ライター:井上マサキ
第一回:インディーズ路線図とは
第二回:えこひいき! 鉄道会社が運営している施設編
第三回:どこからでも来れます!観光協会編
第四回:○時に出れば間に合う!学校編
第五回:個性的!なんかすごい編
※小出し記事は書けたところから即、小出しに公開する連載企画です!
来てほしい気持ちが筆を走らせる
鉄道会社が作る路線図(メジャー)は、自社の鉄道路線がどこを走っているかを示している。複数の路線があればそれを網羅するのが当然だ。だってみんなに乗ってほしいから。
対して、鉄道会社以外が作る路線図(インディーズ)は、「ある場所」を案内するために描かれている。1点にフォーカスが集中していると思ってほしい。
となると、「ある場所」に来てほしければ来てほしいほど、路線図に描かれる範囲が広くなる傾向がある。だってみんなに来てほしいから。
その熱量が、観光協会が作るインディーズ路線図を魅力的にする。
例えば大阪観光局の「関西の全路線ネットワーク」は、大阪を中心にJR・私鉄・地下鉄が全部1枚の路線図に載っている。
2つの空港に新幹線、金剛山ロープウェイ、万博開催予定地の夢洲までカバー。苦心して梅田周辺の駅をつなげているところも含め、大阪を満喫してほしいという思いが詰まっている。
「鎌倉観光公式ガイド」で公開されている鎌倉への交通アクセス。羽田空港や東京、大宮などから、最短経路で鎌倉へ向かえる路線を選抜。まさに「いざ鎌倉」である。
注目したいのは、湘南モノレール、江ノ電、小田急江ノ島線(藤沢以降)の駅が、急に細かく刻まれているところ。鎌倉周辺の観光地に寄ってもらうためだ。遠方はざっくり、近辺はじっくり。この路線図には2つの縮尺が混在する。
思いが海を越えることも
うちの観光地に来てほしい、その熱い思いは海を越えることがある。日本は島国だ。北へ南へ、見どころはたくさんある。
するとどうなるか。答は簡単。飛行機が飛ぶ。
根室市観光協会のサイトにある「飛行機・JR・都市間バスでのアクセス」。北海道内から根室へは、JRとバスがつながっている。でも本州からのアクセスは飛行機だ。かといって日本列島全体を載せると、北海道はどうしても小さくなってしまう、
そこで、太平洋側に空いたスペースに、本州以南を大胆に配置。仮想空間にある東京・名古屋・大阪から釧路へ、動脈を思わせる赤いラインが飛ぶ。
ただ、道内からの航路も釧路に飛ぶし、釧路が画の中心にあるしで、どうしても釧路に目を引かれてしまう。視線を右にズラせば、ピンクで大きな「根室」の字が眩しい。
* * * * *
範囲をどこまで広げるか、どこまで詳しく書くのか。そこに作り手の葛藤があり、願いがある。次回「○時に出れば間に合う!学校編」では、さらに利便性を追及した例を見ていきたい。
ライター:井上マサキ
第一回:インディーズ路線図とは
第二回:えこひいき! 鉄道会社が運営している施設編
第三回:どこからでも来れます!観光協会編
第四回:○時に出れば間に合う!学校編
第五回:個性的!なんかすごい編
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