装飾された古墳
誰もが知っている「古墳」。全国で20万基以上が作られたそうだ。古墳にはいろいろな種類がある。形だけを見ても、教科書でお馴染みの「前方後円墳」や「円墳」などあげればキリがない。そして、熊本の特長的な古墳が「装飾古墳」だ。
装飾古墳は形ではなく、石棺などが装飾されている古墳だ。非常に珍しい古墳で全国に660基ほどしかなく、熊本にそのうちの40%ほどが存在する。装飾古墳と言えば熊本なのだ。
そんな装飾古墳を代表するのが山鹿市にある「チブサン古墳」。1500年以上前に造られた全長50m以上の前方後円墳。埋葬部分は後円部にあり、大きな1枚の天井石でふさがれている。コの字型で360度が石で囲まれているわけではない。
石室は見学できるのだけれど、10時と14時と時間が決まっている。私は見たのだけれど、撮影禁止なので、残念ながらその写真はない。ただ近くにレプリカが展示してあり、本物を見た私が言うのだから間違いないが、ほぼこれだ。
赤と白と黒が使われている。赤い部分はサビを利用し、白い部分は粘土質の土、黒はマンガンで着色している。装飾古墳は先のオブサン古墳のように、色が残っていないものも多いけれど、チブサン古墳は色が美しく残っている。
模様が乳房のように見え、乳の神様として甘酒をお供えする信仰があったそうだ。チブササンと言われ、それが転化してチブサンと言われるようになった。陽気な人みたいな人も描かれているが、これは王冠をかぶった埋葬者なのではないかと思う。
埋葬者は盗掘されていることもあり、誰かわかっていない。ただ立派な古墳なこともあり、このあたりの権力者だったことがわかる。全ての模様に意味があるのだけれど、それは現地で見学を申し込むと説明してもらえる。めちゃくちゃ楽しかった。
日本一を見る
熊本には日本一や日本初、日本で唯一というものが多々ある。そういうものはぜひ見たい。まず行くのは阿蘇にある南阿蘇鉄道高森線の駅「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」だ。文字で14文字、読みで22字。そう、日本一長い駅名の駅なのだ。
2位の駅名は茨城の「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅」で、文字数は14字と同じだけれど、読みは13字なので、「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」が日本一となるわけだ。ただ2001年に島根に「ルイス・C・ティファニー庭園美術館前駅」が誕生してしばらくは、「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」は日本一ではなくなっていた。
しかし、2007年に「ルイス・C・ティファニー庭園美術館前駅」が、美術館の閉館により、「松江イングリッシュガーデン前駅」と変わったため、「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」が再び日本一に返り咲いたわけだ。
次は「天草四郎像」の日本一。天草四郎の銅像は、ゆかりある地域以外は作らない気がするので狭い範囲での日本一だけれど、日本一に違いはない。ちなみに天草四郎は島原の乱の一揆軍の最高指導者だ。
上天草市にあるもので、高さは15メートル。私は大きいことは素晴らしいと考えるタイプなので、大きさに満足している。別の天草四郎像も見てみたけれど、確かにこの天草四郎像ほど大きくはなかった。
比べるとその大きさがよくわかる。天草四郎自体はこんなには大きくないと思うけれど、存在感はこんなにも大きかったのではないだろうか。キリスト教の信仰が禁止されていた時代の話だ。ちなみに美里町には日本一の石段もある。
日本初と唯一
スクランブル交差点と言われると、どこのスクランブル交差点を思い浮かべるだろうか。東京・渋谷のスクランブル交差点を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。ハロウィンやWカップなどで何かと全国的にテレビなどで放送されるスクランブル交差点だ。
ただ日本初のスクランブル交差点は熊本市内にある子飼交差点のもの。1968年12月に完成した。ニューヨーク五番街のバーンズ交差点のスクランブル交差点をヒントに考案されたそうだ。渋谷が日本のスクランブル交差点の顔みたいな感じだけれど、こちらこそがスクランブル交差点なのだ。
1970年頃から東京でも、スクランブル交差点が導入された。私の見た感じでは特に「日本初」みたいな案内などを見つけることはできなかったけれど、これが日本初。聖地と言ってもいいかもしれない。今後はスクランブル交差点を渡る度に子飼交差点を思い出して欲しい。
次は日本で唯一の駅に行く。それはくま川鉄道湯前線の駅「おかどめ幸福駅」だ。何が日本唯一なのかと言うと駅名に「幸福」が入っている唯一の駅なのだ。駅自体は無人駅だけれど、近くに綺麗な売店がありレンタサイクルなどを利用できる。
駅名から受験生や良縁を願う人に人気があるそうだ。もちろん勝手に「幸福」と名乗っているわけではない。理由があるのだ。駅からすぐの場所にある「岡留熊野座神社」がその由来。1280年に創建された歴史ある神社だ。
蒙古が日本に攻めて来た時に、この地を治める藩主が岡留熊野座神社で祈願した。その結果、神風が吹き、日本から蒙古は撤退することになった。そのため岡留熊野座神社に詣でると、幸福がもたらされると信仰を集めた。
このことから、駅を作る時に「おかどめ幸福駅」と命名されたわけだ。隣の売店で幸福切符なども売っている。ただ私には幸福がなかったようで、訪れた日は売店がお休みだった。でも、駅自体にも本坪鈴があり、拝むことができる。当然拝んだ。
いきなり団子
いきなりと言われると何を思い浮かべるか。私は「団子」である。なぜなら大好きだからだ。熊本名物「いきなり団子」。輪切りにしたサツマイモとあんこを餅や小麦粉を練ったもので包み蒸したものだ。
熊本に行けばどこでも、いきなり団子は売られているけれど、オススメしていただいた、道の駅大津のいきなり団子を買い求めた。大津産の芋を使用した、いきなり団子。5種セットの「照々姫」を買った。
つぶあん、いもあん、天然ヨモギ、黒砂糖、紫いもととてもカラフルなセット。いもあんとか意味がわからない。だって輪切りになった芋がそもそも入っているのだ。そこにさらにいもあん。美味しいに決まっているではないか。
芋が柔らかく、さらにあんが甘みを引き出している。そもそも私がいきなり団子が大好きということもあるけれど、文句ない美味しさだった。味が違うのも嬉しい。紫いものいきなり団子は初めて食べた。