とくべつ企画「洋食」 2016年11月28日

30年以上前のガイドブックで洋食屋を巡る

昭和に出版されたガイドブックで洋食屋を巡ります!
昭和に出版されたガイドブックで洋食屋を巡ります!
ガイドブックというものがある。美味しい料理屋や、美しい風景などの観光地を紹介している本だ。どこかに旅行する時や、地元でも新たな情報を得る時に役立つのが、ガイドブックなのだ。

そんなガイドブックは、毎年新たな情報が載っているものが出版される。しかし、数十年前に出版されたガイドブックをいま使えば、美味しお店に出会えるのではないだろうか。現在も残っているということは、美味しい証拠なのだ。

※この記事はとくべつ企画「洋食」の1本です。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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昭和のガイドブック

洋食が輝いていた時代がある。今ほどハンバーグやオムライスが当たり前ではない時代だ。アニメ「サザエさん」の磯野家が、ちょっといい服を着て、出かけるレストラン。それが洋食である。
そこで古いガイドブックです!
そこで古いガイドブックです!
そんな洋食が輝いていた時代のガイドブックを手にいれた。2冊が昭和60年に出版されたもので、1冊が昭和48年に出版されたものだ。どれも30年以上も前のガイドブックだ。そのうちの一冊には「ヤングのムード」と副題がついている。時代を感じる。
どれも30年以上前です!
どれも30年以上前です!
昭和60年(1985年)と言えば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が公開された年で、「THE BLUE HEARTS」が結成された年。昭和48年(1973年)は、筑波大学が設置された年だ。そんな時代の洋食屋が今も残っていれば、間違いなく美味しいお店だ。
ということで、まずはこのお店に行きます!
ということで、まずはこのお店に行きます!
そのために用賀駅にやってきました!
そのために用賀駅にやってきました!

世田谷区「ファンタジー」

まずは世田谷区用賀にある「ファンタジー」というお店に行こうと思う。ガイドブックを読めば、マカロニグラタンや、カニ肉ピラフサラダ添えなどを食べることができるとある。洋食だ。アイスクリームには花火が刺さっていたそうだ。
用賀駅から歩いて向かいます!
用賀駅から歩いて向かいます!
このガイドブックは昭和48年に出版されている。「ヤングのムード」を副題がついている一冊だ。またこの本には地図がついていないので、住所を頼りに歩いている。ちなみに246号線を都心に向かう途中にある典型的なドライブインらしい。ということで、到着だ。
昭和48年の「ファンタジー」
昭和48年の「ファンタジー」
現在の「ファンタジー」
現在の「ファンタジー」
ファンタジーはなくなっていた。「ネッツ東京世田谷」になっていた。車屋だ。ファンタジーはドライブインだったので、車的要素だけは残っていると言えるけれど、洋食ではない。もうファンタジーはないのだ。
完全に車屋さん
完全に車屋さん
当時のファンタジーの写真を見ると、レンガのようなもので作られた壁があることが分かる。現代のファンタジー(ネッツ東京世田谷)を注意深く見ていると、おそらく当時の痕跡なのでは、というものを見つることができた。
敷地の境界を見ていると、
敷地の境界を見ていると、
当時の痕跡がありました!
当時の痕跡がありました!
今はなきファンタジーの痕跡である。ファンタジーとはレンガなのだ。写真に写っているレンガがこれだと思われる。洋食を食べることはできなかったけれど、このような痕跡を見つけると嬉しくなるのが、昔のガイドブックの魅力だ。
この辺は全体的に最近の建物になっていた
この辺は全体的に最近の建物になっていた

新宿区「アンガス」

ファンタジーはなかったので、同じガイドブックに載っていた次の洋食屋に向かう。曙橋にある「アンガス」というステーキ屋さんだ。ステーキも洋食っぽい。サーロインステーキが1500円くらいだそうだ。ぜひ食べたい。ということで、お店がある曙橋にやってきたわけだ。
このお店に行きます!
このお店に行きます!
曙橋にやってきました!
曙橋にやってきました!
このガイドブックにはやっぱり地図がないのだけれど、フジテレビの真ん前にあると記述がある。フジテレビは今、お台場にあるけれど、1997年までは新宿区河田町にあったのだ。ちなみに目指すアンガスの住所は「仲之町55」だそうだ。
曙橋商店街に、
曙橋商店街に、
フジテレビの石碑があった
フジテレビの石碑があった
「仲之町55」という住所も、今はもうない。ただフジテレビの真ん前というヒントがあるので、河田町のフジテレビがあった場所を目指す。フジテレビがあった場所には、「河田町コンフォガーデン」という高層住宅ができていた。
昔のフジテレビ
昔のフジテレビ
今は「河田町コンフォガーデン」
今は「河田町コンフォガーデン」
フジテレビがあった場所は見つかった。あとは「アンガス」を見つけるだけだ。フジテレビも広いので「真ん前」という定義が難しいけれど、フジテレビの住所が「河田町」で、アンガスの住所が「仲之町」というのがポイント。住所が異なる真ん前を探せばいいのだ。
昭和48年の「アンガス」
昭和48年の「アンガス」
現在の「アンガス」
現在の「アンガス」
アンガスはなくなっていた。マンションになっている。当時の写真を見ると「塚本コーポ」という名前を見つけることができるけれど、それもなくなり今は英語のオシャレな建物になっている。全く何も残っていないのだ。
住所的にはここら辺で間違いない
住所的にはここら辺で間違いない
ガイドブックに地図はなく、フジテレビもないのでピンポイントでここ、とは断言できないけれど、フジテレビの真ん前で、河田町と仲之町で住所が変わるのはこの通りしかない。そして、その通りにアンガスはないのだ。つまりアンガスで食事はできない。洋食にありつけないのだ。
気持ちを新たに次に向かいます!
気持ちを新たに次に向かいます!

