特集 2015年1月19日

新感覚!二人三脚タイピングゲームできました

二人三脚による自己主張
二人三脚による自己主張
二人で協力することを「二人三脚で」なんて言ったりするが、大人になるとなかなか二人三脚をする機会はない。というか、そもそも一人であってもかけっこをする機会がない。二人三脚の出番がないのも当然である。

もっと、いつもやっていることに二人三脚の概念を持ち込んでみてはどうだろう。たとえばキーボードのタイピングとか。
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変な音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。(動画インタビュー)

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タイピングを二人三脚にするとどうなるのか、実際にやっている様子をごらんいただこう。
弊社社内で開催したテストプレイ会の様子
2人のプレーヤーがそれぞれ、キーが半分しかついていないキーボードを使い、タイミングをあわせてタイプすることでテキストを入力する。これがキーボード版の二人三脚だ。

最大の難所は記号の入力である。Shiftキーは左の人が使うキーボードにしかついておらず、また記号のキーは右の人のキーボードに多く配置されている。息を合わせての同時打ちが要求されるのだ。

難しい、やきもきする、イライラする。これで仕事しろと言われたら日本のGDPは1/3くらいに落ち込みそうだが、しかしゲーム感覚でやると大変盛り上がる!これが新感覚ゲーム、キーボード二人三脚である。

綱と風呂と二人三脚

じつはこれ、イベント向けに考えた遊びである。
今月の29日にCROSS 2015という、WEBエンジニア向けの巨大勉強会みたいなイベントがある。ここにデイリーポータルZも呼んでもらえることになったので、いくつか用意した余興のうちのひとつがこれだ。他に、綱引きと札束風呂。
綱引きと
綱引きと
札束風呂
札束風呂
エンジニア向け勉強会に出てくれと言われて躊躇なく札束風呂を持ち込むデイリーポータルZ。浴槽はレンタルでなく自前、でかくてふつうの宅配便では送れないので赤帽を手配している。そんなマイペースすぎる我々の、唯一エンジニアを意識した出し物がこのキーボード二人三脚だ。

間違ったペアプログラミング

ソフトウェアエンジニアのあいだで行われる、「ペアプログラミング」(ペアプロ)という行為がある。2人でひとつの画面を見て、共同でプログラムを書くのだ。
ふつうペアプロをするときは、キーボードを打つのはどちらか片方で、時間ごとに交代したりするらしい。
正しいペアプロ。
正しいペアプロ。
でも、それって本当に協力しているといえるだろうか。手を動かすのが片方なら、もう片方は口を出すだけになってしまう。ひとりだけ楽してないか?そう思いながら上の写真を見返してみると、なんだか左の人の態度が悪いのが気になってくる。精神論でプログラムはできないこともわかっているが、それでもお互い汗を流してこその「ペア」ではないか?もっと平等にふたりとも手を動かすべきではだろう。
このように!
このように!
その点、このキーボード二人三脚なら、二人の負担はほぼ平等。声を掛け合ってのタイピング作業で、チームワークもどんどんよくなる。

このペアプロのすばらしさは他にもある。やったことがない体験のため最初は混乱するのだが、2回、3回とやるとものすごい勢いで上達するのである。開発現場において、プログラミング技術の上達は一朝一夕でできるものではなく、エンジニア各位も時にはスランプに陥ることだってあるだろう。そんなときはこのペアプロで上達感を得ることによって、なんだか仕事ができるようになったように錯覚し、モチベーションも上がってくるのだ。
ためしに遊んでみた編集部・古賀さん。この「一仕事終えた」を通り越して「ひとっ風呂浴びた」かのような満足げな表情
ためしに遊んでみた編集部・古賀さん。この「一仕事終えた」を通り越して「ひとっ風呂浴びた」かのような満足げな表情
そんないいことづくめの、この新型ペアプロ。しかしまだ時代は我々に追いついていないようなので、イベントのタイムテーブルではひとまず下手に出て、「間違ったペアプロ」という名前で入っている。内心では、正しいのはこっちのほうだと思っている。今後3年以内の本家乗っ取りを目指したい。

