広告企画 2021年3月18日

地層にロマンを感じつつ巨大なアナゴを食べに行く~地元の人頼りの旅in千葉

準備もせずにいきなり現地に行き、あとは地元の人に頼りきって旅する企画。今回は千葉県です。

チバニアン、あなご丼、九十九里浜、無人島などなど。どこにでもありそうなのに千葉にしかない、そんな景色を見てきました。

 

 

※これまでいろいろな場所で取材をした記事を読めば誰もが知ったかぶりできるはず。「知ったかぶり47」は、デイリーポータルZと地元のしごとに詳しいイーアイデムとのコラボ企画です。

行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

前の記事:富士山を見ながら最高のマグロを食べに行く ~地元の人頼りの旅in神奈川県~

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

今回の旅は僕が千葉と聞いてまず行きたかったところから始めたい。

旅のみち連れがまさかの故障

レンタカーで千葉県に入ってから中古屋さんでCDを買って車のデッキに入れた。

北海道を取材したときに現地で買ったCDを聞きながら各地を巡ったら、その時聞いた曲が妙に印象に残ったのだ。帰ってから同じCDを聞きながら記事を書くと、細かいことまで思い出せるような気がした。あれからレンタカーで取材に行く時にはCDを用意するようにしている。

ところが、である。

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借りた車のCDデッキが壊れてまして。

なんとレンタカーのCDデッキが壊れていた。

何度入れてもセイ、ハロー!セイ、ハロー!のリズムで瞬時にCDが吐き出されてくる。

しかたなくFMラジオに合わせると高齢の方むけの人生相談番組みたいなのをやっていて、それはそれで聞き入ってしまったのだけど、最初から予定外である。そうこうしているうちに車はアクアラインを渡り、木更津市街を抜ける。

まずはチバニアン

千葉県は入った瞬間に千葉に来たな!とわかる。海と街の近さとか、道の感じとか山の感じなんかが、僕の住む神奈川とはぜんぜん違うのだ。

僕が千葉と聞いてまず行きたかった場所。それはチバニアンである。

 

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みんな行きたいよね。

チバニアン。

地球は何十万年ものあいだに磁極が行ったり来たりしているのだという。

千葉で見つかったある時代の地層からもそのことを読み取ることができた。これがひとつの決めてとなり、この時代を「チバニアン」と呼ぶことに決まったのだ。

もちろんこれは千葉県ローカルの話題ではなく、世界的に認められた名称で、つまりヨーロッパでも南アメリカでも、地学に詳しい人はこの時代を「チバニアン」と呼んでいるということだ。すごいぞ千葉。

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ビジターセンターは残念ながら休館中でした。
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チバニアン自体は見学可能です。

ビジターセンターに車を停めたらチバニアンまでは歩いて10分ほどらしい。係の人とか誰もいないけど、途中には看板も出ているので迷うことはないだろう。

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要所要所に看板が出てます。
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途中から「危険」の看板の方が多くなるけど。
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めげずに急な坂を川に向かって下っていってください。
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ところどころで怖いこと言ってくるけど勇気をもって(でも気を付けて)。

急な坂を下りきると養老川という眺めのいい川に行きつくので、この川をすこし上流に向かってさかのぼってほしい。

いまさらりと怖いこと言ったけど、すこしだけ川をさかのぼる必要があるのだ。

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川底の水の少ないところを少し歩くので、雨が降った後とかはやめた方がいいと思います。

しばらく歩くと左手に崖が現れる。ここに見える地層が、77万年前から12.6万年前までの間を「チバニアン」と名付けさせた地層である。

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これのどこかにチバニアンの存在証明が!
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見る人が見たらすごい地層。

素人が見ても正直それが何を表しているのかわからないけれど、これが何か重要な手がかりであることだけは調査の跡から見て取れる。しかもそれが何十万年も昔の話だっていうんだから熱い。こういうのをロマンというんだろう。

