元住吉のブレーメン通り商店街
神奈川県の元住吉駅には、ブレーメン通りという商店街がある。
実はつい最近までその存在を知らなかったのだが、デイリーポータルZの記事で何度か取り上げられて以来、ドイツ在住者としては結構気になる場所になっていた。
しかも、ドイツ人の夫がブレーメン出身者なので、いつか彼を連れて一度は行ってみようと心に誓っていた。
しかしブレーメン通りとは言え、そもそも実際にブレーメンにゆかりがある街なのか。駅前にブレーメンの音楽隊の像のレプリカがあることぐらいしか知らないし、もしかしたら単にブレーメンという名前がついているだけではないのだろうか。
真相を確かめるべく、東京に帰省しているこのタイミングで、ブレーメン出身者の夫とモトスミ・ブレーメン通りに行ってみることにした。
北ドイツの港町、ブレーメン
ブレーメンと聞くとやはり真っ先にグリム童話の「ブレーメンの音楽隊」が思い浮かぶが、実際のブレーメンは北ドイツにある人口57万人ほどの港湾都市である。
中世時代以来、貿易港としてなかなかの経済力を持っていたブレーメンでは、特に19世紀では北アメリカとの貿易が盛んであったらしく、煙草や綿などの輸入が多かったそうだ。
また、19〜20世紀にかけて多くのドイツ人がアメリカへ移住するために利用した港としても有名だ。
そんな時代とは裏腹に近年では経済力がぐんと低下してしまったブレーメンだが、今でもハンザ都市として栄えた時代の街並みが残る美しい街である。
夫は幼稚園から20歳になるまでの17年をブレーメンで過ごした、いわゆる「ブレーマー」だ。
ブレーメン出身者として、遠く離れた日本に「ブレーメン通り」なる場所があるのはすごく興味深いようで、ぜひ行ってみたいと目をキラキラさせていた。
至る所にブレーメンの音楽隊
モトスミ・ブレーメン通りへ向かった当日はあいにくの天気で、元住吉駅を降りると小雨が降っていた。
いつもだったら気が滅入ってしまうところだが、雨がよく降るブレーメンの天候に似ていて不思議と明るい気持ちになった。
さて、ブレーメン通りはどちらかなと周りを見渡すと、いきなり
そしてなんといっても主役は、ブレーメン市にもある「ブレーメンの音楽隊」の像のレプリカだ。
この彫刻はゲルハルト・マルクスというドイツ人アーティストによるものだが、ブレーメンの市庁舎の脇にあるものと同じだった。
ブレーメンではロバの前足を両手で掴んで願い事をすると願いが叶うと言われているおり、来る日も来る日も触られ続けたロバの前足がテカテカに光っているのだが、モトスミ・ブレーメン通りの方も……
ブレーメンほどではないが、元住吉にもロバに願掛けをしている人がちゃんといるということだ。
音楽隊のモチーフは駅前だけではなく、駅から商店街をぶらぶら散策している途中にも……
下手したら本場のブレーメンより音楽隊の数が多いのではないかと思う勢いだ。
これだけでも十分驚かされたが、モトスミ・ブレーメン通りの本気を見るのはまだまだこれからだった。