特集 2023年7月31日

伊勢うどんでフルコースを作る

三重県伊勢市の周辺だけで昔から食べられている伊勢うどんをご存知だろうか。

極太でやわやわで真っ黒いたれが掛かった特殊なスタイルだけに、好みがはっきりと分かれるうどんだが、私はあの食感と味が大好きだ。

どうせならもっと伊勢うどんの麺が持つ可能性を探ってみようと、伊勢うどんでフルコースを作ってみた。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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これが伊勢うどんだ

いきなり伊勢うどんのフルコースの説明をされてもピンとこないと思うので、まずは王道がどんな姿なのかをお見せしたい。

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こちらは「つたや」という老舗の伊勢うどん。

この極太でやわやわな麺は、伊勢市内にあるみなみ製麺という製麺所が50分しっかり茹でてから水で締めたもので、それをあえて一日以上寝かせてから、注文にあわせて丁寧に温め直している。

たれは煮干し、鰹節、昆布などで驚くほど濃く煮だした出汁に、真っ黒いけど塩分は意外と低いたまり醤油、みりん、砂糖などを加えたもの。 見た目ほどは塩辛くなく、出汁の風味とたまり醤油のまろやかさが感じられる。

どの店でも具は青ネギがスタンダードで、オプションで玉子、牛肉、天婦羅などのトッピングが用意されている。

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製麺所で見せていただいた、茹でる前と茹でた後の麺。これをさらに一日以上寝かすことで、みなみ製麺独特の食感が生まれる。
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たれを作るところを見せてもらったのだが、材料の多さに心底驚いた。これを薪の釜戸で五時間煮込むのである。
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左がたまり醤油、右が濃口醤油。通常の醤油が小麦と大豆を半々くらいで仕込むのに対し、たまり醤油はほとんど大豆だけで作られていて熟成期間も長いため、独特のまろやかさがあり、やわやわな伊勢うどんとよく合う。

一口に伊勢うどんといってもいろいろで、大正時代から伝わる伝統のたれを守っていたり、手間暇のかかる自家製麺にこだわっていたり、コシのある伊勢うどんに挑んでいたり、食べ歩くごとに新たな発見があった。

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伊勢市内で食べた個性あふれる伊勢うどんの一部。極太の柔らかい麺に黒いたれというフォーマットは一緒だが、そのディテールはまったく違うのだ。

私は昨年の6月に初めて伊勢を訪れた「にわか」なのだが、伊勢うどんについて語りだすとものすごく長くなるので、この続きは同人誌「伊勢うどんってなんですか?」を読んでいただければ幸いです。

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伊勢うどん屋、製麺所、たまり醤油の醸造所、たれメーカー、地元スーパー、歴史学者などを尋ね歩きました。
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伊勢うどんフルコースの会

この本の発売記念として行われた会で挑戦したのが、伊勢うどんのフルコースである。

このコースを食べることで、伊勢うどんの歴史や現状が学べ、さらには伊勢うどんが持つ懐の深さや可能性を知ってもらえるのではという企みである。

本音を言うと、あの独特な柔らかい麺に合わせた料理を、いろいろ作ってみたかっただけなのだが。

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場所は「ケララの風モーニング」という南インド料理屋をお借りした。店主の沼尻さんも南インド風伊勢うどんで参戦。
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麺は伊勢市内の製麺所から取り寄せた2種類に加えて、家庭用製麺機を使った自家製麺も用意した。
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やわやわだけど腰のある茹でたての自家製麺を楽しんでいただこう。
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呼びたい人が多かったので、なんと二日に分けて行われた。それでも呼べなかった方、すみません。自分で作って。

伊勢うどんフルコースの会は二回おこなわれたのだが、一回目を無事に終えて、もっとこうした方がよかったという反省や、また同じ料理を作ると飽きるといった理由から、二回目は少しメニューを変えている。

そのあたりも含めて、どんな内容のコースだったのか紹介させていただこう。

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