入ってすぐ、東京湾のエリアになります。
このエリア、俺は好きなんですけどどうしても地味じゃないですか。小さめの魚とか、カニとか。
動物園は博物館にある音声ガイド。知識以外のことを教えてくれるのも楽しいと思うのだ。
以前動物園でやってみてとても良かった。まだ新しいパターンのガイドが出そうなので場所を変えてやってみよう。
「水族館に行くので音声ガイドを録って送ってください。各生き物について2分ぐらいで」という難解なお願いを聞いてもらった、こちらの3名。
ハナウタさんと唐沢さんはデイリーポータルZのライター。戸澤さんは友人で、いい話を聞けそうなのでお願いした。
前回は「詳しくない音声ガイドを送ってください」とお願いしたが、今回は「個人的な話を音声ガイドにして送ってください」と頼んでみた。
知識はあってもなくてもいい。ただ、普通の音声ガイドでは弾かれるような小さくて狭い話もして欲しい。「へー」と言うだけじゃない気持ちの動きが生まれるはずだ。
送ってもらった音声データとイヤホンを準備してしながわ水族館に来た。
早速「入り口付近」というテーマで音声ガイドをもらっている。案内してくれるのはハナウタさん。
入ってすぐ、東京湾のエリアになります。
このエリア、俺は好きなんですけどどうしても地味じゃないですか。小さめの魚とか、カニとか。
こういうのを見るたびに「Aメロだな」って思うんですよね。
サビがトンネル水槽とか熱帯の鮮やかな魚たちだとすると、ここは導入部分って感じがして。だからこのいぶし銀の魚たちを見てAメロを感じると、水族館に来たなって感じがして好きですね。
なんと。地味で嫌だね、というグチじゃなく導入として楽しむための考え方の工夫だった。確かにAメロだと思うとこれはこれでちゃんと見よう、という気持ちになる。曲の一部なんだから。
「あれ、全然楽しいんじゃない?」と思いながら展示の工夫を眺めた。鑑賞の心持ちを変えてくれるいい音声ガイドだった。
ガイドは「熱帯地域の水族館は逆にカラフルな魚が入り口にいたりするんですかね」というところまで話を広げて「分かんないですけど」と急に終わっていた。僕も分かんないな。
横では子どもたちが「ヤマメー! ヤマメヤマメー!」と言って走り抜けていく。そうそう、僕も前まで走り抜けるように見ていた。
今回もらった音声ガイド、先ほどのように展示の見方を考えさせてくれるようなものと、本当に清々しいほど小さくて個人的な話にはっきり分かれた。
順番に紹介しよう。考えさせてくれるガイドから。
案内は引き続きハナウタさん。
群れを作る魚たちのエリアです。
外敵から身を守るために群れを作っている訳なのですが、手前に見える魚って群れの一番外側で、つまり一番危険なところにいるんですよね。その自覚はあるんでしょうか。
自分だったら「やべ、外側にいるわ」と思って内側に入りたくなると思うんですけど、みんながそう思っちゃったら群れが成立しないんですよね。
群れの仕組みってどうなってるんでしょうね。自分をどう認識してるんだろうな、って群生してる魚を見ると思いますね。
確かに。外側は嫌だと言ってみんなが内側に行ったら、たくさんのイワシが団子状になるだけで群れとしての迫力が出ないだろう。
たまに交代するのかなと思って観察してみたが、早くて特定のイワシを目で追う、ということができなかった。
自分だったら外側のイワシになれるだろうか。分からないが立派な役割だとは思う。目指すべきなんだろう。「外側のイワシ」と筆で書いて部屋に貼ろう。
![]() |
||
▽デイリーポータルZトップへ | つぎへ> | |
![]() |
||
![]() |
▲デイリーポータルZトップへ | ![]() |