まずは本物を食べてみる
当サイトのライターはウニ好きが多いが、僕もその1人であり5年前に回転寿司のウニを食べ比べるという記事を書いた。
回転寿司で、ウニ比べ
5年経ってもウニ愛は衰えず、なにか成し遂げた時はウニを食べている。セレブレーションウニだ。
スーパーにて1000円で購入。
甘味、旨味、苦味、コッテリとしたコク、海の匂い、土埃っぽいような独特の香りなどなどの複雑な味である。
未だ言語化しきれないその味は、脳にやたらと多幸感をもたらす。
合法ドラッグと言っていい。
ホント、なんなんだろうな、この食べ物は。
卵黄に近い
ウニを食べるチャンスがあれば、その味の秘密に迫ろうと舌と頭を総動員して味の言語化にトライしてきた。
そしてある日ウニ丼を食べていて気付いたのだ。
ウニ丼はたまご掛けご飯に似ている。
1個10円の玉子とウニが同じ味、だと?
考えてみれば、ウニと玉子の黄身は同じものだ。ウニの卵巣と玉子の黄身、どっちも卵である。
進化の歴史では数億年分ズレがあるが根っこは同じ。ならば味が似ているのも道理であろう。
黄身ミーツアボカド
玉子掛けご飯とウニ丼は似ているが、旨味や味の複雑さ、コクが足らないんだよなぁ、と思っていた。
そんなある日、アボカド手巻き寿司を食べながら気付いたのだ。
『あ、いま一瞬ウニがいた』
アボカドを食べながらウニのことを考えていたら、味の向こうでウニがトゲを振っていた。アボカドとウニのコク、濃厚さが似ている。
で、混ぜた。
玉子の黄身と熟れたアボカドを混ぜたペーストを作ってご飯に乗せてみたら、これが結構ウニだったのだ。
玉子だけ、アボカドだけより格段にウニに近づいた。ウニの味とは、旨味の複合体だったのだ。
人造ウニを作れそうな気がしてきた
コクや甘味はウニに近づいた。が、旨味や香りが足らない。そこで、似たような感じになりそうな素材を集めた。
青海苔、こんぶ茶、味の素、ナンプラー、あとどこのご家庭にもある『ウニシーズニング A-1』だ。
ウニの錬成に必要な素材達。
みなまで言うな
『ウニシーズニングってなんだよ』って思っただろう。ネットで探して大阪の会社から取り寄せたのだ。100gで1000円、2種類買って送料などなど3200円だった。
ウニを3箱買える金額だが気にしない。
100g単位のオーダーだと割高だが、その上が20kgなので100gだけ注文した。
2種類のうち、『ウニシーズニングA-1』には『混合ウニ』としてウニが入っている。あとは油や旨味調味料各種、食塩、色素などである。
A-1の方が見た目も味もウニっぽい気がする。20kgだと72,000円。
もう一方の『ウニシーズニング#5104』にはウニが入っていない。デキストリン、乳糖、食塩、砂糖、卵黄粉末、うま味調味料など。
ほほぉ、卵黄が入っている。
アボカドに黄身を合わせた発想は悪くなかったようだ。
20kgだと56,000円なのでA-1より安い。ウニなしでウニ味を実現した科学の産物。
なんでもウニ味になる
このウニシーズニングを掛けると、ポテチだろうが煎餅だろうが全てウニ味になってしまう。
あくまで『ウニ味』であってウニそのものとは違う味なんだが、お手軽にウニフレーバーに出来てしまうのが楽しい。
うすしお味のポテチを買って来てぶっかければウニ味になるぜ。
イメージの中のウニの味で、『うにせん』の味そのものである。そうか、こういう粉が掛かってるのか、アレ。
面白いのでウニシーズニング頒布会を開いてウニ好きに配って回りたい。
市販されてたら買うね、ウニ味ポテチ。
さて、では本格的な人造ウニ作りとレシピの公開といこうじゃないか。大丈夫、ウニシーズニングは無くても結構近づけるから。
続きは次のページへ。
人造ウニのレシピ公開!
