはごく個人的なことなのだと今回わかった。想像もつかないよう状況が生まれ、これは見て置けてよかったと思わされる。

オムライスを内側から見る(いまいずみひとし)

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なぜ推すのか
・「コペルニクス的転回ってこういうことを言うのか」と膝を打ちました。生きているうちにオムライスの内側の写真が見られて得した気分になりました。
つっこみポイント
・それにしてもオムレツ部分がめちゃくちゃ綺麗に焼けてますよね…(ジーン)

・ぜんぜん意味が分からないんですが、いまいずみさんの謎の説得力ある冒頭文をどうか読んでほしい。「チキンライスは幸せの象徴→それは卵に包まれているから→チキンライス側の視点でオムライスを見たい」
・最終的にちゃんとしたオムライスが記事に出てこず、ものすごい虚無を見た感じになります(古賀及子)

ついに3枚切りの食パンを買う(かとおもいきや)(古賀及子)

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・パンから目線の写真における、エアコンとライトと古賀さんが織りなすトライアングル。
・前半の「完全に事件である」と言い切る盛り上がりからの、見事なまでの急降下。(玉置標本)

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ふえるわかめで家を破壊する (林雄司)

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なぜ推すのか
・「ふえるわかめ工場が雨漏りをしたら中でどんどん増えて工場が破壊するんじゃないか」という心配の意外さ
つっこみポイント
・著者がサイトの長であるという点(古賀及子)

6月もばかばかしい記事を!

「ばかばかしい記事を……たくさん載せよう!」と動いたゴールデンウィーク、やってみてわかったのは、これが俺たちだということでした。

そういえばばかがあった。思い出して水を得た魚になった初夏でした。

勢いにのり6月も後半にばかばかしい記事特集を計画しています。減るもんじゃないばかを存分に発揮していく所存です。

今後ともデイリーポータルZをどうぞよろしくお願いいたします。

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