小出し記事 2020年12月15日

インディーズ路線図とはなにか ~○時でも間に合う!学校編~

鉄道会社以外のところが作ったなんらかの路線図を「インディーズ路線図」と呼んでいる。

今回のテーマは「学校が作ったインディーズ路線図」。高校も大学も専門学校も自動車学校も、通う生徒のことを考えているのがわかるのだ。

編集部よりあらすじ
路線図ファンのライター井上さんが、熱量高く見守っている「インディーズ路線図」シーン。よく見かけるものだからこそ、おもしろがれた方が楽しいですよね。観光協会編に続く今回は、学校!

1975年宮城県生まれ。元SEでフリーライターというインドア経歴だが、人前でしゃべる場面で緊張しない生態を持つ。主な賞罰はケータイ大喜利レジェンド。路線図が好き。(動画インタビュー)

前の記事:インディーズ路線図とはなにか ~どこからでも来れます!観光協会編~

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8時の電車に乗れば間に合うよ!

インディーズ路線図を「鉄道会社以外の、なんらかの施設が作った路線図」と定義してきたが、「なんらかの施設」にはもちろん学校も含まれる。

特に私立校は予算が潤沢なのかキレイめのWebサイトを作っていることが多く、「アクセス」にはきっちりデザインされたオリジナル路線図がよくあるのだ。こちらにとっては宝の山である。

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香蘭女学校の「アクセス」より。

学校のインディーズ路線図における最大の特徴は、各駅に学校までの所要時間を載せがちなところ。

通っている学生には有益な情報であり、入学を検討しているご家庭に「お宅の最寄り駅から通える距離ですよ」とアピールする狙いもあるだろう。

例えば東京都品川区にある中高一貫校、香蘭女学校の「アクセス」には、東京近郊の主要駅からの通学時間が記載されている。八王子(72分)からでも通えるんだなと一目でわかるし、「ここから先は限界なのかな?」と思わせる大胆な省略も見どころだ。

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日本福祉大学附属高等学校の「交通アクセス」より

なかには「○時発の電車に乗れば始業時間に間に合う」ことまで教えてくれる学校もある。逆算すればギリギリまで寝ることも可能だ。

愛知県にある日本福祉大学附属高等学校の「交通アクセス」においては、1ヶ月分の通学定期代まで併記。我が子を通わせる親御さんの、お財布の心配までしてくれる。これぞホスピタリティだろう。

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地方はスクールバスが活躍

ここまで鉄道網が発達した都市部の学校を見てきた。一方、地方で通学の足として活躍するのがスクールバスだ。

先ほどの鉄道網で求められる情報は「所要時間」だった。対してスクールバスで求められる情報は「うちの近くを通るのか」だ。鉄道と違い、その路線がそもそもどこを走るかわからないから。

そうした情報を伝える究極の形が鹿児島実業高等学校のインディーズ路線図なのではないかと思う。

 

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鹿児島実業高等学校の「アクセス」より

グレーの丸で示されているのは団地やニュータウン。6路線あるスクールバスがどの団地を通るのか、点つなぎパズルのように路線を描いている。

こんなに鋭角にバスが曲がるのか、と野暮なことを言ってはいけない。あくまで「ここを通りますよ」と伝えるのが目的だからだ。中学校名も併記されており「この中学の学区はこのバス」であることも明示されている。

あと錦江湾からジャンプするイルカの親子にも和む。

* * * * *

所要時間、通学定期代、中学校名……学校ごとに「これ必要だな」と思った情報がある。学校とはまた違った施設なら、載せたい情報も異なるだろう。この自由度の高さに奥深さを感じてもらえるだろうか。

いよいよ次回は最終回。「個性的!なんかすごい編」で爆発する自由度を見てもらいたい。

 

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