特集 2024年5月28日

羊の丸焼き(パキスタン式フルマトンロースト会)に参加した

昨年の五月、農家をやっている料理好きの不治野夫妻から、マトン(羊)の丸焼きをする会に誘われた。『パキスタン式フルマトンロースト会』だそうだ。

ラム(子羊)ではなくて、10キロ以上ある立派なマトンを自宅で焼くらしい。それって一般家庭で可能なのだろうか。

なんやかんやありつつも見事に焼ききった翌年、また丸焼きの誘いが来たので、合わせて二年分をレポートします。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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2023年版パキスタン式フルマトンロースト会

関東平野の某所にある会場に到着すると、主催者所有の広大な敷地の一角に穴が掘られていた。

どうやらこの穴の中に火を入れて、そこでマトンを焼くスタイルのようだ。

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写真中央の黒いTシャツが不治野さん。
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穴の大きさをマトンくらいの子どもで確認。なんかごめんな。
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穴の横で大量の炭火を用意する。

そして厨房エリアでは、マトンがまるごと流水解凍されていた。

最近は大きめのハラールショップ(イスラム教徒向けの食材屋)が増えたので、こういうものも買おうと思えば買えるらしい。普通の人は買おうと思わないだろうけど。

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でかい。

調理を担当するのは、以前に「インドのフカフカしたパン、パロッタが好き過ぎて作りたい」でお世話になった、茨城県古河市にあるSANJAY PARCEL FOOD SHOP(南インド弁当屋)の鹿島さんだ。

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会うたびにどこの国の人かわからなくなっていく鹿島さん。左が不治野さんの奥さん。
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茹でたライスを詰め込んで丸焼きにする

一口にパキスタン式フルマトンローストといっても、その方法は地域や流派によって様々だ。知らないけど。

今回は全体にスパイスを塗り込んで、そのお腹に茹でた米を詰め込み、バナナの葉っぱで包んで焼くという方式が採用された。

まだ私が経験したことのない異国のお祭りっぽい雰囲気が漂いまくる。

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スパイスミックスをマトン全体に刷り込む。
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ナッツなどと一緒に茹でたバスマティライス(細長い米)をお腹に詰め込む。マトンから染み出る肉汁を吸わせるのだ。
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米がこぼれないようにタコ糸で縫合する。
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笹団子のようにバナナの葉っぱで包まれたマトン。
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バナナの葉を自家採取できるのがすごい。
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バナナの葉だけだと心もとないので、文明の利器(アルミホイル)で補強された。

このアルミホイルで包まれたマトンを、焼き芋でも焼くかのように炭火の上にドーンと置き、さらに上からも炭火を被せて、フタをして蒸し焼きにするのである。

この豪快な方法で、マトンが焦げすぎることなく、程よく中心まで焼けるのだろうか。ここにいる全員がそう思っている。

鹿島さんも不治野夫妻も、このサイズの丸焼きは初めてなので、正解がわからずにやっている。だからこそ最高に楽しいのだ。

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参加者全員が不安そうに見守っている。
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火加減に悩む鹿島さんと不治野夫妻。
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ちょっと火が強いかもしれないが、フタをすることで空気が遮断されて、ちょうどよくなるはず。
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でも用意していたフタがちょっと小さかった。
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アルミホイルでフタを急造。これで蒸し焼きになってくれると信じよう。
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残った炭火で芋が焼かれていた。
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焼ける間にお腹がいっぱいになってしまう

マトンが焼けるのを待つ間、鹿島さんがテキパキと作ってくれたおいしいインド料理や、不治野夫妻の育てた新鮮な野菜をいただく。

マトンはイベントの主役ではあるのだが、食事としての主役をマトンだけに任せるのは不安が大きいすぎるため、マトン抜きでも十分お腹いっぱいになるボリュームが用意されていた。

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青空の下で油まみれになりながらパロッタを作るという大人の自由時間。
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キーマカレーで食べる焼き立てのパロッタがうまい。
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パロッタに焼き芋を載せるという罪深きデザート。
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巨大な鍋で作られる大量のチキンビリヤニ。もうお腹いっぱい。
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米粉で作るクレープのドーサまで焼いちゃう。
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合間に食べる完熟のトマトがうまいんですよ。

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