気軽に作れて美味しいホットケーキミックス。
そんな大定番も、ひそかに多様性の時代に突入しているようだ。
これからは複数持ちで使い分けの時代がくるかもしれない。
スーパーに行くと数多あるホットケーキミックス。
中身はぜんぶ白い粉だが、味に違いはあるんだろうか。
実際に6種類を食べ比べてみると、こんなに違うんだ…!と驚きがあった。
ホットケーキ(パンケーキ)って、原材料がシンプルで安価なうえに誰でもそこそこ作れてしまう。
けれど、お店の高級パンケーキを食べた時の幸福感はまた別物だ。
食感のなめらかさ、くちどけ、香ばしさ…あとで人に説明しようとすると難しいのだが、おそらく讃岐うどんあたりと同じで、繊細な食感のバランスのもとになりたっている料理なのだと思う。
ならば、市販されているホットケーキミックスにもそれぞれ特色があるはずだ。
①森永ホットケーキミックス
②永谷園 ホテルニューオータニホットケーキミックス バニラタイプ
③成城石井 北海道産小麦のホットケーキミックス
④無印良品 自分でつくる米粉のパンケーキ
⑤KIALLA PURE FOODS オーガニックパンケーキミックス(オーストラリア)
⑥昭和産業 まんまるおおきなホットケーキのもと スフレ風
以上のホットケーキミックスを、メーカーの公式レシピ通りに作って食べ比べしてみたい。
まずはコンビニにも売っている大定番のこれ。
甘味&塩味どちらでもいけそうなプレーンさで、干した自分の布団に寝転ぶような安心感がある。
この材料比と味を今後の基準にしたい。
この作り方をもとに、さっそく食べ比べしていこう。
こちらも定番だが、なんとなく森永のものより高級感があるイメージ(価格はそこまで変わらない)。
味に違いはあるのだろうか。
ニューオータニの生地はやや黄味が強くスイーツ感のある色味。今回の中では唯一着色料を使っている(ビタミンB2)。
さて、食感はフカフカというよりフワフワで、あきらかに甘味寄りの華やかな香りがする。
森永のものとは別物だ。ベーコンには合わないが、帝国ホテルの雰囲気がちょっとある。
ホットケーキミックスにもこんなに振れ幅があるのか!と驚いたのがこれ。
何が違うのかというと、焼いている時から香ばしい匂いがする。
お好み焼きを感じさせる瞬間がある。小麦本来の香ばしさだろうか。
甘味は穏やかで上品。ホットケーキに共通する菓子パンっぽい香りがないのだ。
木の皿にのって、ジビエ料理の隣にいることができる味だと思う。
なんというか、ニューオータニが美肌加工した自撮り美人だとすると、成城石井は味のある肖像写真って感じだ。
ちゃんと使い分けする意味のある粉だと思う。
素人でもめちゃくちゃ綺麗に焼けるのが嬉しい米粉のパンケーキ。
味の方はどうだろうか。
まず、粉の感触が違う。片栗粉に似て、ちょっと落ち着かない感じがある。
なかなか溶けないかと思ったら、急になくなったりするトリックスターだ。
ひとくち目は間違いなくホットケーキだ。ただ、ふたくち目の奥の方に軽くクチャっと粘り気がある。
外国人が米を「ガムっぽい」と言っているのを聞いて不思議に思ったことがあるが、ちょっとわかる気がする。
柔らかく口どけ良いため、これがクセになる人もいると思う。
これは味よりも作り方の勝利だった。
オーストラリアだと牛乳もこの洗剤っぽい容器に入ってたはず。洗剤in洗剤みたいなオーガニックパンケーキだ。
オーガニックを標ぼうするだけあって、味はさっぱりとしていてシンプルそのもの。
甘味にもいいけど、むしろベーコンやスクランブルエッグなど脂っこい朝ごはんに合わせたいパンケーキだ。
今年新発売のスフレ風ホットケーキで、絵本「ぐりとぐら」の巨大パンケーキみたい!と話題になっているものだ。
スフレ風ってメレンゲを加えるのだが、この原材料には入っていないのが不思議。
目に付くのはショートニングとガゼインNa(牛乳のタンパク質)くらい。ほんとにフワフワになるんだろうか。
これが、不思議なほどフワフワ。魔法みたいだ。いくらでも食べれそうなくちどけの良さ。星乃珈琲店のスフレパンケーキに似てる。
これを家で食べられるのは素敵だ。
気軽に作れて美味しいホットケーキミックス。
そんな大定番も、ひそかに多様性の時代に突入しているようだ。
これからは複数持ちで使い分けの時代がくるかもしれない。
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