怖い。行きたくない。
階段もほどなく終わり、
ここで思いました。
「めちゃくちゃ怖いから渡りたくない」と…。
このとき私は一人旅。さらに前にも後ろにも別のお客さんはおらず、この異形うごめく地下通路を正真正銘の単独行です。
あと、写真で見るよりもっと道は暗く…。独特な作風の彫刻の凄みが5割増し。
「異様なオブジェだらけの海外の暗い地下」、めちゃくちゃ怖いです。
心細さから、降りて来た階段を見つめました。お化け屋敷で本気で縮みあがってきたこれまでの自分を思い出しました。そういえば元来お化け屋敷苦手やんか自分…。
15年も待ち望んでいたことも忘れて引き返そうとしましたが、「でもここまで来たし…」と我慢して歩を進めました。
怖い。えげつない。
「誰かほかのお客さんが来てくれたらどんなに…」と思いつつも、誰も来る気配がしません。
地獄の審判と責め苦のシーンがはじまりました。
暗闇に浮かび上がる人形の顔、そして毒々しい衣服に心臓がバクバクします…。
人形は電動。
悪人に審判を下す怒れる地獄の王、ペコペコと情状酌量を懇願する罪人、無慈悲に刑を執行する獄卒…彼らの動きが「ウー」という大きなモーター音とともにお届けされます。
さらに、音がこもったスピーカーから、審判中のやりとりと、処刑シーンの阿鼻叫喚が中国語で流れます。ちょうど聞き取れない音質で不安になるのなんのって…。
一場面が終わると急に照明が落ち、めちゃくちゃ恐怖をあおってきます。普通に驚いて声が出ます。
それぞれのシーンには、詳しい説明が付けられています。罪人たちの生前の悪行の種類によって、受ける責め苦の内容が変わるようです。
罪人は全員ネルシャツを着ています。どこか切ない色をしています。
パンフレットに、「ショート動画を連続で見るように地獄の刑罰がわかります」と書いてありました。「どんなショート動画やねん」と思いました。
怖いし長い
歩くこと10分、血の池に着きました。
恐怖にまったく慣れることがありません。毎度新鮮におののきます。出口を求めて歩いていくのですが、
第十一地獄のときに、「十八地獄ってことは…、まだ七ある…!?」と大きめの独り言が口をついて出ました。
苦しみがずっと続き、「いやもう流石にええわ」と思うも、何度も何度も苦難は繰り返し、そして毎回が初回みたいに辛い…。
終わりの見えない「無間地獄」のキツさをくっきりはっきり体験しましたね…。
輪廻や!
1人で20分さまよい歩き、「私の知ってる人全員、私と同じように1人で十八地獄を体験してほしい」と他人の道連れも願い始めたころ、
やっと、やっと地獄が終わりました。ここは輪廻転生する先が決まるところのようです。
輪廻は結局生きる苦しみを再度味わうことではありますが、この地獄から出られるならもう何でもいいです!
音が割れたスピーカーから、おめでたい中華音楽がジャンジャン流れてきます。地上へとつづく階段から、光が漏れてきました。急げ!


