特集 2012年12月10日

ゲーム感覚でプレゼンしよう

キーボードは広げると畳半畳

64コントローラーでプレゼンソフトを動かすためには、たぶんコントローラーの信号を解析して…(20ステップくらい中略)…プレゼンソフトのPowerPointに送信、というのをやんなきゃいけないのだろう。

…僕にとてもそんなスキルはないので、今回はやめる。かわりに64コントローラのケースだけ使って、中身をまるっと入れ替えることにした。

中にはパソコン用キーボードを入れる。キーボードのカーソルキーを、64のボタンに付け替えるのである。(PowerPointのスライドはカーソルキーでも操作できます)
餌食となるキーボード
餌食となるキーボード
裏のネジを開けて
裏のネジを開けて
一枚はがすと鉄板が出てきた
一枚はがすと鉄板が出てきた
全部はがすとこんなにたくさん
全部はがすとこんなにたくさん
キーボードは、分解してみると実に7層もの板やフィルムでできていた。

よく人間の血管を全部つなげると地球何周、みたいなことを言うが、キーボードも全部広げると畳半畳くらいになるのだ。
でも今回いるのはこれだけ
でも今回いるのはこれだけ
今回必要なのはほんの一部だ。上の、鉄板の写真で端っこの方についてる小さい基板。これがどうもキーボードの心臓部っぽい。
これ
これ
こんなに小さい
こんなに小さい
あとの畳半畳の部分は、ケースと、スイッチの部品である。

ここでちょっとキーボードのすごさを

分解ついでに、改造してみてわかった、キーボードの仕組みをみなさんにお伝えしたい。すごく良くできてて、おもしろかったのだ。

まず、キーの仕組み。スイッチ部分は3層の薄いフィルムでできていて、1、3枚目には電気を通すインクで配線がプリントされてる。それを押し込んでON/OFFする。
ふだんは真ん中のフィルムのせいで配線同士に空間があるけど、キーを押し込むと接触してスイッチが入る
ふだんは真ん中のフィルムのせいで配線同士に空間があるけど、キーを押し込むと接触してスイッチが入る
これがひとつひとつのスイッチの仕組み。これならいちいちはんだ付けとかしなくても、薄いフィルムを3枚重ねるだけで、簡単に大量のスイッチができてしまう。すごい。

で、あとはどのキーが押されたかもわかる必要があるんだけど、それはこうなっている。
何番と何番が繋がったかで押されたキーがわかる
何番と何番が繋がったかで押されたキーがわかる
同様に、上の図だとXを押せば2と6、Cを押せば3と6だ。あとはマイコン(基板についてるゲジゲジみたいなやつ)が繋がった端子の番号からどのキーが押されたかを割り出し、適切な信号をパソコンに送ってくれる。

もし、こうしないで100個以上あるキーひとつひとつに+-の銅線を用意すると、全部で200個の端子がいるし、配線も同じく200本になりグッチャグチャになってしまう。これなら端子も配線も共用できるので、大幅にすっきりさせることができる。ちなみに僕が分解したキーボードの端子の数は26個だった。

電子機器というと、真っ黒いICが入っていて、僕のような文系出身者には到底理解不能なテクノロジーで全部ピコピコやっているイメージがある。ただ、開けてみるとどんな機械でも一部はこういうアナログな創意工夫でできている部分がある。こういうの見つけると「自分にもできそう!」とか思ってすごく興奮する。(実際に出来るかどうかは別)

とはいえ配線は迷路

ちょっと込み入った話になりましたが、ここまでわかれば次にやるべきことは、キーと基板の端子の関係を調べること。
「どのキーが何番と何番の端子に繋がってるか」がわかればいい。単純に配線をなぞっていくだけだ。

先ほどの図解ではわかりやすくするために配線が碁盤の目になっていたが、実物はもっと複雑で、こんなである。
地下鉄の路線図みたい
地下鉄の路線図みたい
さっき「なぞっていくだけだ」と書いたが、全然「だけ」で片付けられる話ではなかった。
線の上をペンでなぞっていく
線の上をペンでなぞっていく
とにかく細かい。ちょっと気を抜くといつの間にか隣の線をなぞっている
とにかく細かい。ちょっと気を抜くといつの間にか隣の線をなぞっている
やっと片面終わった
やっと片面終わった
細かい上にやたら遠回りする配線。まるで迷路のようだが、一本道なので全くエンタテインメント性がない。一生懸命がんばった結果、得られるのが2つの数字のみという手応えのなさも、だるさに拍車をかける。

しかもこれで1キーの片面。今回は11個のキーを作ろうとしているので、最高で22回、これをやらなきゃいけない。さっきまで「キーボードすごい!」とか言って興奮していたのに、急に疲れてしまった。人の心は移ろいやすいものである。
1時間くらいかけてすべての番号を調べ上げた
1時間くらいかけてすべての番号を調べ上げた
細かい作業で、目の奥が痛い。

(そしていま書いてて気づいたけど、この作業、テスターで電気通して調べれば多分30秒で終わった…。)

エアキーボード完成

あとは番号がほんとうにこれでいいかの確認。正しければ、パソコンにつないだ基板の端子を導線で直結すれば、キーが入力されるはずだ。
銅線でチマチマ繋ぐ
銅線でチマチマ繋ぐ
さっきの例で言えば、2番と5番を繋げば「S」が入力されるはず。キーもないのにキーボード。エアキーボードだ。
エアカーソルキーでカーソル(エアでない)が動いた!
おー、文字が打てた。

キーボード、あんなに大きいのに、心臓部はこんなに小さな基板なのだ。あとは全部スイッチで、人間の手のサイズに合わせて大きくなってるだけ。

スマートフォンとかに対してよく「こんなに小さいのに高性能」って思うけど、このとき人間は機械に対してちょっと上から目線で見てる気がする。実際には、こういう風に、ほんとうはもっと小さくなれるのに人間に合わせてわざわざ大きくなってくれてる場合もあるのだ。
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