特集 2025年6月28日

初めてのソロキャンプが楽しかった

楽しかった!

これまで何度か友人とキャンプをしたことがあるけれど(たぶん4回)、いつか一人だけで行ってみたいとずっと思っていた。ソロキャンプというやつだ。

でも一人を心から楽しめる自信がないし、テントの組み立てとか面倒だし、周りがウェイウェイしていたらきつそうだよなと、先延ばしにすること早数年。

ようやく重い腰を上げて今年の5月後半に一泊してみたのだが、これがすごく穏やかな時間でしみじみ楽しかった。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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夕飯の買い物が難しい

5月末に佐渡島へ行く用事があり、天気予報を見れば晴天だし、この時期なら熱くも寒くもないし、おそらく虫も少ないので、この機会にソロキャンプとやらをしてやろうかと一人で盛り上がった。

島へと渡る日程を一日前倒しにして、その日をキャンプに当てて、買うだけ買ってほとんど(あるいはまったく)使っていないアウトドアグッズを車に積んで、カーフェリーに乗り込んだ。

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寝袋の下に敷く用に買ったマットは、カーフェリーの二等席が初陣となった。

午前10時頃に佐渡島の小木港に到着し、港前にあるカフェで一息つき、体を島の空気に馴染ませる。

まだキャンプ場へ向かうには早いので、島内をブラブラとドライブしつつ、通りがかりのローカルスーパーで夕飯の計画を立てる。キャンプのメインといえば、アウトドアでの豪快な料理だ。

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「これから自分で料理をする」という前提で入る旅先のスーパーこそが楽園。

しかし、この買い物が本当に難しかった。地元で水揚げされた魅力的な魚介類がたくさん並んでいるのだが、私はこれから釣りをする予定なのである。

なにかが釣れたら当然それをおかずにするので、ここで魚を買う訳にはいかないだろう。戦意が削がれる。だが残念ながら、なにも釣れない可能性のほうが高いのだ。

自給自足に対する憧れを優先すべきか、豪華な晩御飯を確定させるべきか、それを相談する相手がいないのが寂しい。もうソロキャンプは始まっているのだと気がついた。

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釣りをしないキャンプで人数が4人とかだったら、このタイとか買っちゃうんだけどな。
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佐渡産のアジが売っているということは、きっとアジが釣れるという予兆。

できれば佐渡っぽいものを食べたい、でも食材を余らせたくない。キャンプ後はすぐ帰宅するのではなく、そのまま佐渡のホテルに連泊するという状況が買い物をより難しくする。

熟慮の結果、すごくおいしそうだった玉子サンドと栄養不足を補う野菜ジュースをおやつ用に購入。そして夕飯は釣った魚と炊いたごはんだけとストイックに決めつつ、念のために見たことのない袋に惹かれた塩ラーメンを非常食として確保。

そして大事な晩酌は、冷蔵庫がないことを考慮して日本酒に決定。つまみは新鮮な刺身があれば御の字だが、一応珍しいポテチを買っておく。これでどうだ。

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迷い過ぎて迷走してしまった。

今にして思えば、魚が釣れなかった場合の配慮がまったく足りていない。ハレのキャンプというか控えめな日常に一直線。

大きめのクーラーボックスを持参しているのだから、もっとやりようはいくらでもあったのだが、「どうせ自分が食べるだけだしな」と思うと、これでいいかとなってしまった。

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無料のキャンプ場が素晴らしかった

目星をつけておいたキャンプ場へと向かいつつ、夕食のおかずを確保するための釣り場を探す。

今が秋なら迷わずアオリイカを狙うのだが、この時期はなにが釣れるのだろうか。竿を出していたおじさんに様子を聞いたら、なにも釣れていないけれど、早朝か夕方にアジが回ってくるかもとのことだった。やっぱりアジか。

釣具屋にいけば有益な情報が得られるのだろうが、今回はキャンプのついでに本気を出さない釣りをするという設定なので、あえてその技を封印している。

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飛び込みたくなる美しい海だが、この時期の海水温は意外と冷たいんだよね。

そして15時半、海沿いにある無料のキャンプ場へと到着。

駐車場に車を止めて、テントを張る場所の下見に行くと、シンボル的な存在の灯台の下に、広々と芝生が広がっていて、平日ながらすでにいくつかのテントが張られていた。といっても都市部のキャンプ場に比べたらガラガラなのだろう。

立派な炊事場やきれいなトイレも完備されていて、とても素敵な公園である。この場所が予約不要で自由に使えるなんて最高じゃないか。もう私のソロキャンプデビューは成功したも同然だ。

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駐車場からキャンプサイトへと向かうアプローチがもう素晴らしい。
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灯台がかっこいい。フリーすぎてどこにテントを張っていいか悩む。
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屋根のある立派な炊事場が嬉しい。
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こういうキャンプ場で寝泊まりしてみたかったんですよ。
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海流が速いため遊泳禁止だが目の前には美しい海があり、その向こうには本州が見えた。

さて迷うのはテントを張る場所だ。駐車場や炊事場から近い場所が便利だろうけれど、人通りがちょっと気になりそう。いくつかある備え付けのテーブルの脇も考えたが、誰かが食事で使うかもしれない。

たった一泊の予定とはいえ、一人暮らしの物件を決めるくらい悩んだ結果(これが楽しい)、公園のシンボル的存在である灯台の真下に決定した。

あえてオーシャンビューを捨てて、テントの入り口を灯台側に作れば、プライバシーを完全に確保できるはず。

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ここに決めた。

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