HOW TO PLAY「間違ったペアプロ」

そんなすばらしい「間違ったペアプロ」であるが、こうやって記事でお見せするだけでは絵に描いた餅である。簡単に体験していただく方法をご紹介しよう。
1.キーボードを2つ用意する
写真ではうっかりたくさんありますが2台でいいです。
写真ではうっかりたくさんありますが2台でいいです。
2.キーを半分ずつ外す
どこで分けるかは自由ですが、ホームポジションを境に右手と左手で分けるとわかりやすいです
どこで分けるかは自由ですが、ホームポジションを境に右手と左手で分けるとわかりやすいです
半分ずつ外した様子。意外と違和感がない。(うそ。近くで見ると超ある)
半分ずつ外した様子。意外と違和感がない。(うそ。近くで見ると超ある)
3.パソコンに2つともつなぐ
半分キーのない異常なキーボードだが、パソコンは何事もなかったかのように接してくれる
半分キーのない異常なキーボードだが、パソコンは何事もなかったかのように接してくれる
これだけでペアプロ環境の完成である。簡単!
バリバリ打ちまくれ!
バリバリ打ちまくれ!
用意自体は本当に簡単である。実はあとでキーを戻すのが大変なのだが。後先考えずやってみよう!それも面倒くさいという方は、CROSS 2015へどうぞ。
キーを戻すのは本当に大変なので二度とやりたくない
キーを戻すのは本当に大変なので二度とやりたくない

ペアプロへの道

ここから先は余談である。準備がけっこう大変だったので、みなさんに共有したかったのだ。
ついでに言うと、大変だった作業のうち半分はそもそも不要だったことが後に判明する。
このページは無駄に消費された労力への供養の1ページである。

専用キーボードを作ろう

さっそく無駄になったほうの作業からご紹介だ。
ペアプロに使うキーボードは(もう「間違った」とか言わずに普通にペアプロとして扱っていきます)、半分のキーしか押せないキーボードだ。こりゃキーボードを改造しなきゃいけないな、と思ったのである。
付き合ってくれたのは弊社社員の川原さん。
付き合ってくれたのは弊社社員の川原さん。
年末の忙しいさなか、たまった仕事を追いやっての作業である。しかも目的は余興。
まずはキーボードを分解する。
まずはキーボードを分解する。
中はこんな感じになっている。
中はこんな感じになっている。
キーボードの中身については以前べつの記事で説明したことがあるので、興味のある方はそちらを見てほしい。
簡単に説明すると、このフィルムは3層重ねになっていて、上下の2枚に電気を通すインクで配線が印刷してある。真ん中の1枚は仕切りで、キーの部分にだけ穴が開いている。
キーを押すとこうやって配線に電気が通り、押されたのを検知している
キーを押すとこうやって配線に電気が通り、押されたのを検知している
キーを無効化したい場合は、2枚目のシートの穴をふさげば、配線が接触しなくなってキーは死ぬ。
しかしチマチマ穴をふさぐのは面倒なので、キーボードが入っていたビニール袋を切って
しかしチマチマ穴をふさぐのは面倒なので、キーボードが入っていたビニール袋を切って
真ん中のシートと一緒に挟んで絶縁
真ん中のシートと一緒に挟んで絶縁
僕はともかく、川原さんはキーボード分解している間にも何度か客先から電話がかかってきたりして、普通に忙しそうであった。

この日のハイライトは川原さんが急に電話対応中にキレ出したところだ。
「ちょっと今作業中でして」「いやほんと今忙しいので!」「そろそろ切りますから!!」と電話が長引くにつれて語気を強めていって最後には一方的に電話を切ってしまった。

彼の担当は弊社のけっこう重要な事業なので、ここの評判が落ちると死活問題である。僕が、え、大丈夫なの!?それいいの!?と不安に思っていたところ、彼はしばらく無言で作業を続けた後、改造し終わったキーボードのネジを閉めながらこう言った。
「保険の勧誘でした。」
「保険の勧誘でした。」
セーフ!弊社、セーフ!
改造し終わったキーボード(見た目は普通)
改造し終わったキーボード(見た目は普通)
PCにつないでテストしてみると、ちゃんと右半分のキーだけが動作して、左半分は無反応なキーボードができていた。これを右と左それぞれ2台、計4台制作した。

