イルカですよね。
イルカはみんなの人気者で、めちゃめちゃかわいいし賢いし、ショーだって愛嬌振りまいて最高って感じですけど。
私、イルカのチラッと見える歯がめっちゃ怖くって。
では次は、考えちゃわないガイド。考えようのないガイド。受け止めきれないので笑うしかない。
入り口がAメロなら、イルカはサビもサビである。『愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない』の、「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」の部分だ。
イルカショーの後でゆっくりするイルカを見ながらガイドを聞いた。ナビゲーターは唐沢さん。
イルカですよね。
イルカはみんなの人気者で、めちゃめちゃかわいいし賢いし、ショーだって愛嬌振りまいて最高って感じですけど。
私、イルカのチラッと見える歯がめっちゃ怖くって。
細い歯がずらーってきれいに並んでるんですよね。そういう、整いすぎてる歯が不意に見える時に恐怖を感じます。
そう言われると怖いかもな。皮膚がツルツルで歯も整いすぎていて無機的に感じちゃうのだろうか。まだガイドが続く。
最近久しぶりに大学のサークル時代の友達と会ったんですけど、歯が怖かったんですよね。数、多分おんなじなんですけど「歯、多い」って思っちゃって。
なんかすごい…、うーん。…怖いなって思った記憶があります。
イルカの歯までは共感できたけど友達のことは分からない。しゃべるうちに思い出したのだろうか。それを聞いてなんて言えばいい。
なんだろう、この異次元に取り残された感覚は。音声ガイドの話があまりに関係ない場所まで行くと、音声が終わってからも帰ってこれない。
空中にフワフワ浮いてるような感覚が残ったままイルカの歯を見ていた。
次も「なにそれ」というガイド。ナビゲーターは戸澤さん。
こちらはアシカです。
アシカってアザラシと似ていますよね。見分ける方法がいくつかありまして、まずヒゲですね。アシカはヒゲが長いです。
あと首。アシカって首も長いんですね。アザラシの方は丸い感じ。丸くてかわいらしいんですけど、アシカは首がこう、スラッと長いので、凛々しい感じがしますよね。
長いといえばですね、スピッツっていうバンド。国民的なバンドですよね。『ロビンソン』っていう曲が好きなんですけど、ロビンソンのイントロ。イントロがですね、すごく長いんですね。
信じられないぐらいイントロが長いということに最近気づきまして。すごく不安になる長さなんですよね。ここで歌いださないとおかしいだろというポイントが3ヶ所ぐらいありまして。
「ここで歌わないっていうことは、これはインスト? インストバージョンだ、メロディーだけのやつだ」って思うくらいイントロが長いんですよね。
ぜひスピッツのロビンソンのイントロ、聞いてみてください。
ロビンソンのイントロが長い話を滔々と語られた。
実際に水族館でこんな話をすることもあるだろう。でも音声ガイドで全然違う話題にジャンプされると自分がいる場所との折り合いが付かなくて現実味がなくなる。
五感がそれぞれ別の場所にあるような感じだった。この浮遊感おもしろい。
追い打ちでもう一つ、夢みたいな音声ガイドを紹介します。戸澤さんによるイカのガイド。
こちらはイカですね、イカです。
たまにイカを食べたくなってスーパーでイカのお刺身を買うんですけれども。最近セルフレジを導入しているスーパーが増えてきましたね。よく行くスーパーもセルフレジなんですけれども。
ある日アボカドを買おうと思って、セルフレジに持って行ったんですね。バーコードが付いてない商品はスキャンじゃなくて画面をタッチして、分類とか数量を押して、っていう仕組みなんですけれども。
そうしたら野菜の分類にアボカドがなくて。どうしても見つけられなくて店員さんを呼んだんです。そうしたら「あ、これは果物ですね」って言って果物の分類を押してくれて。
…あの、クイズ王じゃないんで、私。と思って。
その、瞬時にですね「アボカドは一般的には野菜と思われがちだが、畑になるものではなく木になる木の実だから、アボカドは果物」なんて、その…。クイズ王じゃないんで私、と思って。
分類したら果物なんでしょうけど、クイズ王じゃないんで、って思いました。
頭を掴んでブンブン振られたみたいだった。
個人的な音声ガイドは自分では気がつかない新しい視点を与えてくれるが、あまりに個人的な話や遠いところに話題が行ってしまうと、頭の中でイルカが「なにそれ!!」とジャンプすることになる。
これは新感覚の鑑賞体験だ。水族館から出ると明るくて蒸し暑くて、現実に帰ってきたな、という感じがした。
一般的にはドクターフィッシュという呼び方が定着しています。この呼び方、言い過ぎじゃないかなって思うんですよね。
「人間の皮膚を食べる、つまりドクターフィッシュだ!」っていう発想が。名前を付けた人は医者のことをなんだと思っていて、どういう医者を見てきたのかなって思います。
うん、言い過ぎかもな。「ドクター」と聞くと内科や外科を想像してしまうからかもしれない。皮膚科のドクターとしては働いている。
テッポウウオは口の中に水をためて、それをピュッと噴射して、水の上にいる何かを仕留めるっていう性質を持ってるんですよね。
テッポウウオといえば、例えば私が家でリラックスしてお茶飲んでる時に、口元緩みすぎてピュッと、こう口からお茶出たりする時に「テッポウウオになっちゃったな」って思う時はありますね。
確かに人も水を吹き出すことがある。でも、それで食べ物をとろうと思うのはかなり変なことだ。テッポウウオの奇天烈さを教えてくれたガイド。
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