仕事のあとに乗る新幹線の良さについて
夕方まで都内で仕事をして、そのまま新幹線に乗って大阪に向かう。
そういえば以前はよくこうやってふらっと取材に出かけていた。すっごい昔のことのように思ってしまうが、つい1年ちょっと前の話である。
東京駅の売店で駅弁とお茶を買って新幹線に乗る。この興奮を、僕はしばらく忘れていた。
いや、忘れていたわけではなく、思い出さないようにしていたのだ。ふらりと遠くに出かけられる頃がどんなに楽しかったか。
スマホをしまって東京駅で買った駅弁を食べる。長野の山賊焼き弁当は本気で取り組まないとやられてしまいそうな迫力だった。味のしみたご飯が冷めていても抜群にうまい。
窓の外は雨だけど、大阪は遠いから着いた頃にはやんでるだろう。遠くに行くのだ、これから。
この駅弁だけで1ページ書けるくらい興奮しているぞ、どうしよう。本当はビール飲みたいが、大阪に着いたらすぐ取材なのでがまんである。
ところでこの新幹線、降りなければ博多まで行くらしい。行ってしまってもいいかもしれない(ちゃんと大阪で降りました)。
3時間くらいで大阪のホテルに到着。わりと近いな。
大阪着いたらまずうどん
大阪市内のホテルに入ったのが20時すぎ。いつもならこのままご飯を食べに街へ出るのだが、大阪も緊急事態宣言が明けたばかりである。どんな雰囲気かわからないのでホテルのフロントで聞いてみた。
「そうですねー、だいたいのお店は21時には閉まっちゃいますねー」
そうですよね。東京も同じです。
それでも近所にうどん屋があるというので教えてもらい行ってみた。
ホテルから歩いて3分くらいのところにうどん屋があった。このあたりは繁華街なので路地を入れば飲み屋はたくさんありそうなのだけれど、狭くて混んでるところに入っていくのもちょっと躊躇する。そうか、この1年くらいで変わったのは町ではなく僕の方なのか。
薄味だけどしっかりと出汁がきいていてじんわりと美味い。底の方に昆布の色が沈んでいるのが見える。そうそう、関西のうどんってこういう丸い味だった。東京のうどんみたいに黒くないのだ。
なんとなくうどんだけだと申し訳ないなと思い天ぷらも頼んだんだけど、他のお客さんを見ているとうどんだけをさっと食べてさっと帰っていく人が多かった。コーヒースタンドでカプチーノをひっかけるイタリア人みたいだ。
大阪出身の人が言う「うどんはおやつ」とはそういうことか。
うどんを食べてこの日はホテルに帰り、関西ローカルのテレビで天気予報を見て寝た。東京では寒くなるらしいが、大阪では夏日になるという。日本の広さを実感するのも久しぶりである。
翌朝、町が起きだす前から歩いてみた。
朝の大阪の町は空気が澄んで空が青かった。久しぶりに大阪に来て思ったのだけれど、大阪ってパリに似てると思う。大通り沿いにデパートとかブランドショップがならぶ感じとか川沿いの感じとかだろうか。
もうずっと海外にも行っていないし、関東から出るのすら久しぶりだったから景色が変わると海外みたいに見えただけかもしれない。でも大阪はおもしろいだけじゃなくおしゃれな街だと思いますよ。