特集 2025年12月23日

エレベーターの前に階段があれば、そこはM-1の舞台

まだM-1は終わってない!

日本一の若手漫才師を決める大会「M-1グランプリ」。その舞台に登場する選ばれしコンビたちの姿はかっこいい。

できることなら自分もあの場所に立ってみたいと思うけど、もちろん漫才はできない。

そんな僕に必要なもの。それはネタづくりでも稽古でもなく、エレベーターと階段でした。

1984年岐阜県生まれ。日常のちょっとした工夫でできる楽しい遊びと、街のコネタを見つけるのが好き。妻が世界一周旅行に行っていた。(ライターWiki

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M-1の登場はせり上がり+階段おり

年末にテレビで放送されるM-1の決勝では、10組のコンビが順番に出てきてネタを披露するのだが、その登場シーンが特徴的で、

舞台の下からせり上がった後、
階段をおりてくる。

せり上がりと階段、どちらか1つだけでも派手な演出なのに、M-1はその組み合わせ。これによって、より特別感のある登場になっていてかっこいいのだ。

一方でこの動き、エレベーターの前に階段があれば、日常のなかで再現できそうでもある。

もしかしたら、僕もM-1の舞台に立てるのではないだろうか。

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M-1の舞台は千葉にある

ということでやって来たのは、千葉県の習志野市にある京成の谷津(やつ)駅。

停まるのは普通列車だけだし、駅前の人どおりもまばら。ここに華やかな舞台があるようには思えないのだけど、

M-1決勝_5.jpg
この歩道橋のおり口の部分が、
M-1だ!

エレベーターの前に階段があるその姿は、テレビで見ているM-1そのもの。とくに階段が短いのがいい。

そしてまわりをかこむ歩道橋は、本家と同じ「M」の文字のセットのよう。

エレベーターからおりてくる人が、もれなく漫才師に見えそうな再現度でうれしくなる。

「ハートピア谷津歩道橋」と書いてM-1と読む

じつは僕は、こういう場所を3年ぐらい前からずっとさがしていたのだけど、なかなか見つけることができていなかった。

それが今年のある日、通勤で京成の特急に乗っていたら、

 M-1!?

とつぜん窓の外にM-1が現れたのだ。

ずっとさがしていたあの人と、街で偶然すれ違ったような運命の出会い。

これはもう、僕も出るしかないだろう。

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あのコンビが決勝にたどり着いた

そこで後日、一緒にこの舞台に立つ相方としてライターのトルーさんにも来てもらった。

筆者(左)とトルーさん(右)。エントリーNo.1128、デイリーポータルZ(デイリーポータルズ)

じつは我々、前によざひかるさんの記事「漫才師みたいに公園で二人で立ちたい」で即席のコンビを組んでいた。 

あのとき公園で何かの予選にむけて練習をしていた2人が、ついにM-1の決勝までたどりついたのだ。

ファミレスで朝までネタを考えたり、チケットを手売りしたりといった苦労はしていない。

でもこの日にむけて、日程調整や電車の乗りかえといった苦難を乗りこえ、やっとつかんだ決勝の舞台。

そんな2人がいよいよ登場です。
張り切ってどうぞ。

はいどうも〜!
どうも、デイリーポータルズです。お願いしま~す!

映像を見たら、さっきまでライターだった2人がM-1に出ていて驚いた。まったくの素人なのに、いっちょ前に漫才を始めそうな雰囲気がある。

↑編集部の石川さんが本家っぽいカメラワークにこだわってくれた動画でもぜひ!

そしてやってみた立場としても、M-1の舞台に登場しているなという実感があった。

トルー「階段おりただけなのにすごい達成感ありますね」

扉がひらく直前になると自然と背すじがのびたし、階段をおりるときはなるべく笑顔で、下を向かないようにと思っていた。

エレベーターに乗り階段をおりただけなのに、いつのまにかお客さんの前に出る漫才師のマインドになっていた。

今までM-1は漫才師が舞台に立っているものと思っていたけど、そうではない。舞台が人を漫才師にしてくれるのだ。

ただもちろん漫才はできないので、登場後もカメラをまわし続けられてどうしたらいいか分からず、2人ではにかんでしまった。

⏩ 自作マイクで挑むM-1

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