何がどうすごいのか? 札幌の住所
すごい、すごいと言われても……ピンとこない人が多いかもしれません。住所のなにがどうすごいのか。札幌の「南◯条西◯丁目」みたいな町名、これを「条丁目制(じょうちょうめせい)」というのですが、これがすごいのです。
今回「札幌の住所がすごい!」と、興奮するぼくの話を、編集部の石川さん、ライターの伊藤さん、そして札幌の住所に詳しいYouTuber・おもしろ地理さんに、オンラインで話を聞いてもらうことにしました。
おもしろ地理さんは、大学で条丁目制を研究していたという筋金入り。話を聞いてもらうのにこれほどふさわしくて、頼もしい(?)ひとはいません。(おもしろ地理さんのYouTubeチャンネル)

まず、普通の住所についてまとめておきたい
東京に限らず、日本全国の都市部のかなりの部分で「住居表示」というしくみで住所が表されています。
例えばこんな感じ。

「東京都葛飾区」までが自治体名。「小菅一丁目」が町名。「35番」が街区符号で「1号」が住居番号。省略して「小菅1-35-1」のような書き方をすることもあります。

小菅一丁目という町の中に、35番という街区(街区符号)があり、その35番の中にある1号[I1] という番号(住居番号)が振られた建物を指します。ウーバーイーツの配達の人や、救急隊員は、その住所を頼りに目的地に向かう……というわけです。
この例は、大きなエリアから小さなエリアに絞り込んでいくような住所ですが、札幌はよりわかりやすく、座標のような住所になっています。例えばこの住所。

北海道札幌市東区の自治体名より後ろが全部数字になっています。「北20条東7丁目」が町名。1番が街区符号。19号が住居番号となってます。
地図で見るとこんな感じ。

七丁目と書いてある四角いエリアが「北20条東7丁目」という名前の町です。東京でいうと「小菅一丁目」のエリアにあたります。で、この「ナン条ナン丁目」のしくみについて、こちらの地図を御覧ください。

上は札幌中心地の地図ですが、東西の大通(緑色)と、南北の創成川という川(青色)がちょうど関数のグラフのX軸とY軸みたいな感じで基準となっていて、北に行くと「北1条、北2条、北3条」南に行くと「南1条、南2条、南3条」……そして東に行くと「東1丁目、東2丁目、東3丁目」、西に行くと「西1丁目、西2丁目、西3丁目」と増えていきます。

このルールさえわかっていれば、札幌にはじめてきた人でも「ナン条ナン丁目」という町名だけで、札幌の町のどのへんにあるのか、今いる場所からどれくらい離れているのか……というのが見当つくわけです。

あの有名なすすきのビル。住所は南4条西3丁目なんですが、ルールがわかっていれば場所がすぐわかるわけです。

西村:札幌の人は住所を聞けば行ったことなくても大体どのあたりか、見当はつきますか?
おもしろ地理:つきます。僕の父とか母はまったく地理に関心がないですけど、彼らでも「北15東8」とか「南26西10」といえば、まあ、大体の場所は絶対にわかります。
西村:じゃあ、札幌駅はどのへんかわかります?
おもしろ地理:わかります。北5〜7あたりから西2〜4ぐらいです。だいたい。


西村:ほら、すごくないですか?
石川:すごいですね(笑)この取材の最初におもしろ地理さんが「今日は条丁目制が便利だとわかってもらえれば」と言ってたんですけど、もうわかりました。便利ですよこれ。もう終わってもいいぐらい(笑)
すみません、まだおわらないです。