特集 2020年7月9日

人の長所を100個あげるのは可能か

苦行と照れの向こう側へ。

先輩が「昔、上司に『おれの長所を100個いえ』と言われてキツかった」という話をしていた。他人の長所を100個。5個ぐらいならまだしも、100個は苦行である。

ただ、そのあと無理くり細部まで褒めまくり、達成したという話が面白かった。実際にやるとどんな気持ちになるのか。後半は一体どうなるんだという疑問が湧いた。

実験してみると、大変たのしく、かなり効率よく言える方法を編み出すことにも成功しました。

1990年沖縄生まれ。営業日のお昼休みに(ほぼ)毎日更新する「今日の休憩」というブログを運営しています。

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まずは10個からやってみる

まず「人の長所を100個言うと辛いのかやってみたい」と友人に連絡をした。

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友人の山宮さん(左上)と郡司さん(下)である。「100個か…」「言われる方も照れそうだし嫌だな」と普通に不満が漏れる。

100個に自信がないので、まずはペースをつかもうと10個ずつあげてみることにした。

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私「じゃあまずは郡司さんの長所を10個あげよう」というと、郡司さんが水をガブガブ飲み、そわそわし始めた。めちゃくちゃ緊張するらしい。
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山宮さんがまず切り出した。山宮「えー清潔感がある」與座「あーあるある!」郡司「えぇ〜?」就活の面接よりざわざわする時間がはじまった。

 與座「あと顔に害がない」

 山宮「ないない!」

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山宮「えー…」 與座「えーっと…長所……」郡司「……………」
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郡司「まだ2個ですけど!?!?!」言われてる方が進捗の悪さに怒り出してしまった。100個もやるんだろ?と説教される。

なぜ詰まっているかというと、100個を見越して考えると「どの粒度で褒めたらいいのか」がわからないのだ。

「やさしい」と言ったあとに「これ10個ぐらいに分解できるのではないか?」と悩んでしまう。

郡司さんの10個がおわり、山宮さんの長所にうつる。

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郡司さんが「お金の管理をしっかりしている」とあげる。「え!俺そんな話してないじゃん!」と指摘されて驚いている、しかし事実らしい。見抜かれていた系の長所がでてきた。
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そして私もあげてもらう。「継続できる」と1発目に言われた。考えたことがなかった。むしろ継続は苦手だと思っていた。「だってブログ長くない?」と言われる。
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確かに平日だけ更新するブログを長いことやってる!自分であまり長所だとは思っていなかった。
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「あれ?本当だ 知らなかった。え、めっちゃいいことじゃない?嬉しいからもう終わろうかな?」とひとり早口でぶつぶつ言う。「100個やってみたいって言ったのお前だろ」とすぐ引き戻された。

 そして10個ずつ出そろった。

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こちらがその10個。左から順番でやっていったが、脳が慣れ、だんだん具体的な指摘ができるようになっていったことがわかる。

「おもしろい」ではなく「おもしろい文章がかける」「おもしろい台本がかける」など分解したら数が稼げることもわかってきた。時間にすると各5分ぐらいかかる。

また、言われている方は意外と2個を過ぎると照れもなくなる。「あーはいはい、それね」ぐらい冷静に聞けることもわかった。

本題の100個長所へ

要領がわかってきたので、残り90個をぶっ通しでやってみることになった。まずは郡司さんの長所をあげる。

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「筋トレやってる」「ツイッターがうざくない」「麻婆豆腐にこだわりがある」など、ジャンルを問わない普段聞いた話があがっていく。

50までは意外とサクサクすすんだ。20分ぐらいだろうか。しかし50からが急に詰まってしまった。

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「長所もうないよ」と本人の前で言う。本当に脳が疲れてきた。

 その時山宮さんが「淡い色の服似合うよね」と言った。そのあと私が「パーマも似合う!」と褒めた。

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そこから怒涛の「過去の髪型を褒めるモード」に入った。3つも稼げた!やったー!ひとつジャンルを見つけると早い。
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当の本人は照れもなくなり「がんばれ!がんばれ!」と励ましている。これが少しいらっとする。

「ヒョロヒョロしてない」「マイナーな外国1人でいける」などねばって80個まできた。もう40分をすぎている。 「いける!いけるぞ!」と自分たちを鼓舞しつつも、停滞も増えてきた。

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そこで「ヒントあげましょうか?」と上からの提案がくる。なんだそれは。しかし我々はどうしても100までいきたいので受け入れる。
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「基本性格で出てないやつがありまーす」と言われる。うそだろ、80個もやってきたのに?と突然のクイズタイムがはじまった。なんだ?2人で考え込む。
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與座「あ…わかった!真面目!!!真面目だよね?」郡司「正解!!」
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與座「やったー!!!」山宮「くっそー」というもうよくわからない時間になってきた。
確かにこの人は真面目だ。84個めまで思い出せなかった。

と、いろんなことがあり無事100個を達成した。見返すと、どれも「たしかに長所だ」と純度が高いものが集まった。

やる前は「後半は苦し紛れになるだろう」と思っていた。だが、実は基本的なことほど思い出すのがむずかしい。当たり前すぎて思い出せないのだ。

93個目で「人を傷つけない」97個目で「よく笑う」など、20ぐらいで出てきそうなものがたくさん出た。

しかし50分かかって体力的にはすごくしんどかった。

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50分間自分の長所を100個浴びた郡司さん。大変満足げである。褒められると嬉しいらしい。言った方もまあ喜んでるしいいかとなる。