その後、「使えるキーと使えないキーが見てわかったほうがいいから、使えないキーは外したほうがよくない?」と別の場で2人に言われ(3人にしか見せてないのに)、結局それに従うことに。
キートップを外してしまうと指では押せない構造になっていた
キートップを外してしまうと指では押せない構造になっていた
2人がかりでけっこう時間をかけてがんばったのだが、最初からキートップ外すだけでよかったのである。「一方ロシアは鉛筆を使った」みたいなオチだった。

スパーン!でフィニッシュ

しかしそれで懲りる我々ではなかった。すぐさま次のデバイス作りに取り掛かる。

「ペアプロ」と言ってはいるが、今回のゲームはタイピングである。画面に表示されたプログラムコードを、二人三脚でそっくりそのまま書き写す。全部タイプし終わったら、完了の操作をすると、打ち込んだものが正しいかどうかの判定が行われる。

この完了の操作だ。「マウスで『完了』ボタンをクリック」みたいな地味なのじゃなくて、もっとこう「スパーン!」みたいなのがいいよね、
スパーン!
スパーン!
ということで、フィニッシュボタンを作ることになった。
「早押しボタン」。東急ハンズで購入。
「早押しボタン」。東急ハンズで購入。
開けるとこんな風だった
開けるとこんな風だった
早押しボタンには小さな電子回路が入っていて、ボタンを押すと「ピンポーン!」という音が鳴るようになっている。
これを改造して、さっきのとは別のキーボードから取った基板をくっつける。
雑な図を見ながらの作業
雑な図を見ながらの作業
作業工程は地味なので割愛します
作業工程は地味なので割愛します
キーボードの基板と早押しボタンを合体させて、キーが一つしかないキーボードを作った。
早押しボタンでPCを操作できた!
早押しボタンでPCを操作できた!
あとはプログラム側で、このキーを押すとタイピングの完了判定が行われるようにしておくのだ。
スパーン!
スパーン!
タカタカタカ…スパーン!と気持ちよさそうにEnterキーを押す人がいるが、こちらは早押しボタンという、生まれながらのスパーン!専用ボタンである。快感はEnterキーの比ではない。

こっちは残念なオチがつくこともなく、うまくできたので本番でも使う予定である。


ふざけてやってみたら面白かった

ほんとはイベントのちょっとした出し物としてささやかにやるつもりだったのだが、ふつうに面白いゲームに仕上がってしまった。周囲からも大変好評なので、これは皆様にもお伝えせねばと思い記事にさせていただいた次第です。キーボードさえ余っていれば特別な機材は必要ないので、CROSSに限らず、勉強会の余興などにぜひお試しいただきたい。

ということで、せっかくなので以下、イベント告知です。

■CROSS 2015
2015年1月29日(木) 10:30開場 @横浜港大さん橋ホール

CROSSは日本最大級のWEBエンジニア向け勉強会。
イベント中は、昼の部では会場内にペアプロ環境一式を設置、自由に遊んでいただけるようにします。このときに早かったペアは、ランキングに登録されます。
そして夜の部。ランキング上位4ペアによる、最強決定戦を行います!こちらはペアプロ環境を2つならべて設置、その場で生対決します。

我こそはという方は、ぜひCROSS 2015へどうぞ!


綱引きもあるよ

せっかくなので、もうひとつの出し物である綱引きについても、編集部 古賀さんから告知してもらおうと思います。どうぞ!

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こんにちは。古賀です。
CROSS 2015では、このほか「プログラム言語対抗綱引き」も行います。

C、Perl、PHP、Python、Ruby、JavaScript、Go、Java。コンピュータ界を支える8つの言語をあやつるプログラマが各言語チームに分かれ、最高の言語をただし腕力で競い合うというザ・冗談の大会です。

プログラマのみなさま、どうかご自分にゆかりの深い言語にエントリーしてください。エントリーは当日会場の「おたのしみコーナー」で行っております。

「プログラム言語対抗綱引き」
CROSS 2015 おたのしみコーナー
10:00~17:00 エントリー受付
※各言語定員いっぱいで締め切ります
17:30~18:30 対戦!

ご参加、お待ちしております!
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