卵黄1個、アボカド半分、青海苔小さじ1くらい、昆布茶1g、ウニシーズニング0.5g、ナンプラー1g、グリシン0.5g、味の素0.5g、マッシュルームの汁2個分。
急にグリシンとか出てきちゃったよ。
グリシンってのは最近は睡眠改善サプリとして売られているアミノ酸の一種。味は甘いが砂糖よりサッパリした甘味である。
ホタテや海老の甘味はグリシン由来って事で、ウニの甘味もそうだろうと入れてみた。
材料を全部入れてみるとこんな感じです。
それとマッシュルームの汁ってなんだよ
マッシュルームの汁ってのは、読んでそのままの汁。生マッシュルームの軸を取って裏返してグリルで焼くと、傘の内側に汁が溜まる。
この汁が滅法うまいので旨味をブーストするために投入。
旨味と香りを深めてくれます。
グリシンとウニシーズニングは無くてもいい
ウニシーズニングとグリシンは、普通はわざわざ買ってこないといけないし、特にウニシーズニングは入手困難なので無くてもいい。その場合のレシピはこれ。
黄身1個、アボカド半分、昆布茶1g 青海苔小さじ1、 ナンプラー1g、砂糖0.2g、味の素0.5g、マッシュルームの汁2個分。
面倒ならマッシュルームもなくてもいい。パンチ力とか味の複雑さは落ちるけど、それでも近い物が出来る。
これくらいのザックリ感で混ぜてください。
ウニニ手巻きがヤバイ
『人造ウニ』って書くとあまり美味しそうじゃないので、ニックネームを付けようと思いつき、『ウニニ』と命名してみた。以後、この食べ物はウニニと呼称する。
『ウニ似』という意味でウニニ。可愛いでしょ。
上に乗ってるオレンジ色のはホタテの卵巣部分です。これも前からウニっぽいなと思ってたのでトッピング。
食べてみると、これが結構ウニ。いや、まぁそりゃ本物のウニとは違うけど、しばらくウニを食べてない状態で目隠しして食べたら『ウニ!』って思うくらいにはウニである。
個人的にはもうウニニでいい。かなり好きだ、ウニニ。
なにせ材料費が安くてたくさん出来てしまうのだ。手巻きに続いてウニニ丼をこさえた。
これくらいでウニニの材料費は、えーと、80円くらいかな。
ウニとは違うかも知れないけど、かなり近いような気がするし、ウニ神様への挑戦みたいで楽しい。
ホタテの卵巣は薄切りにしてバターで炒めてあります。
ウニニのポテンシャルたるや。
ソースとして使ってもいい。オリーブオイルで炒めたマッシュルームに、しょう油をちょっと混ぜたウニニを乗せる。
ヤバイ。旨味モンスター出てきた。
このヤバイ無名料理。
アサリの白ワイン蒸し、ウニニソース掛け。
ウニニマグロ最強
色々試したが、ウニニと漬けマグロを合わせるとすんげーうまいのだ。そりゃそうだろう。
居酒屋の突出しがこれだったら通う。
漬けマグロのウニニ和えに、本物のウニを少しだけ乗せてオープン手巻き寿司にすると、もはや神の領域である。ウニマゲドン来た。
旨味の暴力と言っていい。
ウニニはもっと美味しくなる余地がある。組み合わせる食材も無限にあるし、黄身を味噌やしょう油に漬けておいて旨味をブーストする手もある。
次のページでは、当サイトのライターに試食してもらったので、その感想を紹介します。
試食してもらった
たまたま編集部とライターが集まる機会があったので食べてもらった。
食べてもらったのはこれ、ウニニのホタテ卵巣乗せオープン手巻き寿司。
編集部安藤さん。
ウニではないが、ウニより好きだ
ちなみに安藤さんは本物のウニは嫌いだと言う。マジかよ。
「ウニかと言われるとウニではない。ウニの要素を組み合わせのは判るけど、味がバラバラな感じがある。でもウニが嫌いなのでウニよりこっちがいい」
個人的にウニが大好きなので、ウニを嫌いという人がいるとは思わなかった。バラバラの件は、ちょっとホタテやわさびの主張が強かったかも知れない。
概ね悩んでいた。
編集部藤原君も食べながら悩む。そしてウニは嫌いだそうな。
理解して笑う。味のアハ体験だ。ウニは嫌いだけど、ウニニはおいしいそうだ。
ウニの嫌な部分がない
次々食べてもらって、概ね好評だった。まとめるとこんな感じ。
・確かにウニの要素はある。
・ウニの生臭さや雑味などの嫌な部分がない。
・ウニを嫌いな人でもウニニは食べられる。
ウニに嫌な部分などない!と思ったが、嫌いな人には判るのだろう。
ライター西村さん。食べた後悩んで、
笑う。
白面の者はウニだと言う
みなが「ウニではないけどうまい」と言う中、なぜか顔が白塗りのライターさくらいさん(白塗りの理由は
この記事)はウニだと言い切った。
「ウニ、ウニですよ。みんな普段からウニを食べてないから判らないんですよ。わたしはウニをよく食べているからわかります、これはウニです」
言い切ったぞ。顔白いけど。
ウニニ手巻きを食べる白面の者。
「ウニだ!」と笑う白面。
自分も改めて食べてみた
改めて自分でも試食してみた。
心を無心にして一口でいく。
味を判定中。
「たしかにウニじゃないけど、まぁウニだわ」、の顔。
更なる改良を加えた
で、試食してもらってから1週間、まだ締め切りまで余裕があったので更に改良を加えた。
・アボカドが多すぎる気がする。
・黄身の味を濃くしたい。
という事でアボカドを減らして黄身をしょう油漬けにした。
黄身をしょう油にドボン。黄身の味を濃くするのだ。
ウニニ最新レシピ
・黄身のしょう油漬け1個(味噌漬けでも可)
・アボカドは、黄身が15gなら30gくらい。1:2。
・青海苔小さじ1、昆布茶1g、ナンプラー1g、グリシン0.5g(または砂糖0.2g)、味の素0.5g
上記をアボカドが多少残る程度に混ぜて、あとはウニと同じ様に食べるだけ!
アボカドの量は好みもあるが、黄身1:アボカド2くらいがウニっぽい。今回はウニシーズニングなしで作ってみた。
マグロぶつの新ウニニ和え丼。オクラをトッピングしたが、シソやキュウリなどウニと合う薬味を添えるのもよい。
言語化を放棄するくらい本能に語りかけてくる味。『なんだかよくわからんが、うまい』という種類のやつ。
大体判っていただけましたでしょうか。要はアボカドを黄身がベースで、あとは各自調味料とか分量は好みで調整してください。
おしまい!
是非ウニニを作ってみてください
ウニシーズニングとかグリシンとかマッシュルームの汁とか、面倒な材料を省いてもウニニは結構それなりにウニになります。
青海苔と昆布茶とナンプラーは必須。あとはお好みで。
是非作って食べて、あれ?なんだろこれ?ウニ?いや、でも違うし、という不思議体験を味わってみてください。