デイリーポータルZに何人かいる電子工作ライターの中でも、技術力トップの斎藤さん。たとえばこんな作品を作っています。
いったいどんな道具でこんなすごい作品を作っているのか、おなじく電子工作好きで工具好きの石川が聞きました。
レーザーカッターは排気が大変!
斎藤:この部屋は物置兼工作室です。これがレーザーカッターですね。普通の家庭用のレーザーカッターですけど。
石川:普通の家庭にレーザーカッターないですよ!
※レーザーカッター……薄い木の板やアクリル板などをレーザーで切る機材。パソコンから図形データを送るとそのとおりに切ってくれる。切断だけでなく表面に刻印もできる。
斎藤:これはアクリルをフロッピーの形に切ったやつです。こういうのが自由に作れます。
石川:切るだけじゃなくて線もレーザーカッターで引けるんですよね?
斎藤:はい。外周はカットして、模様の部分は出力を抑えて刻印してます。こっちはレーザーカッターで切った木材とアクリルをはめ合わせたものですね。
石川:形がぴったり合ってますね。精度高い!レーザーカッターは僕も含めて工作をやってる人はみんな欲しがってるけど、排気設備が要るからハードルが高いんですよね。
斎藤:下に集塵機とか脱臭機があるの見えますか?排気と一緒に切った素材の粉末が出るので、全部取り除いてクリーンにして、ダクトを通して窓から出しています。このへんはちょっと面倒ですね。
石川:でも家にレーザーカッターあるといいな。
斎藤:いちいちファブスペースに行って借りると時間もお金もかかりますよね。
石川:あと、アクリルカッターみたいな物を切断のための工具が家にやたらあって、レーザーカッターさえあればこれ全部いらないのになって思います。
斎藤:薄いものは、ある程度は何でも切れますからね。
※ある程度は何でも……塩ビなどは有害物質が発生するため禁忌
3Dプリンタには自作のフタ
斎藤:次は3Dプリンターです。Prusa Miniっていうちっちゃいやつ。
※3Dプリンタ……立体を作る機材。パソコンから立体のデータを送るとそのとおりに作ってくれる。このモデルは積層式といって、溶かしたプラスチックで平面の絵を描き、それを何層も重ねていくことで立体を作る。
Prusaシリーズはネットで作り方が公開されている自作3Dプリンタ。
石川:この機種に限らずですけど、出力にめっちゃ時間かかりますよね。
斎藤:そうです。「ポケベル打ちでTwitterしたい」の外装も3Dプリンターで外装作ってますね。あのデカさだと10時間20時間ぐらいかかる。
石川:Prusa Miniはキットで買いました?
斎藤:キットですね。部品が届いて自分で組み立てるタイプの3Dプリンターです。
石川: Prusaってすごい矛盾があるじゃないですか。3Dプリンターを作るのに、3Dプリンターで出した部品を使わければいけない。3Dプリンタ持ってないから作ろうとしてるんだよ!っていう。
斎藤:そうなんですよ。このへんのオレンジの部品は3Dプリンター製の部品です。キットで買ったのでもとからついてました。
石川:うちの3Dプリンタは電子レンジみたいな箱に入ったやつなんですけど、むき出しのって冬つらくないですか?
※冬つらい……気温が下がるとせっかく溶かしたプラスチックが変なタイミングで固まってしまいトラブルの元になる
斎藤:冬はつらいですね。なので私は簡易的なんですけど、蓋ができるようにしてあって。
石川:うわーそれでいいんだ!
斎藤:こうやって、使う前はドライヤーで温めてから使うようにしてますね。それで多少良くなります。
石川:なるほど~
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電気が見えるオシロスコープ
斎藤:あと気に入ってるのはこれです。オシロスコープ。
※オシロスコープ……電気の波形を目で見るための測定器。
石川:わ、めちゃめちゃかわいいですね。
斎藤:めちゃくちゃレトロです。見た目だけで買いました。
石川:これは実際古いものなんですか。
斎藤:古いものだと思いますね。本当に見た目だけで買ったのでよくわからないですけど。使ってみても性能低くて使いにくいんですよ。だからほとんど使ってないですけど、めちゃくちゃ可愛いなって。
石川:どこのメーカー?
斎藤:テクトロニクスですね。有名なメーカーです。
石川:普段使ってるのは別にあるんですか?
斎藤:普段使ってるのはこういうハンディタイプのやつです。ちゃんとしたやつが欲しいなと思いつつ。
石川:僕もこういうタイプの持ってます。僕の場合は信号見たいほど高度なもの作らないので、買ったきり使ったことないけど。
斎藤:使い勝手は悪いんですけど、けっこう便利ですよ。