小出し記事 2021年1月20日

型抜きをズルせずマスターしたい!~かなり上達した~

型抜きをマスターするため、ひたすら修行に励む日々。ついに人生で初めて型抜きに成功した私は、その後も地道な練習を続けるのであった。今回、かなり上達します。

1992年三重生まれ、会社員。ゆるくまじめに過ごしています。ものすごく暇なときにへんな曲とへんなゲームを作ります。

前の記事:型抜きをズルせずマスターしたい!~人生初の型抜き成功~

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小出し記事「型抜きをズルせずマスターしたい!」
ライター:ほり

第一回:始まりは居酒屋での敗北だった
第二回:はじめの一歩
第三回:人生初の型抜き成功
第四回:かなり上達した
第五回:悟りの境地

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自信がついた。

この連載では、居酒屋の型抜きを成功することを最終目標に定め、ひたすら型抜きを練習しマスターしようとしている。型抜きには「易しいタイプ」と「難しいタイプ」があり、それぞれ100枚ずつ購入した。

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Amazonで買った200枚の型抜きが目の前にあります。

そして先日、ついに人生で初めて型抜きに成功したのであった。

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うお~!(魚だけに。)

成功・失敗に関わらず一枚ごとにエクセルに記録している。 これが初めての成功の記録だ。

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再現性を高めるため、作業手順をいつも以上に綿密に記録しておいた。

正直、「型抜きをマスターする」と意気込んではいたものの、成功する予感は全くしていなかった。一枚も成功できずに連載が終わることも覚悟しており、その場合は「型抜きのおいしい調理法」というタイトルにこっそり切り替えるつもりだった。型抜きは食べられるので。

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編集部に報告したら古賀さんにとても驚かれた。古賀さんもそんなに期待していなかったようだ。わかる~。

何はともあれ、とにかく自信がついた。 

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修行の終わりを定める。

突然だが、修行の終わりを定めることにした。「易しいタイプ」に入っている13種類の型をすべて成功したら修行終わりとしよう。現実的だが容易ではない、ちょうどいい目標だ。

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「難しいタイプをクリアせずに型抜きマスターを名乗っていいのか?」という声が聞こえてきそうですが、見てくださいこれ。難しいタイプは非人道的だ。これをクリアしたら型抜きマスターじゃなくて型抜きドクターだと思います。

というわけで当面の目標は「易しいタイプ」13種類のコンプリートである。現在成功したのは1種類。残り12種類の成功を目指します。

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こま失敗。かかし失敗。

しかし、あせると人は失敗する。何度も言うが、型抜きはメンタルのスポーツなのだ。おさかな一枚成功しただけで内心舞い上がっている自分がいる。しかも研究の余地はまだたくさんある。

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攻める順番や手で割る部分の見極めなど、課題は山積みである。
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左右対称を保ちながら。

攻める順番だが、できるだけ左右対称を保ちながら攻めるといい気がしてきた。 そのほうがくびれ部分にかかる負荷が左右で均一になり、くびれで割れるのを防げると思う。

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左右対称を意識したらひょうたんは一発で成功。やった~!
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できるだけ左右対称を保つように、右と左を交互に行ったり来たり。手数は16に及んだ。

これで 2/13コンプリート。いいぞいいぞ。

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ここからはダイジェストで。

型抜き、やるたびに発見が多くてついつい筆が進んでしまう。このままいくと卒論よりも長くなってしまうので、ここからは知見を得られた場面に特化してお伝えする。

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風鈴(と私が勝手に呼んでいる)、成功。これで3/13。

風鈴を成功したときに試したのは、くびれ付近の左右の三角形の凹みをあえて最初に攻略するというもの。今までくびれ付近は最後に攻略していたが、最後の最後で失敗していた。これは私の考えた「もろさ後半上昇理論に基づくものだ。後半はもろくなりやすい。図で説明するとこうなる。

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型本体に負荷が蓄積する後半はもろさの上昇率が大きくなる(例えば1.5倍になる)という仮説。そのため、ただでさえもろくなりやすいくびれ付近の切削を、もろさ上昇1.5倍ゾーン内で行うと、もろさポイントが一気に上昇して割れてしまう。

