ぶれてもいいのだ
流し撮りは面白い。あまり動きの速くない被写体でも躍動感いっぱいの写真にすることができる。写真を撮るときにはぶれを防ぐことばかりに注意しがちだが、あえてぶらせてみることで新しい表現が生まれることもあるのだ。
最後になりましたが、撮影に協力してくれたT斎藤さんに感謝します。今度はぜひステテコで、お願いしたいです。

そこで思いついたのがこの方法だ。自分も被写体と同軸に動きながら撮る。マラソンランナーを撮りたければ同じ速さで走ればよいし、F1マシンを撮りたければ併走しながら撮れば(できるのか)カメラを振ることなく同じ位置で構えたままシャッターを切っても背景だけが流れるはずだ。つまり今回の場合は一緒に滑り台を滑りながら写真を撮ればよいのだ。
しかしこれもまたびっくりするほど難しい。まず同じ速さで動くこと自体できない。相手の動きを読む、という点からいくと自分が止まって流し撮りしているのと難易度的には大差ないのではないか。むしろ一緒に動く方が転ばないかとかカメラぶつけないかとか心配事が増えてその分難しくなっている。
練習を重ねようやくイメージに近い写真が撮れはじめた。しかし何度もやっているうちにカメラ好きの斎藤さんも乗ってきてしまいカメラを構えてくれてしまった。そのため撮影している人が流れている、というわけのわからない写真になったのだがこれはこれでかっこいいのでよしとしたい。
これ、二人の相対速度をなくせば良いわけなので、一緒にエスカレーターや動く歩道に乗って撮っても同じような効果が得られるはずだ。いつか女性のモデルが見つかったらやってみたいと思う。
流し撮りは決まったときの感動がでかいのでぜひみなさんも挑戦してみてほしい。次に流し撮りではないのだけれど、同じような効果が得られる撮影方法を紹介しよう。
お、斎藤さんが流れている。しかしこの写真、どこかおかしくないだろうか。そう、T斎藤さんは動いていないのだ。なのに背景だけが流れているように見える。どういうことなのか。
これは斎藤さんから教えてもらった方法で、回し撮りと呼ばれている手法らしい。種明かしはこうだ。被写体である斎藤さんにはその場で回転してもらい、それを撮影者は斎藤さんの衛星のように周りを回りながら撮る。するとこのように被写体が止まっているのに(実際にはぐるぐるその場で回っているのだが)写った写真は背景が流れ、躍動感がプラスされるというわけだ。これならばごく普通のコンパクトカメラでも簡単に背景を流すことができる。
次にちょっと流し撮りとは違うのだが、同じように背景が流れる写真の撮り方をひとつ。ズーミングと呼ばれるやり方だ。これは背景が中心から放射状に流れる。すると座っているT斎藤さんが飛び出してくるような感じになるのだ。
これはズームレンズを使って、広角から望遠(またはその逆)にズームリングを回しながらシャッターを切るとできる。これも流し撮りと同じように決まると面白いが、レンズの操作とシャッターとを同時にするわけで、なかなか難しい。コツは止まらせたい部分を画面の中心に置くことだ。
流し撮りは面白い。あまり動きの速くない被写体でも躍動感いっぱいの写真にすることができる。写真を撮るときにはぶれを防ぐことばかりに注意しがちだが、あえてぶらせてみることで新しい表現が生まれることもあるのだ。
最後になりましたが、撮影に協力してくれたT斎藤さんに感謝します。今度はぜひステテコで、お願いしたいです。
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