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ここに火山灰が積もった層が見えるとのこと。

この地層は70万年も前からずっとここにあったのだ。それを思うと泣ける。

しばらく太古の地球に思いをはせていると、下流の方からおじさんがやってきた。

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川を遡上するおじさん。

「どう?地層見える?」

どうやらおじさんも始めて見に来たようだった。

見えますよ、難しいことはわからないですが、すごいぞってことはわかりました。

「どうれ、ほう、こりゃすげえな。おーい、こっち、地層こっち」

おじさんに呼ばれて、下流からおかあさんも歩いてきた。地元にこういう地層が見つかってやっぱり誇らしいですか?と聞いたら「こりゃ雨が降ったらこらんねえな」と言っていた。

千葉に移り住んだ成功者に聞く

次は実際に千葉に住んでいるという意味でのチバニアンに話を聞きに行った。

デイリーポータルZでミニゲームを連載している荻原さん(通称オギー)である。オギーはゲームを作るかたわら、千葉に手に入れた土地に自分で小屋を作ったり畑を耕したりして暮らしている。

それはつまり「いっちょあがり」な人生ではないのか。悔しいので今までがまんしていたのだけれど、いい機会だと思い、会いに行ってきた。あわよくば成功のヒントを聞き出すのだ。

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荻原さん。後光が差しているのは成功者の証。
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オギーが自身で建てた「小屋」にて。ここで仕事もしているという。

「いいところでしょう?こう見えて町からそんなに遠くないから便利なんですよね。これからウッドデッキを作って、工房みたいにものづくりができる環境を整えようかと思ってます。」

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「せっかくなんで焚き火でもしましょうか」憧れのワードを次々と口にする勝者。

荻原さんは使い込まれた焚き火場に、近くから拾ってきた小枝と薪を入れて慣れた手つきで火を起こしてくれた。

いい。すごくいい。

実をいうと僕も数年前から知り合いの農家を手伝ったりしながら薄らぼんやりと(いつかこういう暮らしがしたいなあ)と思っていたのだ。天候不良とか人間関係とかコロナとか、いろいろあって僕の方の夢は暗礁に乗り上げたのだけれど。

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焚き火で沸かしたお湯でいれるコーヒーはどこか違う味がしました。

数年前にこの土地を手に入れた荻原さんは、ほぼ経験ゼロから畑を作り小屋を建て、ソーラーパネルを屋根にのせた。トイレはまだない。

そんな憧れの生活をほとんど手中におさめた荻原さんである。次にやりたいことはあるのだろうか、話を聞いた。

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ところが「不安しかない」と意外なことをいう荻原さん。

「将来ですか。そんなの不安しかないに決まってるじゃないですか。」

ーーえ。

「不安ですよ、何したらいいかわかんないですから。新しいことをやろうとしてネットで検索しますよね。そうするとだいたいもう10年くらいやってる人が語ってる動画とか出てくるでしょう。そんなの見ちゃうと、今から始めて追いつけるわけがないんですよね。しかも僕にはとことん好きなことって特にないので。」

ーー好きなことがない?だって荻原さん、プログラミングとかゲーム作りとか10年以上か、それどころじゃないくらいのキャリアがあるじゃないですか。好きだから続けてるんでしょう。

「あれは仕事ですもん、好きだからってわけじゃないですよ。ほら、いかにも「好きなことして生きてます!」みたいな人いるじゃないですか。安藤さんとかそうですよね、なのにどうして僕のところとか聞きに来るんですか。将来に悩みのある人はそうやって革ジャンとか着ないですから。」

そんなことはない。僕だって予定していた畑を借りる計画がつぶれ、親が病気になり、買った株は下がり続けている。しかも今着てるのは革ジャンではなくビニールだから焚き火の火の粉が飛んだら穴が開く。

人それぞれに悩みがあり、不安があるのだ。

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燃え尽きるまで話していました。

荻原さんと僕は同世代である。お互いに仕事をして結婚して、家族ができたり読者が増えたりして、つまり守るものがある程度できた頃だ。さあ次なにやったらいいんだっけ、となる時期なのかもしれない。

このあとしばらくお互いの不安を交換し合い、それでも不思議と気持ちが軽くなったところで日が暮れた。

真っ暗の山道をラジオ聞きながらのろのろと走っていると、服やらマスクからは焚き火の匂いがした。オギーは毎日この匂いなのだ。やっぱりそれは悪くないんじゃないか。

次は友だちにおすすめしてもらった千葉のスポットに行ってみたいと思う。

次のページでは怖いダルマを見に行きます。
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