なんばグランド花月
この日は大阪出身の友だちに事前に教えてもらっていた「なんばグランド花月」へ。実は吉本を生で見るのはほぼ初めてである。


講演中はもちろん撮影禁止だったのでお笑いに集中して見てきた。僕はふだんあまりテレビを見ていないので、今どんな芸人さんが売れているのかとか知らないのだけれど、おかげで前知識なしで現場のお笑いを楽しむことができたと思う。客席と舞台とが近いから、ダイレクトに体に笑いを叩き込まれている気がした。ウーマンラッシュアワーの早口の人(村本さん)がすごすぎて帰ってからyoutubeで検索して見まくっています。
「コロナの前はもっとウケてたんですけどね~」
芸人さんのネタにもコロナの話がとりこまれていた。やはり演芸は大衆を映すのだ、しらんけど(いいこと言った風のあとに「しらんけど」つけるのが大阪流と聞きました)。
芸人さんが変わるごとにスタッフがスタンドマイクを変えにくるのも時代なのだろう。検温やチェックシートの提出など、お客さんに対してもかなり徹底して対策をしていた。
なんばグランド花月でお笑いを見ていたおかあさんに、このあたりで美味しいものないですかと聞いたところ「大黒かね」と教えてくれた。
大黒のかやく御飯


おかあさんいわく、ここのかやくご飯はそりゃもう大阪代表なのだとか。

かやくご飯というのはつまり炊き込みご飯のことである。
吉本を見て14時ごろに来たのだけれど、若い女性二人連れやカップルが何組もお店にいて、ちょっと意外だった。こっちの若い人はマクドではなくかやくご飯とか食べるのか。


客席と厨房が近いので中で従業員さんたちが動き回っている熱気が伝わってくる。
「もうこれでかやくご飯おしまいです!あと30分くらい待ってもらわなあかんから、もうのれん降ろして(関西弁イントネーションで再生してください)」
店内はBGMがかかっていないので、開けられた玄関口からふわっと吹いてくる風に乗って、おかあさんたちの会話が心地よく感じる。関西弁って耳障りが柔らかくていいですよね。


こんな美味しいご飯食べたの久しぶりかもしれない。
かやくご飯はすこし柔らかめかなと思ったけど、柔らかいおかげでするすると食べてしまい豊な香りだけがふわっと後に残る。最後の最後にたどりついた味みたいな、悟りきったような味がする。もう一度言う、これは美味い。
さらにびっくりしたのが赤だしである。

玉子の赤だしを勧められるままに注文したのだけれど、きっとこれそうとう自信があって勧めてるんですわ。だって美味いもん。半熟の玉子がふわふわのまま赤だしの濃いコクと混じって、あっさり目のかやくご飯と合いすぎているのだ。
もちろんさわらの焼き物も、皮がパリッと、身はしっとりと、ちょうどいい塩加減で焼きあげられていて、ちょっとこれ以上のご飯を僕は食べたことがないですよ、と会計の時に言ってしまった。
昼の営業は14時半までらしくそろそろ時間なのだけれど、まだ外で待ってるお客がいる。
さっとうどんを食べるせっかちな人たちだけかと思っていたら、こういう目立たないけど美味しいお店にしっかり列ができるのもまた大阪人なのだ。
難波八阪神社
大黒のお店の人に聞くと、近くにちょっとおもしろい神社があるという。

鳥居の向こうに何か強い視線を感じないだろうか。

難波八阪神社は鳥居をくぐった瞬間にちょっとすごいぞとわかった。

巨大な獅子頭は高さ12mらしい。このあたりは昔から獅子舞が有名なのだとか。
そういえば茨城の巨大獅子頭もすごかった。

人はたまにでかい頭を作りたくなるものなんだろうか。確かに一目でわかるめでたさがあるからかな。


巨大獅子頭に見守られながら拝殿に手を合わせて、ちょうど居合わせたおばちゃんに獅子頭の前で写真を撮ってもらいながら話をしたところ、いま道具屋筋に行ってきたところだと言っていた。近くらしいので行ってみる。
道具屋筋

道具屋筋は東京でいう合羽橋みたいなところで、ようするに職人が使う道具とか業務用の食器なんかを扱うお店が集まる商店街。
一往復するだけで「♪どどど、道具屋筋~」というテーマソングが耳から離れなくなるので注意である。



写真撮影はお断りしてるのー、という食品サンプルのお店があって、お店にいたおばちゃんにこのあたりのお勧めを聞くと、名物のカレーを出すお店が近くにあるという。
ああ、その店ならたぶんさっき前を通ってきましたよ。たしか自由軒?ですよね。