特集 2025年5月27日

コーヒーの実を収穫して精製して焙煎して飲む

まずは皮をむいて干す

「ハニー」とよばれる精製方法では、まず実の外側の皮を剥く。

ヌルヌルしてる

このヌルヌルしてる部分が果肉とミューシレージだろう。

粘液がある、ということは知識では知っていたけれど、初めて実感できてめちゃくちゃ嬉しい。けっこうネバネバしている。

中からは種が2粒でてきた。 あとはこのネバネバしたままの種を2週間ほど干す。この粘液がハチミツのように見えることからハニーと呼ばれるらしい。

「ナチュラル」と呼ばれる精製方法では、実をむかずに、そのまま干す。これも2週間くらい。

手前がハニー、奥がナチュラル

洗濯物を干すネットの中に入れた。このまま昼はベランダで干し、夜や雨の日は室内で干す、ということを2週間繰り返す。

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干し終わったら種を取り出す

2週間たったので、物干し網から中身を取り出した。

ナチュラル

まずは、実をそのまま干したナチュラル。かぴかぴになっている。触るとすごく硬い。干す前はぶよぶよしていて、剥くのも簡単だった。

皮を剥く前は40gほどだったのが、剥いて干した後では14gになっていた。

ハニー

つづいて、外側の皮を剥いだだけのハニー。 ネバネバもすっかり乾いて、パサパサになっている。

皮を剥く前の40gが、剥いて干した後は 8g になった。

まずはハニープロセスのほうから種を取り出す。いま見えているのは種のまわりの内果皮(パーチメント)という硬い皮なので、そこから種を取り出すのだ。

左が内果皮、右が銀皮(シルバースキン)につつまれた種

内果皮をカッターで切ると、中からはさらに薄皮で包まれた種が出てきた。まわりを覆うのはシルバースキンだ。この状態で見るのは初めてで興奮する。

左から、内果皮、銀皮、種子

薄皮はペリペリと剥がれ、中から種子が出てきた。生豆だ。緑色なのでグリーンビーンズとも呼ばれるらしい。

そういうこともぜんぶ文字と図解でしか知らなかったので、いまとても感動している。

つづいてナチュラル。

左が剥いた外皮と内果皮、右は銀皮に包まれた種子

こちらは皮がカチカチで、ぜんぜん剥けない。手では無理で、カッターを使ってなんとか削っていく感じになった。外皮と内果皮がいっぺんに取れるので、あとは薄皮(銀皮)を取れば種子が出てくる。

コーヒーの実を外側から順に並べるとこんなふうになった。 

左から、外皮、内果皮、銀皮、種子

種子は3重に守られていて、この一番内側を焙煎していたのだ。なるほど・・。

取り出した種子だけの重さを計ったところ、どちらも最終的に4g程度になった。

京都の STYLE COFFEE。うまい。
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焙煎する

実際の生産国では、このあとさらに数ヶ月種子を寝かせてから出荷するらしい。海外への輸送中に状態が悪くならないようにできる限り乾燥させるといったところだろうか。

しかしここではこのまま焙煎することにした。

お店だと何百グラムと何キログラムとかの単位で、大きな機械でちゃんと焙煎するようなのだが、今回はせいぜい数グラムなので、フライパンで焙煎してみることにする。

冗談かな?と思うくらい少ない。これを弱火で焼いていく。

5分くらいで色が変わってきた。

破片は銀皮が剥がれたもので、この時点ではチャフと呼ばれる

10分を過ぎて煙がいっぱい出てきた。色もだいぶ黒くなってきたのでおしまいにする。白く見えるやつは銀皮で、内側の種子は黒くなっている。

なお、事前に別の生豆でもっと多い量で練習したときは、途中でパチパチと爆ぜる音がして(1ハゼというらしい)、さらにつづけると10分くらいでピチピチとさらに音がした(2ハゼ)。しかし今回は同じ時間焼いてもなんの音もしなかった。4g は少なすぎて事情が違ったりするのだろうか。

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飲んでみる

焙煎した後はすこし置いたほうがいいとのことだったので、数日置いてから、粉にひいて飲んでみた。

色はコーヒーの粉っぽくはある。でもまだ赤い。内側が生焼けだったのかもしれない。 

お湯を注ぐとこんな色。飲んでみると、香ばしく煎ったピーナッツみたいな風味だ。 飲めなくはないが、お店で飲んだほうが絶対おいしい。

たぶん焙煎がうまくいかなかったのだろう。精進して来年に備えることにする。でも、とにかくプロセスを体験できたのはとてもよかった。


まとめ

実物を見て体験できたのはとてもよかった。ぼくがやったのは収穫後の過程だけだが、それでもいかに大変で、いかにプロの仕事がありがたいかがよくわかった。

ナチュラルのカチカチの実をむくのは本当に大変だった。農園では実際には機械でやるのだけれど、そりゃそうだろうなと思った。それから焙煎も、失敗したことによってお店のおいしいコーヒーが当たり前じゃないってことがよく分かった。

来年は、もし実がついたらウォッシュトとアナエロビックも試してみたい、と思っている。

取材協力:
ヤチ★フォルニア農園公国株式会社
http://yachi-fornia-farm.com/
(現在、木のオーナーの権利は1本につき8万円/年)

エチオピアのコーヒーの農園主(タミルタデッセさん)を日本で見かけて満面の笑みの自分
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編集部からのみどころ
いままで数々のDIY記事を掲載してきたデイリーですが、また新たなフロンティアを三土さんが切り開きました。コーヒー豆って種なんですね。そしてちゃんと果肉もあって、それを捨てているとは。
注目してほしいのは、ひとつしかならなかった実をたまたまいた子供にあげてる三土さんがすごくないですか。こんな記事載せたら株が上がってしまう…!(石川)

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