脳に刻まれた「麻豆代天府」
中学生のころの私は、吹奏楽部でチューバを吹いたり、週刊少年ジャンプで『NARUTO』を読むかたわら、「珍スポット」というものに心を奪われておりました。
独特な人が熱々のエネルギーで作り上げた奇妙な空間を本やテレビで見て度肝を抜かれては、「いつかこの目で見てみたい…!でも簡単には行けないよな…。」と憧れる毎日。
その中でも、私の脳に深く深く刻まれたのが、台湾にある「麻豆代天府(マードウダイティエンフー)」という寺廟でした。
珍寺を巡る小嶋独観さんのレポートを目の当たりにし、
で、電動ジオラマ地獄⁉ 爆音で中華ミュージックが流れる天国⁉
「行きたい」ではなく、「行かねばならない」、そう思いましたね…。
時は経ち、私は自由に使える時間とお金を手に入れ、「ウワーー!!」と両手に日本刀を持って暴れまわるがごとく、気になるスポットへ縦横無尽におもむく大人になりました。
そして今年、ついに麻豆代天府のある台南へ旅行する機会が…!
それはもう刀ぶん回しで行くしかありません。
もちろん遠い
麻豆代天府は、台南市の北に位置する麻豆区というところにあります。

台南駅から電車・バスを乗り継いで1時間半ほど。
こういうスポット、もちろん中心部から遠いです。もはや「遠い」とワクワクする思考回路になっています。
バス停から降りて、誰もいない日照りの道を歩いていくと、
到着する前から、奇異がにじみ出てしまっています。
車に乗った参拝客がたくさん訪れる想定の広さです。
右手を見ると、
パンフレットには「2000人収容可です」「1階のレストランは180卓あります」と説明が。高校は高校でも私立のマンモス校でした。
左手を見ると、
ここは「観音宝殿」とのこと。丸みのあるおまんじゅうフォルム。パンフレットには「天壇のような造形」とうたわれていました。…天壇?
天壇にはない特徴として、
「観音っておっさんの姿にもなるんやなあ」と化身を一つ一つ見ていたら、軽く5分くらい経っていました。「あかんあかん、寺廟って時間どろぼうだらけやと心得なくっちゃ!」とそそくさお堂の中に入ると、
外観が相当なものだったので、「中に入ってもあんまり驚かないかも」とハードルを高めに設定してあったのですが、まんまといてこまされましたね…。
真ん中に鎮座するのは、中国浙江省の普陀山にある「不肯去観音院」にゆかりのある観音像とのこと。観音を囲む青い岩は「普陀岩」と書かれており、どうやら修行中の姿のようです(この世の全員が観音にめちゃくちゃ興味あると思いこんで文章を書いてます)。
こちら、信者が奉納するライトを積み重ねたものなのですが、このうち1対が120層あって、なんと世界一高いとのこと。
何気なく入ったお堂にさらっと現れる世界一。
…ああ、すでに情報量が多い!
お堂の中をぐるっと回ってみると、
地獄ゾーンへと向かう道中も
さっきの観音宝殿ひとつで腹十分目になれるのですが、台湾の巨大な寺廟は腹二十六分目くらいになるのが常です。
「このペースで見てったら、本堂だけで日が暮れる…」と未練を振り払って本堂を出て、裏手の地獄ゾーンへと向かう途中も、
もう、あの手この手で楽しませようとしてきます。見どころのない画角が皆無という空間。サービス精神の追手から逃れるように足早に歩いていると、
地獄へ
不意に龍が現れる経験があまりなかったので、非常に驚きました。
龍の体の中からか、子どもの「キャー!」という遠い叫び声が聞こえてきます。 何が起こっているのでしょうか。
ああ、ついにこの地獄を見ることになるとは…!感慨があふれにあふれてきました。
みなさんは「へー変なの」と思いながらこの写真をスクロールするかもしれませんが、この「十八地獄」の門は麻豆代天府が紹介されるときは必ず写される場所、押しも押されもせぬランドマークなのです。
15年近く恋々と思い続けてきた十八地獄にいよいよ足を踏み入れます。
入口にいるおじさんに入場料(40元)を払い、
開襟シャツ&ズボンの男性と一緒に、チャイナドレス(旗袍)の女性も手枷をかけられています。現在過去未来の罪人が地下へ地下へと連行されていきます…


