ういろうは愛知のものだと思っていた
ういろう
それは白とかピンクとか茶色とかをした、直方体のもちもちした食べ物である。原料は主にお米の粉。ケーキとかマカロンみたいに洒落ておらず、言ってしまえばやぼったいお菓子である。しかし、確実に美味しい。
僕は愛知県の出身で、子どもの頃からよくういろうを食べていた。大人になって愛知を離れてからも、たまに帰ると懐かしいなあ、なんて思いながら買って帰ったりしたものだ。
当時はういろうは愛知だけのもので、だからこそ愛知の名物なのだと、なんの疑いもなくそう思っていたのだ。
しかし神奈川に住み始めてから、小田原にもういろうが売られていることを知る。
最初は「へー、小田原にもういろうがあるんだー」くらいに思っていたのだが、おどろいたのはその包みに書かれた文言である。
「ういろうの元祖は小田原です」
元祖は(愛知じゃなく)小田原?
パッケージによるとういろうの元祖は小田原で、600年前の室町時代から続く伝統ある食べ物なのだとか。
あんなに食べていたのに、知らなかった。
その後、愛知や小田原以外にも全国各地にういろうがあることを知り衝撃を受けた僕は、混乱の中2011年に各地のういろうを食べ比べた記事を書く(その時の記事がこちら(「ういろう」は全国的なものだった)。
あれから8年。
今ならもう少し冷静な目でういろうを見ることができるのではないだろうか。
今回は「地元」に詳しいアイデムの協力を得て、各地のういろうを集めて食べ比べ会を開催した。それぞれのういろうを認めた上で、その中から自分に本当に合うういろうを見つけるためである。
そしてこれは、ういろうを愛知だけのものと信じて育った、過去の自分へのレクイエムでもあるのだ。