熊本は故郷
熊本は九州の中でも存在感の大きな県だ。私が鹿児島に住んでいる時も、福岡に住んでいる時も、大分に住んでいる時も「阿蘇にドライブに行こうか」と、家族でよく出かけていた。あそBOY(蒸気機関車)に乗ったこともある。
というわけで私は熊本を地元と言いたい。住んだことはないけれど、子供の頃からよく行っていたし、リバテープ(後で何か説明します)も使っていた。つまり素晴らしき場所なのだ。そんな素晴らしき場所を皆さんのオススメで旅する。そう、私の地元を。
映える神社に行く
近年、SNSの普及により、今まであんまりスポットが当たらなかった場所が全国的に知名度を上げている。その一つが熊本は阿蘇にある「上色見熊野座神社」ではないだろうか。映えるということで、めちゃくちゃ注目を浴びたのだ。
伊邪那岐命、伊邪那美命、石君大将軍を祀り、気持ちよくまっすぐ伸びた杉の中に参道がある。灯篭や鳥居は苔むしており、雰囲気がよい。木目を生かした内装の雑貨屋をもっとワイルドにした雰囲気だ。
基本的には無人の神社だけれど、SNSの影響なのか、参拝客は若いカップルや女2男1のグループがいたりとなかなかに賑わっていた。一番憧れる女2男1がいる。羨ましい。とても羨ましい。そんな座組で、仕事以外で、どこかに行ったことはない。祈った。とても祈った。
とても映える。緑が美しいからだ。ただオレンジ(私)が邪魔だという意見も聞こえる。間違っていない。猟師は間違って撃たれないようにオレンジ色の服を着ている。緑と調和しない代表的な色なのだ。心の目でオレンジを排除して、見て欲しい。
海に電柱が続く
上色見熊野座神社は正直映えた。次もそんな映えるスポットだ。幻想的な雰囲気の場所。熊本にはそんな場所が多いのかもしれない。もちろんそんな場所にオレンジの服で行く。
長部田海床路にやってきた。海苔の養殖や採貝をする漁業者のために陸地から約1km、海の中に道が続いている。その脇には電柱が並び、夜になると光が灯る。夕暮れ頃がオススメと聞いてやってきたのだけれど、見事に薄曇りだった。
オレンジ色に染まる空は見ることはできなかったけれど、私はオレンジだ。夕暮れの代わりにオレンジの私。そういうことなのだ。ちなみに今は水が引いているので歩くことができる。満ちると歩けない。
潮の満ち引きで道が隠れ、電柱だけが海から顔を出す。幻想的だ。水が引いているタイミングで先端まで歩いた。電柱を見ると満潮時の深さがわかる。私の身長が189cmなので、それよりもはるかに水があるということだ。
本当は173cmなのだけれど、だとしてもなかなかの水位だ。逆に水が引いている時は、船も地面の上にある。この状態では船を動かすことはできない。周りにはカモ的な鳥が大量に暇をつぶしていた。
人気なのだろう、カップルや一番憧れる女2男1が歩いていた。わかりやすく美しいのだ。私は一人で訪れているのだけれど、「綺麗」と自然と口に出して言ってしまった。熊本、映える。映えすぎて困る。
メリ穴熊本
次はご存知「メリ穴」だ。ご存知と書いたけれど、初めて聞く人も多いと思う。私も初めて聞いた。ただ「メリ穴、メリ穴……」と続けて言っていると「ジュリアナ」っぽくなったので、ご存知と書いてみたわけだ。
上色見熊野座神社、長部田海床路と非常に映えるスポットだったけれど、メリ穴は映えはしない。その名前に惹かれてやってきたのだ。地下水の侵食によりできた自然洞穴で、古くは「参り穴」として、江戸時代の「肥後国誌」にも登場している。
「参り穴」が転じて「メリ穴」と呼ばれるようになった。つまり今後、メリ穴が転じて「ジュリアナ」になる可能性もあるのだ、たぶん。内部は湧水が落下しているようで、穴に近づくと勢いある水の音が聞こえた。
今は危険があるらしく、中に入ることはできない。水の音だけが聞こえて来る。江戸時代の書物にもあるように、今も変わることなく水が流れているのだ。近くにはメリ穴公園もあった。名前に惹かれる。本当にいい名前だ。口に出して言いたくなる。
栗んとうの衝撃
「かりんとう」という食べ物がある。黒い棒状のあれだ。熊本には「栗んとう」なるものが存在した。教えてくれた方は食べたら止まらなくなった的なことをおっしゃっていた。人吉駅のお土産屋で買ったそうだ。
栗が名産の山江村で作られているもので、熊本のお土産屋をのぞくと高確率で売っていた。大人気のようだし、その人気は間違いない。めちゃくちゃ美味しいのだ。止まらない。全く持って止まらない。栗のほのかな甘みが上品な美味しさを醸している。
もうね、普通のかりんとうには戻れない。かりんとう界で1位だし、和菓子の日本代表でもいい。美味しいとしか書けないほど美味しくて、少し多めに買ってしまった。だって美味しんだもん。