クリスマスだからトナカイ味で?
つぶグミというお菓子を作っている会社、春日井製菓が今度トナカイ味のつぶグミを作る、かもしれない。
「かもしれない」というのはまだ決定ではないから。ツイッターで予告して、リツイート(みなさんの反応)が1万件を超えたら本当に作るらしいのだ。作ったトナカイグミはリツイートしてくれた人の中から抽選で100名にプレゼントする。つまり本気である。
【告知】 12/24から約36時間以内に、ツイートが10,000回リツイートされたらトナカイの肉風味つぶグミ作ります!作ってみます!【まずはフォローして!】#つぶグミクリスマス#つぶ組https://t.co/GGyg90RW7F
— つぶグミ official【春日井製菓】 (@tsubugumi_tw) 2016年12月15日
どういうことなのか、春日井製菓に詳しく話を聞いた。
しかしこの時点で開発部員含め、誰もトナカイの肉を食べたことがなかった。にもかかわらず案件は社内上層部をクリア、キャンペーンはスタートし、今に至る。
おもしろ企画のサクセスストーリーを見るようである。でも確かにトナカイ、どんな味がするのか気にはなるだろう。北欧では高級食材として人気らしいので、もしかしたらすごく美味しいのかもしれないぞ。
都内にトナカイの肉を出す北欧料理店があったので食べさせてもらった。
すみませんいただきます。
結論:美味しい
「美味しいです」としか言えないのだ。臭みもクセもまったくない。
例えるならあっさりしたローストビーフだろうか。クセがない分、甘めのワインソースが合う。
牛肉って集中して食べると少しだけ「乳」のにおいがしないだろうか。トナカイ肉にはその脂肪分のにおいみたいなものがほとんどない。質のいい赤身を熟成させた感じ。
美味しいんだけどこれをグミにするとなると大変かもしれない。ヤギ肉とか松茸みたいに、匂いやクセが強い食べ物の方が表現しやすいんじゃないだろうか。
しかし乗りかかった船である。もう少しトナカイについて調べてみたいと思う。
日本で唯一のトナカイ牧場
稚内から乗ったJR宗谷本線一両編成の電車を降りると、そこはイメージ通りの北の町だった。しーーーん、という音のない音が聞こえてくる。
まずはスーパーをのぞいてみた。
特に乳製品である。ためしに紙パックの牛乳を買って飲んでみたら目が覚めるほど美味かった。なんだこれは。
トナカイ肉は売られていない
調べてみると幌延町内で一か所だけ、トナカイ肉を食べることができるお店があるという。しかもそれがたまたま僕が泊まることになっている旅館の下の食事処だった(本当に知らずに両方に電話して予約した)。「そんな偶然あるのか!」と思ったけれど、そもそも町には宿も食事処もそんなに多くはないので、たぶん4分の1くらいの確率である。
壁のメニューにはたしかに「トナカイ丼」の文字が。丼にするというのも北欧とはまた違った方向からのアプローチである。
靴を脱いで座敷に上がると実家みたいなテーブルに座布団が。「ストーブ、寒かったら火強くしていいわよー」。
なんだかこの店、すごくいい。母親が台所でご飯を作ってくれているのを待っているみたいな気分になる。ドラマ「北の国から」は親子の愛情をテーマにしているが、あれもし「南の国カラ」だときっと違う話になっていただろう。寒さは人を近くするのかもしれない。
煮込んだトナカイと玉ねぎを玉子でとじたものがご飯に乗っている。普通に美味しそうなにおいがするけれど、意識を鼻に集中させても、とくに知らない食べ物を連想させるようなとくべつなにおいはしない。
結論:やっぱり美味しい
鶏肉でもない、豚肉でも牛肉でもない、なんとも食べたことのない食感。見た感じ脂身が多いように見えるのだけれど、食べてみるとやはり淡泊で、歯ごたえがプリッとしっかりしていて噛めば噛むほど旨みが出る。例えるなら柔らかく煮込んだ牛筋みたいな感じだろうか。
前に食べたローストトナカイとはまた違った味わいだけれど、僕はどちらかというとこっちが好きかも。
感想は多い方がいいと思い、北海道に住む友人を呼んで一緒に食べてもらった。
どうかなトナカイ、美味いよね。
北海道に住む友人は「鮭が上がってくる時期だからでかいのが釣れるぞ」と言っていた。「町にピザ屋がないからお前移り住んで作れば儲かる」とも。考えておこう。
さてトナカイである、これはどうしたものだろう。
トナカイに会いに
幌延町が運営するトナカイ観光牧場である。
ここトナカイ観光牧場では、トナカイえさやり体験ができる。
紙袋で売られているトナカイのエサ(とうもろこし等を混ぜた物)を敷地内でガサガサ開けていると、それを聞きつけたトナカイたちがのっしのっしと近づいてきた。
トナカイかわいい
トナカイは雪に埋まってしまわないよう、足が長くすらりとしていてゆったりと歩くのでモデルさんみたいである。
なによりこのツノが目立つ。鹿の仲間はオスにだけ角があるが、トナカイはメスも角を持っているのだとか。
冬に落ちるのがオス、春に落ちるのがメス。なのでサンタのそりを引いているトナカイに角があるということは「たぶんあれみんなメス(観光牧場の方談)」なのだとか。知識が増えると見え方が変わる。
これは雪の中でも仲間に自分の存在を知らせるためではないか、と職員さんは言っていた。つまりトナカイは雪国に完全にフィットした進化をとげた動物なのだ。その結果、雪のスペシャリストとしてサンタのそりを引くことになったのだろう。
もともとは牧畜でした
北欧そだちのトナカイたちは、北海道くらい寒い場所でないと飼いにくいのだ。「それでも夏場は日陰でぐったりしていますけどね」と牧場の方は言っていた。
もともとは牧畜目的で飼っていたらしいのだけれど、今は「可愛くなっちゃって」観光目的に切り替えたのだとか。東京の北欧料理店に食材として卸しているトナカイはここのではなく、また別の牧場から出荷されたものらしい。
以上、北海道のトナカイ豆知識でした。
トナカイ肉、ふつうに美味しかったです
もしかしたらこれから日本でも流行るかもしれない。飼育環境とかいろいろと難しいこともあるとは思うんだけれど、北海道にもっとトナカイが増えたら、それはちょっといいですよね。