果汁を使った本気のシャインマスカット菓子たち
本物そっくりという飴をふくめ、シャインマスカットの菓子化に本気を感じるお菓子を3つ見つけた。
飴のほかにはグミとゼリー。どれも、国産のシャインマスカットの果汁が使われている。
袋自体にプリントされず、ラベルが貼られたタイプのパッケージの商品は道の駅やなんかによくあって、大量生産でないのだろうところに希少性をついすくいとってしまう(実際の生産量を知らないのにもかかわらず)。
こちらのシャインマスカットゼリーが、まさにそうだ。
味わいを口内に強引にとどまらせる
個包装もなんだか構わない感じなのがぐっとくる。
食べてみると、長野の誇る「みすず飴」や埼玉の威信である「彩果の宝石」系のねっとり濃厚なタイプのゼリーだ。
甘みのパンチが刺すように強く、シャインマスカットの果肉を濃縮したうえゼリーの力で増強している。
味わいを口内に強引にとどまらせるような力強さがある。
シャインマスカットをぎゅむぎゅむ噛んで味わう
グミは長野県産のシャインマスカットを使用、果汁そのものの「爽やかな香りと豊かな甘みが広がります」とある。
グミらしくしっかりした弾力に甘すぎない本気のシャインマスカットのピューレが入っていて、なんだかシャインマスカット自体をぎゅむぎゅむ噛んでいるような良さがある。
ゼリーとグミを食べて、なるほど、お菓子にすることによってシャインマスカットの味がいろんな食感で楽しめるということなんだな……と、存在意義が分かってきた。
よく、果物はそのもので十分美味しいのだから、加工して味わうなんてもったいないと言うし、それはそれでその通りでもある。
でもシャインマスカットは口内でねっとりしないし、ぎゅむっと噛むこともできない。
菓子化は、シャインマスカットを果実とは違う食感でもってわざわざ味わわせてくれる、文化的かつぜいたくな活動なのだ。
本物そっくりの飴とは
さて、問題の、というかどうにも一番気になって今回の発端として買った飴が「魅惑のシャインマスカット」だ。
かなり打って出るタイプのパッケージから意気を感じ私は好きだ。
今日このまま日高屋で売れるくらいパンチが効いている。
こちらは山梨県産のピューレを使用。
冒頭でも書いたが、気になったのはパッケージの「本物そっくり!」そして「職人が手作業でマスカットをイメージして模様を入れました」だ。
どういうことなんだろうそれは。
イラストだけ見ると、UHA味覚糖がかつて販売していた、「サクランボの詩」「野いちごの小道」「クリームソーダ」みたいな形をしている。
終売品なのだけど、Amazonがパッケージの写真だけは見せてくれ続けている
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小さな球にベルトが巻かれているような、たまに見かける形の飴。
その時点でシャインマスカットと「そっくり」とは言えないのでは? と素人は思ってしまうのだが……。
実は、「そっくり」の真意のヒントはパッケージの裏にあった。
組飴……?
飴の製造方法についてこれまであまり考えをめぐらすことがなかった。
組飴というのはいわゆる金太郎飴のような、パーツを組み立てて作る飴を言うらしい(「金太郎飴」は株式会社金太郎飴本店の商標で、「組飴」が一般名称なのだそうですな)。
つまりこの飴は、シャインマスカットを、飴を組むことで再現したということのようだ。
メーカーは宮川製菓。東京の上目黒に工場がある。
都会のど真ん中で作っているのが(最寄り駅はEXILEの事務所であるLDHがあることで有名な中目黒だ)ちょっと意外だ。
そうしたストーリーを踏まえて飴をながめるとなるほど美しい。
シャインマスカット独特の黄色っぽい黄緑色が繊細に完全に再現されていることに気づく。
ゼリーとグミで味わった、シャインマスカットを別の食感で食べる感覚はここでも健在で、飴だから、シャインマスカットを延々舐めていられる味わいがあった。
シャインマスカットを懐旧する味……?
食感の多様化そのものがここにある。
なんというぜいたくなことか……と感じいるとともに、もしやシャインマスカットがなくなってしまったあとの世界でシャインマスカットを懐旧するとしたら、こんな感じになるんじゃないか? とはっと思ってしまった。
………。
なんでそんなディストピアみたいな発想しちゃったんだろう。
シャインマスカットの旬は10月までだそうです。