もっとスピードをあげるには

褒められると嬉しいし、答えている方はゲームのようで面白い。しかし1人に50分は厳しい。むちゃくちゃ疲れた。もっとサクサクやりたい。

あがった100個をカテゴリに分けると、大体6個ぐらいあることがわかった。

①見てわかる系
・「笑顔がいい」「筋肉がある」など

②性格系
・「真面目」「我慢強い」「明るい」など

③対人系
・「相談にのってくれる」「人をほめる」など

④対自分系
・「よく勉強してる」「たばこ吸わない」など

⑤技術系
・「ダンスできる」「タイピング早い」など

⑥そのほか
・「名前が貴族みたい」「いい街に住んでる」など

 と、このカテゴリ別に15〜16個ずつぐらいに分けていけば早くなるのではないか?

カテゴリ別に言うと倍速になる

その方法で山宮さんの100をスタートする。まずは「①見てわかる系」だ。

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「おしゃれ!!」「肌がピカピカ!」「アクセサリー似合ってる!」など1分も立っていないのにサクサク飛び出した。前だと10分かかっていたところである。

このカテゴリ分けは効果てきめんだった。大体1カテゴリ7個ぐらいはすぐに出てくる。ひとたびカテゴリに詰まっても次にいけばいい。それをぐるぐる回せばいいのだ。このやり方が正解だ!

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あまりにやりやすく、2ターン目の「②性格系」でこのあたりが本当にサクサク出た。後半も後半なのにである。
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あまりにテンポよくでるので山宮さんが「えっ嬉しい〜」「えへへ」とずっとニコニコする人になっていた。

カテゴリ分けの効果ですぐに100個言い終える。かかった時間は30分。前から比べると20分も短縮できた。しかも絞ることで質も上がっている。

しかし、30分でも疲労感は残る。やってる方はすごく楽しいし、盛り上がるが「飲み会でやるといいよ!」とまでおすすめできる時間ではない。

さらに「時間制限」をつけるとどうか

ラストは私が言われるターンである。もう1時間半も経って疲れた。褒められるとしても、10分ぐらいで終わりたい。

と、いうことで先のカテゴリに加え「1カテゴリ2分」という制限をつけることにした。

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タイムキーパーは私がすることになった。「じゃあ私の①見た目でわかる長所を言う2分間、スタート!」という地獄みたいな号令をする。
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始まった瞬間「短い髪にあう!」「ラフな格好にあう!」と言葉がかぶるぐらいハイスピードで出た。序盤のしりとりぐらいのペースでどんどんでる!まじか!

なんと2分で15個、本当に出せた。しかも投げやりなやつではなく、きちんとしたものがそのスピードで出る。

はじめは5〜10分で10個が普通だった。彼らの脳に何が起きているのか。

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「あと30秒!!」と部活の顧問ばりに喝を入れる。しかし急かすことで脳がフル回転するらしく、カテゴリも分けてあるので考えやすいという。初回の10個のスピードが嘘のようだ。
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ただ急かしたせいで気づかう余力が減り、山宮さんが「計画的…あ!違うか!!」と訂正したりした。確かに私に計画性はほぼない。ただ少し気にした。本人にはいま集中しているので悪気はない。

と、10分でなんと87個の長所を達成することができた。カテゴリ分け&時間制限の効果である。

人間の頭は制限をかけた方がいいと聞いたことがあるが、本当のやつだった。全員驚くぐらい違った。

ルールを守るとたのしい

これで全員終わった。みんな褒められていい気分である。感想としては

100個長所をほめ合っての感想

・自分のことは基本、他人にバレていて怖かった
(盛り下がると盛り上げようとする、お金の管理をちゃんとしたいと思っている…など)

・悩んだときにこのメモみるとさっぱりできそう

・照れは序盤でほとんどなくなる

・割と人のことも見直せていい、知らなかったこともでてきて笑う
(実はサッカーうまいなど)

・時間制限しなくても楽しいけど、全員で回す場合は絶対制限必要

・家族とか、同僚とか関係性が違う人がいるとまた面白そう

と、辛さよりは「たのしかった〜」が残った。

でもやるときは「カテゴリ分け」と「時間制限」を徹底してほしい。じゃないと人間の脳は50分もだらだら考えてしまう。

「ベストアンサー賞」などを作り、もっとゲームっぽく、楽しくするのもよさそうだ。ぜひ飲み会や、ご家庭のにこやか時間にご利用ください。


「自分しかしらないこと」もあった

郡司さんの終了後「全然気づかれていないことがある」「自分はおしりがすごくきれいだ」と言われた。「本当にそれは知るわけがない」と2人で怒った。本人としては、かなり上位にくる長所だったそうで、熱弁されたがそんなことは知り得ない。

人間はいろいろな面があっておもしろいなーという実験でした。

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「知るわけないだろ」の図。たまにこういう審議や小競り合いにもなります。

 

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