電子工作ライターはどんな機材・工具を使っているのか～ENGINEERのニッパーは握りごこちが最高

未経験者が電子工作を始めるには？

石川：ちょっと話変わりますけど、今から電子工作を始めたい人は何から始めたらいいですか。

斎藤：難しいですね。たぶん一般論で言えばArduinoで始めるのが王道だと思います。

※Arduino……初心者でも扱いやすいマイコン。マイコンは電子工作に使う部品で、ほかの部品をコントロールできる。最近はマイコンを中心にLEDやモーターやセンサーなどを繋いで制御する電子工作が主流。

斎藤：なんで動くのかまで考えるとデジタル回路の勉強をしたほうがいいけど、初心者にそこまで勧められないので、まずはArduinoを動かせるようになるとか、Raspberry Piを動かせるようになるとか、そういうのを目指したらいいですかね。

※Raspberry Pi……小さいパソコンの一種。マイコンの代わりとして使えるため、電子工作で人気。

斎藤：あとはマイコンの知識だけじゃなくて、周辺の部品の知識も必要。たとえばLEDとモーターって全然違う部品なので、それぞれ学習しないといけないじゃないですか。全部一気にやるのは難しいので、まず最初にマイコンを覚えて、それをベースにして使いたい部品を使う時に勉強していくのがいいのかなと思いますね。漠然と勉強するんじゃなくて、これを作りたいからこれを使う、そのためにこれの勉強をする、みたいな。

石川：使いたいものを都度覚えていく、と。

斎藤：そう。最初はLチカやると思うんです。そこでLEDの使い方と抵抗の使い方がわかる。そういうのを順番に勉強していって、そのうち10作つくれば10通りのものが使えるようになりますよね。そうやって数を増やしていけばいいのかな。

※Lチカ……LEDをチカチカ点滅させること。電子工作入門の一番最初にたいてい出てくる。

石川：やってるうちに、いつのまにかいろんなことがわかってしまう。

斎藤：そうですね。参考書を見るとモーターはこういうふうに動かしましょうって書いてあるんですけど、何の目的もなく動かしても面白くないと思うので、モーターを使って作りたいものがあるときに勉強したほうがいいのかなって思います。

石川：プログラミングの勉強でも、ただ文法覚えても面白くないし、作りたいものがあったほうが…っていうのはよく言われますね。

ジャンク品からアイデアを得よう

斎藤：ただ、何を作りたいか……っていうのは難しいかなと思うんですよね。

石川：アイデアが必要ですもんね。

斎藤：私がネタを発案する時は「作りたいものを作る」というパターンと、もう一個あるんです。「手元にあるもので作る」っていう。
さっき出てきた「ポケベル打ちでTwitterしたい」の記事ですけど、これはジャンクショップに電話機のボタンが売ってたのを見て思いついたんですね。

石川：これが始まりなんだ。

斎藤：2～300円で売ってて、これ使って何か出来ないかなって考えて作ったのがこれです。アイデアを得るには変なパーツを眺めるのがいいかもしれません。

石川：電子部品屋にこういうのあるんですよね。なぜか。

斎藤：あるんですよ。たぶん何かの中古品から取っ払ったような部品が。ほんとのジャンク品ですけど。

石川：面白そう！って思って買うんですけど説明書も何も付いてないから全然使い方がわからない（笑）

斎藤：配線の仕方が全然わからないので全部テスター当てて調べました。

石川：まあこういうのはちょっと難しいですけど、簡単に使えるのでいうとちょっと変わったLEDとか。

斎藤：いろいろありますよね。

石川：音楽が鳴るICとか。

斎藤：こういう丸い液晶とか。

石川：液晶なんですか、それ。

斎藤：これも3、4年前に買うだけ買って使い道がなかったんですけど、京都のお寺で丸い窓が有名なところがあって、窓の景色の代わりに液晶を付けたらどうかっていうので作ったのがこれです。

斎藤：他にもまだ使ってない部品がいろいろあります。こんなスライダーとか。

石川：抵抗値変わるやつ？

斎藤：はい。変わったもの見つけたらとりあえず買ってみる感じですよね。

石川：さっきの丸い液晶でも、液晶自体は普通にあるものなのに、形が丸いっていうだけで全然違うアイディアにつながりますもんね。

斎藤：これも謎のメーターなんですけど、

斎藤：なにかに使えないかなと思って、この記事になりました。

斎藤：バラして文字盤を貼り替えて使ってます。あとは、いま一番使い道ないなと思ってるやつ。パチンコ玉が通過したのを検知するセンサーです。

石川：めちゃめちゃいいな。

斎藤：使えないかなと思いつつ、使い道ねーなと思って。

石川：それはすごい想像が膨らみますね。

斎藤：なんか使えねーかなと思って。大阪に住んでいるので、日本橋をウロウロしながらこういう謎のパーツを買い漁ってる感じですね。

石川：いいですね〜。斎藤さんに日本橋を案内してもらうツアーをぜひそのうちやりたいですね。ありがとうございました。