材料工学に全く触れたことのない素人が提唱していることなので冗談半分で聞いてほしいが、この「もろさ後半上昇理論が正しいのならば、序盤にくびれ付近を対処したほうがよさそうだ。事実、それで風鈴を攻略することができた。

でも序盤にくびれ付近を切削してしまうとその後くびれが細いままずっとさらされてしまうので、一長一短か。

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シャンプーボトル(らしきもの)、成功。これで4/13。

シャンプーボトルのコツは、「ちょい残し」。左側の画像からわかるように、3か所のちょい残しをしている。特に左下の小さい三角形を残すのがポイントだ。これによって割れやすい箇所をギリギリまで補強しながら作業を進められる。

ちなみに最後の細かい作業は画びょうの角度を90度に近づけると良さそうだ。力のかかる領域が狭くなり、細かい作業ができる。

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けん玉とハンマーも成功。これで6/13。

けん玉とハンマーはこれまでのノウハウを使えばいけた。特に、「できるだけ左右対称に」が大事だ。

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こまも成功。7/13。折り返しだ。

こまに至っては今までのノウハウを全部無視したやり方で成功した。コマの軸の部分は鈍角なので、パキっと気持ちよく一気に削り取ることができる。成功率をあげるためには、あらかじめ溝をなぞって掘りを深くしておくとよい。

また、「どこを指で押さえるべきか問題」もこのあたりで浮上し、砕こうとしている余白を押さえるとうまくいくことが分かった。こまの画像で言うと、左下の余白を砕くときは、左下の余白そのものを指で押さえながら砕く。画びょうのそばを押さえるので若干窮屈ではあるが、型本体に余計な負荷がかからず成功率が高い。

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パフェ(閉じた傘のような気もしています。)成功。8/13。

パフェ。最も簡単な左上をあえて最後まで残すことで、難関な右上を削る際の強度を保ち、成功へと導いた。ここでも「もろさ後半上昇理論を利用している。

というわけで、13種類中8種類成功だ。

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これまで成功した型たち。かわいいねえ。
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多くの失敗があった。

ダイジェストでお届けしたので順風満帆に見えるが、実際には多くの失敗があった。

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左は飛行機。一見成功しているように見えるが、実は一番細い部分が割れている。成功していると言い張ればだませそうだが、ここは正直に……。右はうさぎ。これは本当に難しい。耳の付け根が鬼門。

うさぎは全く攻略の気配がなく、とうとう箱に入っていた全うさぎを挑戦し尽してしまった。うさぎの型だけバラ売りしてほしい。

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あと、何も考えずに自宅の木製テーブルの上で型抜きをずっとやっていたら、気づいたらテーブルが穴だらけに。このままだと型抜きだけでなく夫婦仲にもヒビ割れの可能性が。

板を貫通した画びょうが机にずぶずぶ刺さるので、厚手のマットの上でやるとよいでしょう。 私はもう手遅れですが。

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失敗した瓦礫のような型抜きたち。

型抜きは食べられるので、むしゃむしゃ食べた。ソーダ味でうまい。

戦いはまだ続く。

というわけで連載第4回では13種類中8種類成功したところで終わりである。次回が最終回。残り5種類(うさぎ、かかし、ひこうき、チューリップ、かさ)を成功し、さらには居酒屋でリベンジマッチを行う予定だ。(これから着手するのでどうなるかは分かりません。)

最後に、これまでに得られたノウハウをまとめておく。

型抜きノウハウ(ver.2) (太字は新出のもの)

  • 「溝を掘る」のではなく、「余白を削る」
  • 特に凹みは手前から少しずつ削る
  • 粉を手で払うな。フーフーメソッド。
  • 最初は大まかな余白を指で割ると時短になる
  • ウェットティッシュで濡らすと制御しやすい
  • 広く砕きたいときは画びょうを斜めにする
  • 細かく砕きたいときは画びょうを90度に立てる
  • 左右対称を保ちながら少しずつ余白を砕く
  • くびれ付近の凹みをあえて最初に攻略する(「もろさ後半上昇理論」)
  • もろい箇所はちょい残し」で補強する
  • あらかじめ溝をなぞって深くしておく
  • 指で押さえる場所は砕こうとしている余白の部分
  • とにかく気持ち。型抜きはメンタルのスポーツ。

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第四回:かなり上達した
第五回:悟りの境地

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