練馬区「まほうつかいのでし」

昭和48年のガイドブックに載っていた「ファンタジー」と「アンガス」は残念ながら今はなかった。次はガイドブックを昭和60年の「東京の味どころ2」に変えて、練馬にあるスパゲティ専門店「まほうつかいのでし」に行こうと思う。
ここに行きます!
ここに行きます!
ざっくりな地図もあります!
ざっくりな地図もあります!
ということで、新桜台駅に来ました!
ということで、新桜台駅に来ました!
ガイドブックによれば、ディズニー大好きなご主人が命名したお店だそうだ。近くに武蔵野音楽大学や日本大学などがあるので、女子大生に人気のお店とある。メニューも「幻想の月」など、曲のタイトルが付けられたものがあるらしい。
ざっくりな地図で歩く
ざっくりな地図で歩く
地図に目印となるものが少ないので、この角かな? とぼんやり曲がったりしていた。当時の人はこの地図でたどり着けていたのだろうか。方向音痴には厳しい時代だったかもしれない。ただ私も頑張った。ぜひ「まほうつかいのでし」で食事をしたいのだ。
昭和60年の「まほうつかいのでし」
昭和60年の「まほうつかいのでし」
現在の「まほうつかいのでし」
現在の「まほうつかいのでし」
「まほうつかいのでし」は今もあった。年数的にすでに弟子ではなくて、師匠クラスになっているはずだけれど、今も「まほうつかいのでし」は鎮座していた。看板も当時のままではないか。ちなみにお店自体は昭和56年にできたそうだ。
いいですね!
いいですね!
幻想の月もあった!
幻想の月もあった!
ガイドブックにはメニューが50種類上ある、とあるのだけれど、現在は100種類以上あるそうだ。30年以上という時間がメニューを増やしたのだ。もちろん当時のガイドブックにある「幻想の月」は今もメニューに載っている。タイムスリップしたみたいだ。
これが「幻想の月」です!
これが「幻想の月」です!
ガイドブックには、店名はディズニーが大好きで命名したとあるけれど、そうではないらしい。ポール・デュカスが作曲した「魔法使いの弟子」から取ったそうだ。また音大が近くにあることも影響していて、ディズニーではないそうだ。30年以上経って初めてわかった事実だ。
美味しい!
美味しい!
幻想の月を食べた。幻想の月は納豆やしそ、生卵を使ったパスタ。これがめちゃくちゃうまい。スパゲッティといえば洋食だ。それが美味しいのだ。やはり今も営業しているお店は間違いない。注文の時、「幻想の月をひとつ」と言うのは若干恥ずかしかったけれど。
「まほうつかいのでし」 東京都練馬区羽沢1-3-1
「まほうつかいのでし」 東京都練馬区羽沢1-3-1

豊島区「紅花」

「まほうつかいのでし」でついに洋食に出会うことができた。次に向かうは池袋・サンシャインシティアルパ内にある「紅花」である。冒険野郎・ロッキー青木さんのお店で、ハンバーグやステーキを食べることができるそうだ。ザ・洋食のお店なのだ。
紅花に行きます!
紅花に行きます!
ざっくりした地図があります!
ざっくりした地図があります!
ということで、池袋駅にやってきました!
ということで、池袋駅にやってきました!
今回もざっくりした地図だけれど、これは大丈夫。サンシャインシティは今もあるし、行ったこともあるのだ。アルパが、今もあることも知っている。飲食店などが入っている場所だ。問題はそこに「紅花」があるのかだけれど。
アルパに来ました!
アルパに来ました!
「紅花」を探しました!
「紅花」を探しました!
アルパに歴史を感じなかった。今も明るく人も多かった。冒険野郎もここを冒険して出店したのだろう。ただいくら探してもないのだ。紅花を見つけることができない。写真からヒントを探したけれど、見つけることができなかった。
聞きました!
聞きました!
インフォメーションで聞いた。私はこのお店で洋食が食べたいです! と意気込みまで伝えた。さすがインフォメーション。確かな場所はわからないですが、写真から察するにここではないか、と教えてくれた。その結果である。
昭和60年の「紅花」
昭和60年の「紅花」
現在の「紅花」
現在の「紅花」
紅花はなくなっていた。インフォメーションの方に聞いた時点でわかったのだけれど、もうずっと前からないらしい。現在は中華料理のお店になっている。中華は私が思い描く洋食ではない。中華も美味しそうだけれど、そうではないのだ。
完全に中華ですね!
完全に中華ですね!
次に向かいたいと思います!
次に向かいたいと思います!

