特集 2023年6月19日

チャレンジ!ノー包丁手ちぎりクッキング

料理をする際になくてはならない道具の代表、包丁。

今日は、それを使わないばかりか、ハサミなどの刃物類も一切使わず、「手ちぎり」のみで食材を下処理し、料理を作っていってみようと思います。
 

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:どう見てもたまごな、たまごじゃないたまご「Ever Egg」とは


ノー包丁ノー刃物

料理が好きで、なかでも特に好きな工程のひとつが、包丁で材料を切る瞬間です。

柔らか〜いお豆腐なんかはもちろん、肉も魚も、葉物野菜も根菜も、なんでもかんでもトントントン。スッと刃の入る感触が快感で、それがストンとまな板に当たる音に心躍り、エッジの立った断面に興奮する。

あぁ包丁。包丁よ、この世に誕生してきてくれてありがとう!

……ところで待てよ。この世に包丁が誕生してきてくれなかったパラレルワールドを想像してみよう。例えば野菜炒めを作るとして、材料たちをどう下処理する? もちろん「包丁がないならハサミを使えばいいじゃない」なんて意見は受け付けません。ノー包丁ノー刃物。

よし、やってみよう! つまり、食材を刃物に頼らず、自らの素手だけでちぎって作る「手ちぎりクッキング」。

きっと包丁のありがたみがより身に染みてわかるだろうし、他にもなにか、新しい発見があるかもしれない!

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レベル1「麻婆豆腐」

今回は、僕が普段から好きでわりとよく作っている料理を、難易度の低そうな順から3品、作っていってみようと思います。

1品目は「麻婆豆腐」。肉はひき肉だし、豆腐は柔らかいし、きっと形にはなるでしょう。

野菜はふだんは刻みねぎ、それから、僕は麻婆豆腐になすも入れちゃって、麻婆なすといいとこどりの「麻婆なす豆腐」にするのが好きなので、その2種でいきましょうか。

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ねぎ&なす

スーパーの売り場に、普通のねぎと細めの「九条ねぎ」が並んでいて、ここでちぎりやすそうな九条ねぎのほうを選んでしまった僕をお許しください。なにぶん、手ちぎりクッキングは初心者なもので……。

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なすは余裕

まずはなすの処理から。これは、ぐっと爪を入れて縦に裂けばいいだけなのでぜんぜん余裕。

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このとおり

続いて九条ねぎ。いつものようなみじん切りは当然無理でしたが、身が柔らかいのでそれなりにいけました。手がだいぶねぎくさくなりますが。

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このくらい

そしたら作っていきましょう!

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フライパンでひき肉を炒めて〜
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なすを加えて〜
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全体に火を通す

はい、ここで主役の登場です。

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絹豆腐

通常は包丁を使って美しいサイコロ状にカットするわけですが、さて、

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僕の伝家の宝刀「指包丁」

で、どこまでいけるか。なんとなく、豆腐の弾力もあいまって、ぷりんっときれいに割れてくれ、いつもとそんなに遜色ないくらいにカットできそうな気もしていますが。

いざ……

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まぁそうなるか

ごらんのとおり、見るも無惨な結果になってしまいましたが、味は一緒だから。

引き続き、さっきの肉と野菜のフライパンに水適量を加えて煮込み、そこに味つけをしていきましょう。

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ぐつぐつ

味つけは、このへんの調味料数種を混ぜて、ごくてきとうに。超、目分量。超、勘。

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お豆腐どさっ

このまま豆腐をしばらく煮込み、全体が熱々になったらいったん火を止め、水溶き片栗粉でとろみをつけて、

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最後にねぎ投入
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ざっくりと混ぜ合わせれば完成!
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「ノー包丁手ちぎり麻婆豆腐」

普段目にする麻婆豆腐と比べるとだいぶんワイルドな印象ですが、これはまぁ、そんなに問題はないでしょう。

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むしろ荒めの豆腐によく味が染み込んでいる
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手ちぎり野菜の食感もおもしろい

手ちぎり麻婆、ひと口ごとに豆腐や野菜の食感が違い、それが楽しいです。いつもはみじん切りなので存在感が薄まってしまうねぎも、じゃきじゃきっと主張があって味も濃く感じられ、むしろいい。本体から外れなかったなすのヘタのとげがたまに痛いくらいで、包丁か手ちぎりか、次回からは気分で決めてもいいくらい、問題なく美味しい!

⏩ 続いて、カレーに挑みます

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