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オニヤンマの模型にはアブやハチが寄ってこないらしい。頭上で飛ばせば虫よけになるんじゃないのか。
後半急にダメになる
石川:
この記事、工作の前半がすごいうまくて、後半急にだめになるのがおかしいんですよ。
トンボ自体の完成度はすごい高いのに。
こーだい:
そこは頑張りました。トンボが下手だと話にならなさそうで。
石川:
あはは、全部下手だとどうしようもないから。
後半はもう大丈夫かなっていう安心感ですかね。ここで転んでも致命傷ではないなっていう
こーだい:
構想の時点で後半はうまくいかないんじゃないかという予感がしてたんですね
石川:
空中で物を動かすって難しいですよね
こーだい:
読者のコメントにもあったんですけど、飛んでるように見せるだけなら別に無理に動かす必要ないんですよね。
石川:
あー
こーだい:
柔らかめの針金かなんかを帽子からはやして、その先にトンボをつけて浮かせておけば、歩いた時の振動でふわふわ動いてくれそうだという
石川:
吊るすだけでいいんだ
こーだい:
これは目から鱗でした。
生き物の造形に対する愛
石川:
こーだいさんって剥製作るじゃないですか(※)。やっぱり生き物の造形に対する愛情があるなと思って
※こーだいさんは趣味で剥製を作っています
こーだい:
ですね。
石川:
メカに対する愛情のなさに比べて
こーだい:
笑
石川:
生き物の造形の魅力ってどの辺にあると思いますか?
こーだい:
それは……まさしく神デザインだと思います。
石川:
うまいこと言ったな。
どういう点でですか?美的なところなのか、合理性みたいなところか…
こーだい:
先週のナミノリさんのインタビューで「工作系ライターはビジュアル重視と機能重視にわかれる」というような話が出ていましたが、動物のデザインはビジュアルと機能が一致しているというか
石川:
ほうほう
こーだい:
一見すると必然性のないような形状や色にも、調べるとちゃんと意味があるということがわかるというのが面白いと思います。
たとえば、今の時期によく見かけるタマムシっていう虫が好きなんですけど
石川:
はい、あのキラキラしたやつ
こーだい:
キラキラした、すごくきれいな虫です
人間の思考だとキラキラしてると敵に見つかりやすいのでは?と感じると思うんですよ。もっと地味な色にした方がいいんじゃないかって。
石川:
思いますね。鳥とかにすぐ見つかりそう
こーだい:
でも、真夏の太陽の下で葉っぱの上とかに乗ってると、葉っぱにあたった光の反射とかに紛れて意外にも見つかりにくくなるそうです。
石川:
あれはあれでちゃんとカモフラージュになってるんですね
こーだい:
一見非合理に見えて意味があるという。
石川:
そういうのが、全部の動物の一つ一つの部位にある?
こーだい:
全部なのかどうかわからないですけど、変わった形だな、という部位には何かしら意味があるか、あると考えられている(仮説がある)ことが多いようです。
石川:
それは剥製づくりにもつながってきますか?
こーだい:
製作に直接関係あるか?と言われるとちょっとわからないんですが、標本化する過程でふだん観察できないところを見られたりするので、それで動物に対する理解が深まったりするのが楽しいですね。
ネコ科の動物の爪の収納のしかたとか、外から見ただけだとなかなかわからなかったと思います。
石川:
なるほど、機構の部分まで見られてしまうという。
ちなみにネコ科の爪はどうやって収納するんですか?
こーだい:
爪の付け根の部分が折り畳みナイフみたいに回転するようになってるんです
石川:
え、折り畳みナイフって2つ折りになるやつですよね?
こーだい:
普段は指の骨に沿うように収納されてて、必要な時に回転して出てくるという
石川:
正面に水平にスイッて伸びてくるイメージだったんですけど、回転運動だったんですね。おもしろいなー
こーだい:
初めてみた時は感動しました
石川:
そのときは何の動物ですか?
こーだい:
博物館のボランティアで触ったライオンだったと思います。
石川:
ライオン!完全に予想外の回答でした。
ドイツ留学の話
石川:
留学するって言ってましたよね。
こーだい:
はい。博物館等に収蔵する標本を作る仕事の勉強をしたいと思いまして、体系的に教われる場所がないかと探してたら、どうもドイツに職業訓練学校があるというのがわかったんですね。
過去に日本人で卒業した人もいるということで、その人にコンタクトをとったりして情報収集して。
で、昨年の2月に履歴書を送ったら8月から来ていいよと言われたんです。
石川:
ちょうど新型コロナが本格的になる直前ですね。2月って。
こーだい:
そうなんですよ。お察しの事情でいったんなかったことになりました。
石川:
もう、もうちょっとだったのに、惜しいですね… いいとこまで行ったのに
こーだい:
ですね。往来自体はぼつぼつ再開してるんですが、標本師自体が大量に養成するというものでもないので、空きができたらという感じでしょうか。
石川:
剥製づくりの学校はやっぱり世界唯一なんですか?
こーだい:
教えてくれるところじたいはオーストリアとか、あとイギリスにも私立のところがあるみたいですね。
石川:
ヨーロッパが盛んなんでしょうか
こーだい:
博物館文化自体が欧州から興ったものでもありますし。
ただほかの学校は条件が厳しかったり、学費がそこそこかかったりするので、今知っている中ではドイツのとこが一番いいなと。ドイツの職業訓練は外国人でも基本的には無料なので。
石川:
卒業したら何年ドイツで働かなきゃいけないとかあるんですか?
こーだい:
いや、ないですね。
石川:
え、そうなんだ 謎の太っ腹ですね、ドイツ
こーだい:
ただそのせいで、その職業にそれほど興味がない人も来ちゃうみたいです。家が近かったとかで。
石川:
あはは。
こっちはユーラシア大陸横断してるのに。
その機会は何としても勝ち取りたいですね。絶対近年中になんとかなって実現してほしいです。
こーだい:
頑張ります
石川:
それまでは日本で粘土の動物回しましょう
こーだい:
(笑)
石川:
最後に、読者のみなさまへ一言、ありますか?
こーだい:
剥製、なかなかじっくり見る機会はないと思いますが、上手に作られたものは生きていたころの様子がうまく再現されていて本当に美しいです。博物館等に行く機会があったら意識してみてもらえるとうれしいです。
石川:
こーだいさんのパッションが伝わってくるメッセージ!
こーだい:
将来の仕事のために、今のうちに需要を増やしておきたいので.....
石川:
あはは。ちなみに見る場所としてはおすすめの博物館とかありますか?
こーだい:
上野の科学博物館とかすごいですよ。
地下の哺乳類の群れとかがとくに
石川:
あそこはすごいですね。ずらっと並んでて。
素人目には数が多いところに圧倒されちゃうのですが、どういうところを見ると剥製自体の技術のすごさがわかります?
こーだい:
全体的に見た時の違和感のなさでしょうか。
先に生きた動物を見てから見に行くといいかも。
石川:
なるほど、ディテールよりも全体だ
こーだい:
仕事の丁寧さというか。
石川:
ありがとうございます、今度行ったらじっくり見てみようと思います
こーだい:
いつでも見に行けるのがうらやましいです。
石川:
僕はみんぱくにすぐいけるのがうらやましいです。
こーだい:
みんぱくもいいですよね。大好きです。