中央区「芳味亭」

最後のお店に向かおうと思う。「東京味どころ1」に掲載されている「芳味亭」に行くことにした。こちらも昭和60年に出版されている。ガイドブックによれば昭和8年創業のお店で、建物はザ・日本。店内もお座敷らしい。ただし洋食屋なのだ。
最後は「芳味亭」に行きます!
最後は「芳味亭」に行きます!
ざっくりした地図!
ざっくりした地図!
ということで、人形町に来ました!
ということで、人形町に来ました!
地図を見ると半蔵門線の「水天宮前駅」がないことがわかる。水天宮前駅は1990年に開業したのでガイドブックの当時はまだないのだ。ちなみに水天宮前駅から押上駅が繋がったのが2003年。今では繋がっていて当たり前なのに、割と最近開通していることに驚く。
当時はなかった駅!
当時はなかった駅!
芳味亭を探して歩く
芳味亭を探して歩く
ガイドブックには、この辺りは江戸情緒がまだ残っていて、とあるけれど、それは今も変わらない。歴史があるのだろう、と感じる建物が建ち並んでいる。芳味亭に期待が持てる。今もあるのではないだろうか。
 昭和60年の芳味亭
昭和60年の芳味亭
現在の芳味亭
現在の芳味亭
芳味亭は今も営業していた。しかも、当時の写真と今を比べると、レベルの高い大人向けの間違い探しのようだ。幼児だったら「見つからない」と泣き出すかもしれない。全く一緒なのだ。情緒ある看板や、のれん。当時のままだ。
情緒あるよね!
情緒あるよね!
お座敷も健在です!
お座敷も健在です!

ザ・洋食を食べる

ガイドブックにあったように、お座敷洋食だった。お座敷があるのだ。このまま豆腐をメインにした料理が出てきても驚かない。しかし、ここは洋食屋。メニューを見れば、オムライスやビーフシチューなどの文字が並んでいる。
間違いなく洋食屋ですね!
間違いなく洋食屋ですね!
これを頼みました!
これを頼みました!
ガイドブックに「最近は洋食弁当も人気」と書いてあったので、それを頼んだ。今もメニューに並んでいるのだ。洋食を弁当にするのが珍しい気がする、と思ったけれど、スーパーにあるハンバーグ弁当とかも洋食弁当だ。この感じのお店にあるのは珍しいけれど。
やってきました! 洋食弁当!
やってきました! 洋食弁当!
テーブルに置かれる前に、「美味しい!」と言ってしまった。フライングだ。ただわかるのだ。美味しいのだ。しかも、この洋食弁当は、このお店にある洋食がたいだい網羅されている。これを食べれば洋食すべてを堪能できるのだ。
光り輝いてるよ!
光り輝いてるよ!
洋食弁当には、ハンバーグ、白身魚のフライ、カニクリームコロッケ、ビーフシチュー、厚みのある美味しそうなハムなど、ザ・洋食が詰まっている。洋食の宝箱状態なのだ。そして、全部もれなく美味しいのだ。
美味しいのよ!
美味しいのよ!
掛け軸をバックに食べる洋食にパニックを起こす。そのアンバランスこそが光り輝いていた時代の洋食なのではないだろうか。昔のガイドブック当時の様子を残し、味も雰囲気も最高。これぞ洋食というものに出会えた1日だった。
 幸せでした!
幸せでした!
芳味亭(東京都中央区日本橋人形町2-9-4)
芳味亭(東京都中央区日本橋人形町2-9-4)

輝きし洋食時代!

最近は洋食が普通になっていて、ハンバーグやオムライスなど、安価に食べることができる。ただイメージだけど、もっと特別だったような時代もあった気がする。日曜日に家族でデパートに行って食べる洋食、みたいな。そんな感じを思い出したくて昔のガイドブックを使ってみた。あの当時の懐かしさを取り戻せた気がする。親がお金を払ってくれれば、最高だったけど。
芳味亭のオムライスも美味しかった!
芳味亭のオムライスも美味しかった!
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