流し撮りとは
まずは流し撮りの例を見てもらいたい。上の写真に比べ、下の写真ではハトがすごいスピードで走り回っている。
ハトなんてたいして速くないってみんな知っていても、この写真の中のハトはとても速く見えるのだ。F1みたいに背景が後ろにすっとんでいるし、足のストロークだって写真には写らない。もちろんただのハトなので実際にはひょこひょこと首を動かしながら散歩しているだけなのだが、流し撮りにより躍動感が与えられた例だ。
同じように流し撮りの手法を使えばおばちゃんのちゃりんこだって高速マシンになる。
ハンドルにひっかけたコンビニ袋が後ろになびいていないのが不思議なくらいだ。実際はかなり安全運転だったので当然なのだが。
それではこの流し撮り、具体的にはどうやって撮っているのだろうか。撮影者側を見てみよう。
流し撮りのコツ
流し撮りの場合、一枚撮るのにこんな感じで体を動かしている。手元でカメラだけを動かすのではなく、上半身の軸をぶらさないよう回転させながらシャッターを切るのだ。何度も練習して流し撮りのこつみたいなものがなんとなくわかってきたのでいくつか紹介しよう。
・レンズは広角よりも望遠で
(流したい背景を広く設けるために広角側がよいのかと思っていたのだが、ダイナミックに流すためには望遠側の方が適している)
・シャッター速度は遅く、絞り値はできるだけ大きく、が望ましい
(背景だけ流して被写体を極力ぶれさせないためにはシャッター速度は1/30くらい、でもピントは外したくないので絞りはできるだけ絞った方がよい)
・流したい方向以外の軸はしっかりと固定する
(腰でカメラの回転軸を固定して、上半身の回転で被写体を追うようにする。こうすることで被写体のぶれを抑えられる)
ここから先は偶然背後にいたT斎藤さんにモデルをお願いした。写真からもわかるように、いつでもどこでもステテコというわけではないので安心だ。
斎藤さんにはとにかく動いてもらい、僕はそれを流し撮ることに専念する。まず目をつけたのはブランコ。速く動く遊具代表だ。しかし流し撮りは被写体の動きにカメラを追従させなくてはならないわけで、ブランコのような円周運動についていくのはとても難しかった。あと楽しそうにブランコを漕ぐ斎藤さんを子供がじっと眺めていたのがなんとなく申し訳なかった。
どうだろう、ブランコの動きに完全にあわせることは難しく、被写体である斎藤さんがぶれてしまっているが、なんとかスピード感を表現できているのではないか。