念願であり続ける味
念願のソフトクリームは美味しかった。どこまでも濃厚で、美味いという表現以外が見つからない。また食べたいと思っている。ただコープはまなかは私の住む街からは遠い。念願叶ったけれど、今後も念願ではあり続けるのだろう。
参考文献
『地域資源活用食品加工総覧』農山漁村文化協会 2001
ソフトクリームというものがある。牛乳が主原料の甘く冷たい食べ物だ。牧場が多い地域に行くと濃厚なソフトクリームが有名だったりする。ぜひ食べたくなる逸品だ。
北海道の浜中町にタカナシ乳業の「北海道4.0牛乳」を使ったソフトクリームがある。ハーゲンダッツの原料にもなっている牛乳で作られたソフトクリームだ。これが非常に美味しい。念願の味なのだ。
日本のアイスクリームの歴史は明治時代初期に始まる。市販が開始されたのは1869年(明治2年)のことだ。しかし、一般に普及するのは第二次世界大戦後のことである。
1990年代半ばになると実に様々なアイスが販売されるようになる。低価格のものが登場し、値引き合戦も始まる。つまりアイスはレッドオーシャンとなったのだ。そこで新しい流れが生まれた。それがソフトクリームだ。
地域特産のソフトクリームが生まれたわけだ。確かに牧場が多い地域に行くと濃厚を売りにしたソフトクリームをよく見かける。普段買うアイスとは差別化できるわけだ。そして、我々は率先してそれを食べる。我々と書いたけれど、私は食べるのだ。だってソフトクリーム、美味しいんだもん。
2017年冬、私は美味しいソフトクリームを求め北海道を旅した。冬でもソフトクリームは美味しいのだ。それが酪農地帯でのソフトクリームならなおさらのこと。ソフトクリーム好きとしてはとても満足の行く旅だった。
その時に食べることができなかったソフトクリームがあった。それはタカナシ乳業の「北海道4.0牛乳」を使ったソフトクリームだ。発売時期が4月下旬から10月下旬までのため、私が訪れた冬は販売が行われていなかった。
2017年から随分と時間が経った。日本では、世界では、その間にいろいろなことが起こり変わっていった。悲しいものもあれば、喜ばしいものもあったはずだ。その波の中に私もいたけれど、変わらないこともあった。それは「北海道4.0牛乳」を使ったソフトクリームを食べたい、だ。
偶然にもまた浜中町を訪れる機会を得た。私が訪れたのは7月でソフトクリームの販売時期だ。食べないという選択肢はなかった。いろいろな予定を終わらせて車を走らせる。空は少しずつ暮れていった。
「ハーゲンダッツの故郷」と書かれていた。浜中町にはタカナシ乳業の工場があり、そこでハーゲンダッツの原料が作られている。私はハーゲンダッツが好きだ。高いから日常的に食べることはないのだけれど、いいことがあった日などはハーゲンダッツを食べる。
浜中町はハーゲンダッツの故郷であり、モンキーパンチの故郷でもあるのだ。私が食べたいと懇願しているソフトクリームがルパン三世により盗まれていなければいいと思ったけれど、彼はそのようなことをするタイプではないはずだ。
件のソフトクリームは「コープはまなか」で売られている。私が知る限りではここでしか食べることができない。そもそも私は「北海道4.0牛乳」も他では見たことがない。3.6とかは見かける気もするけれど。
ソフトクリームはこの「北海道4.0牛乳」を使い作られている。流石に1リットルも飲めないので、浜中町の指定牧場の牛乳を使った4.0の小さなものを買って飲んでみた。やはり濃厚で美味しい。
牛乳は濃いことが正義だと思う。これがソフトクリームになるとどのような味になるのだろうとワクワクする。「コープはまなか」の入り口には「40soft」と書かれたのぼりのようなものまである。
あと全然関係ないのだけれど、コープはまなかを見ていたら、「ヤクルト1000」が普通に売っていたから買った。もう普通に買えるのだろうか。少し前は品切れだった気がするけど。
ソフトクリームはミルク味とチョコ味とミックス味の3つがある。私は迷わずミルク味を選んだ。好きなのだ、ミルク味が。値段は350円。高くは感じない。むしろ安いまである。
DoCoMo2.0というものが昔あった。2007年のことだ。最近はweb3.0と聞くようになった。ただこのソフトクリームは4.0なのだ。だって「北海道4.0牛乳」を使っているから。ソフトクリームは4.0の時代なのだ。
夢にまで見たソフトクリームが目の前にあった。幸せと呼びたい。ちなみにさっきから出ている4.0という数字は乳脂肪分のことだ。この数字が大きいほど簡単に言えば濃厚と言える。
「地域資源活用食品加工総覧」にアイスクリームについて書かれたページがある。そこには「脂肪の美味しさは、本能の支持があるようである」と書かれている。つまり本能的に美味しいと感じるのだ。4.0は本能が満足する数字だ。
濃厚でありながら、その濃厚さはしつこくない。キレがあると言える。美味しいのだ。味に深みがあるとすればこのソフトクリームはまさにそれだ。手放しに美味しいと言えるソフトクリームなのだ。念願のソフトクリームは期待以上の味だった。
念願のソフトクリームは美味しかった。どこまでも濃厚で、美味いという表現以外が見つからない。また食べたいと思っている。ただコープはまなかは私の住む街からは遠い。念願叶ったけれど、今後も念願ではあり続けるのだろう。
参考文献
『地域資源活用食品加工総覧』農山漁村文化協会 2001
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