自由軒
自由軒はちょっとクセの強そうな地元の定食屋といったたたずまい。一人だと敷居が高そうな雰囲気もあるが、ふらりと入っても優しく迎えてくれるので大丈夫です。
「初めての人はまずは基本のを」とお店の人のいう名物カレーを注文。
すぐに出てきたものはいわゆるドライカレー的な見た目だった。真ん中に生卵が象徴的にのっかっている。
言われたとおりに玉子とソースをかき混ぜて食べてみる。
ドライカレーだと思ってひとくち食べるとその違いにおどろく。これ、ドライカレーではなく、カレーライスがあらかじめ混ぜてあるのだ!その発想はなかった、というかこの発想で明治から続いているとのことなので、僕が100年くらい遅れているのかもしれない。どうせ一緒に食べるんだから最初から混ぜておけばよかったのだ。
カレー自体はふしぎな味わいだった。いや、間違いなく美味しいんだけど、最近こういうカレーを出すお店減ったなー、という懐かしい味。スパイスカレーとかスープカレーとか、流行りの風をいっさい無視した孤高の存在だ。
千里中央セルシー
次は千里中央駅にあるセルシーという商業施設。「ある」というか「あった」といった方がいいだろう。セルシーは2019年に閉店している。
ここは大阪に来る前に話を聞いたせつさんの思い出の場所である。セルシーでたこ焼きを食べてお父さんは地下のパチンコへ、せつさんとおかあさんはセルシーをぶらぶらしていたという。確かに地下にパチンコ屋があったようだ。
しばらく帰っていない地元の、かつてよく遊んだ場所が閉店したり取り壊されたりすると、たまらなく寂しくなるものである。
僕が子どもの頃によく通っていた大府センター(愛知県大府市にあるショッピングセンター。当時からすでにレトロだった)も、オスカレコード(僕が初めてCDシングルを買ったお店)もいまはもうない。
この写真はせつさんに送るかどうか、まだ悩んでいる(公開されちゃったら見ると思うんだけど)。僕まで悲しくなってしまったが、そんなセルシー跡を通り、千里中央駅から大阪モノレールに乗って万博記念公園へ行く。
万博記念公園
万博記念公園はぜひ来たいと思っていたのだ。たまたま大阪出身のライター大北くんにおすすめを聞いたところ、万博記念公園の中にある「みんぱく」を勧めてくれたので来ることができた。
というわけで初めて万博記念公園にやってきた。そしたらすごいな、太陽の塔。
太陽の塔
いまさら説明することもないかもしれないが、太陽の塔は1970年の大阪万博にあわせて芸術家岡本太郎氏が作ったものである。モチーフはまさかのカラスだという噂も。
さすがに50年ほど前に作られたものである。表面の汚れなどから古さは感じるものの、その存在感には普遍性があるように思う。なにしろ圧がすごい。もしかしたら岡本太郎の壮大なギャグなんじゃないのかと思ってしまうほど。
太陽の塔は内部が一般公開されているが、前日までの予約が必要とのことだった。この日は平日の夕方だったため、ラッキーなことに余っていた当日券で入ることができた。
いくら高解像度で写真を撮ってもこの迫力が伝わらないので大阪に来たらぜひ見に来てもらいたい。ちょっと笑っちゃうくらいすごいから。
同じく万博記念公園に来ていたおかあさま連中に遭遇。少しの間、話をしながら一緒に歩く。
おかあさんは大阪の人で
「わたし万博の初日に来たわよ。この木、あのときなかったからさ、50年でこんな大きくなるのよー」
と言っていた。当時は大阪の人は全員万博に来たのだという。今年の東京オリンピックは盛り上がったが、全員がテレビで見ていたかと言われると、そんなことないだろう。当時の大阪万博の盛り上がりはとにかくすごかったという。万博が終わって50年経って、それでもこうやって友だちと一緒に跡地に遊びにくるくらいだから当時の熱気が逆算できる。
おかあさんたちはこれから池のほとりの売店に行くというので、僕はここで別れてライター大北くんに勧めてもらった「みんぱく」へ行った。